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未踏ジュニアに応募:採択されるために私が意識したこと/アドバイス

初めまして!最近はパソコンの排熱でかちこちに固まった冬ミルキーを溶かしてふにゃふにゃにして食べるのが好きです。ミルキーって不思議ですよね。歯にくっつくし、飲み込んだら甘味で喉が焼ける感覚があるけど食べ続けちゃう。危険ですね〜。

未踏ジュニアで「サイボーグ化された植物:Cybotanic」というプロジェクトで応募して、2021採択&スーパークリエイターの認定を受けた新美リックと申します。

3/10から未踏ジュニアの応募が始まるとのことですが、そこで私が応募したときに意識したこと、うまくいったのかな〜って思ったところをリストアップしてみました。是非これから応募される方の助けになったら幸いです。

前提として知っておきたい知識

このNoteは「私が何を意識したのか」という部分に比重を重く置いているので、応募の仕方及び注意するポイントは他の記事を読むことをお勧めします!

選考の流れ

一次選考で書類を見てもらった後に、二次先行でメンターとの面接になります。二次選考は一次選考でメンターが興味を持ったプロジェクトを対象に行うため、一次選考で可能な限り興味を惹く書き方をすることが大事って僕は考えました。

https://jr.mitou.org/guideline

応募資料の書き方/注意するポイント

これに関しては、さまざまなメンターさんがドキュメントを残してくださっているので、そちらを読むことをお勧めします!僕は具体的に西尾さんのscrapboxや寺本さんのnoteを参考にしました。リンクはこちらです。

西尾さんのscrapbox(未踏ジュニアに応募する人向けアドバイス)
鈴木さんの記事:未踏ジュニア、伝わる提案書を作る 5 つのコツ
寺本さんの記事:提案書を読んでもったいないと思った部分を紹介します。

未踏ジュニアの採択基準

孫子

彼を知り己を知れば百選危うからず。

孫子

そして、未踏ジュニアがどのように採択する人を選んでいるかを知ることも重要でしょう。ぶっちゃけ言うと明確な基準(AtCoder水色以上等)は一切ないと考えてください。その代わりに存在するのがメンターの主観です。未踏ジュニア代表の鵜飼さんがインタビューでこのように答えていました。

――「未踏」と聞くと、やはり採択されるプロジェクトはどれもレベルが高い印象を受けます。応募されたアイデアの採択基準を教えてください。

未踏ジュニアの選考では、各PMが『この子と一緒に働きたいかどうか』という視点でプロジェクトの採択を決めます。まず書類選考を経てから各PMが気になったアイデア案の応募者とオンラインで30分程度の面談をして採択するかを決めます。、それぞれのPMが異なった視点や基準で応募者を評価するため、PM間で面談の指名をする応募者がかぶることはあまりないですね。

――驚きです。てっきりPMの皆さま全員ですべてのアイデアを評価して、加点方式で応募者を上から順番に採択するものだとイメージしていました。

応募の時点で課題の構想だけが書かれているものもあれば、ソリューションまでガッチリ固められているものもありますが、応募の段階ではアイデアの独創性で選んでいて、そのアイデアのどのような点にポテンシャルを見出すかは各PM次第。ひとりのPMが『この子と働きたい』と思ったらそれで決まりなんです。他のPMがなんと言おうと。

出典:日本でトップ1%の子どもたちを育てたい「未踏ジュニア」の裏側に迫る

またメンターの寺本さんもNoteで

未踏ジュニアの審査は各メンターが採択を決定する権利を持っているので、百点満点のテストのような減点法とは対照的に、ひとつの特徴がズバ抜けて秀でている(とメンターが思った)人は、一点突破で採択が決まる可能性があります。逆に、提案自体は面白いのに、タイミングが悪いせいで不合格になってしまうこともあります。正直言って、そこは運です。すみません。

出典:提案書を読んでもったいないと思った部分を紹介します。採択はぶっちゃけ運です。

と答えています。

またこの背景にある思想も西尾さんのscrapboxの「和で評価するとジェネラリストが選ばれる」というページから読み取ることができたりします。

つまり、採択されるかされないかは万人に受ける特定の基準に沿ったかではなく、メンターの誰かに「お前好き」と思わせるかどうかにかかっているのです。

応募書類を見て「お前好き」となったメンターさん

「私が」採択されるために意識したこと:一次選考

これらの情報を踏まえた上で、私が採択されるためにどのようなポイントを意識したのかを書いていきたいと思います。尚、これに従えば誰でも採択される!と言うものでもなく、これに従わなかったら落ちる!と言うものでもありません。ただの一採択者が意識したことと思って読んでもらえると嬉しいです。

目立つ、とにかく

目立っている人たち

これは全体を通して意識したポイントです。メンターの誰かに「お前好き」と思わせるためには、他の応募者と同じことを書いて埋もれてしまうのではなく、むしろ他の人と可能な限り違ったことを書くことが必要だと考え、ハード/ソフト限らず開発経験がないなか、どうやったら周りの採択者から一歩抜き出た存在になれるかをずっと意識しました。

そもそもやっているプロジェクトが植物の生体電位から言語を作るという他の誰もやらなさそうで目立ちそうだったのもありますが、下記のツイートを見つけて、アイデアのみのアピールだと勿体無いので、ちゃんとプロジェクトを行う「人」の部分を目立たせるようにして、「なぜ他の誰でもなく、貴方がこのプロジェクトを遂行するのか?」を強く主張しました。

https://twitter.com/yasulab/status/1127041635798224897

例えば、

  • 「植物の言語を作る」というプロジェクトだったので、言語学が好きで勉強していることをアピールした

    • これは、技術力をアピールしても埋もれるだけだと思ったので、他の人がおそらくやっていないであろうことを意識して書いていました。

  • 「このプロジェクトを実現したい理由」の項目で、自分が初恋の女性に振られて半狂乱になった末、植物に恋したエピソードを英語で書いた

    • これに関しては、未踏ジュニアx英語というページを見つけたのでそれを見てじゃあ一部分英語で書いてもいっか!と思ってやりました。

  • 自分が植物と人間社会の関わりについて思っていたことを書いた

    • これも多分こんなこと考えてるの少ないだろうな〜って思いながら書いた記憶があります。

  • メンターさんへのメッセージソングを動画で撮ってファイルを貼り付けた

    • ほとんどの人が文章というメディアで勝負してくると思ったので僕はメッセージソングを作曲して歌いました。今思ったら死ぬほど恥ずかしいですが、二次面接の時「自分のプロジェクトのどこに興味を持ったのですか?」って質問した時「あの動画!」と声が聞こえた記憶があります。

  • 自分の過去のプロジェクトの紹介をしっかりとおこなった

    • これもアイデアではなく「人」を見せる部分として重要だなぁと思ったのでたくさんたくさん書きました!

などなどをおこなっていました。

毎年面接で「えー、そんな面白い話があるなら自己アピールに書けばいいのに」と言われてる応募者がいる気がします。
面接に進んだ人はそうやって「書けばいいのに」と言われるけど、アピール不足で面接に進まなかった人にはそれに気づく機会がないのでもったいないですね。

西尾さんのScrapboxより:未踏ジュニアに応募する人へのアドバイス

と言う声もちょくちょく見かけるので、出せるところはどんどん出していったほうがいいと思います。

  • 例にはなりますが、音楽に関するプロジェクトをやるなら

    • 自分がどれだけ音楽が好きか

    • どんな音楽が好きか

    • なぜ音楽が好きか

    • どんな形で音楽と関わっているのか

    • そんな音楽をテクノロジーを使ってどう変えていきたいのか

    • なぜそのようなことを思ったのか?

  • などなどが書けるんじゃないかなぁって思います。それらの証拠がなくてもかけるだけ書いて損することは絶対にないので書いたほうがいいと思います!嘘はダメだよ!!

とにかく他の人と自分は違うんだ!ということを伝わる形で書くのが大事なんじゃないかなぁって思います!!!!!

過去に作られたものと自分が作るものの違いを説明する

巨人の肩に乗る様子

メンターにもよると思いますが、未踏ジュニアは必ずしも新規性が求められるものではありません。ただ、過去に作られたものにどのようなものがあって、自分のアイデアはどのようなところが特殊なのか?ということを認識しているのは一つの強みと捉えられるんじゃないかなぁって思って分量多めにした記憶があります。自分は過去の同じようなプロジェクトや作品、研究を5つほど紹介した後、次のように締めました。

ここまで見ればわかるように、植物の生体データを音に変えるbiodata sonificationは今まで「アート」としての意味合いが強く、そのプロセスを強く主張していることが多く、その音の分析や実験環境のコントロールが行われていなかった。それをこのプロジェクトではしっかり行って再現性のある「植物の言語」を構築したい。

僕の一次応募書類

これをやることによって、過去のプロジェクトと相対化させて自分がやりたいことが伝わると思うのでおすすめです。

しっかりと実現可能だということを主張する

机上の空論のイラストです

未踏ジュニアで取り組むプロジェクトは、自分(自分たち)の力で進めることが原則です。未踏ジュニアに採択された初日に担当メンターが UFO にさらわれて行方不明になっても、プロジェクトが止まってはいけません。

鈴木さんの記事:未踏ジュニア、伝わる提案書を作る 5 つのコツ

上記のツイートを見て、アイデアを実現する方法及び能力をしっかりと明記しておいきました。しっかりと自分で実現が可能ってことを自己アピールで多く書いた記憶があります。特に私はプログラミングを使って何かを開発するといった経験が乏しいため、自分が持っている「粘り強さ」「巨人の肩に乗る能力」「アイデア力」という3つの能力を強く出しました。それによって実現可能、かつ「伸び代がある」と捉えてもらったんじゃないかなぁって思います。

また、何かを作った経験がある人はしっかりとそれをアピールしたほうがいいと思います!

何か物を作った経験がどれくらいあるのか、どのような種類の経験をしているのかを見ています。思いつくものはなんでもアピールすると良いでしょう。
プロジェクトに使うのと同じ技術を使っているなら技術力の評価もプラスですが、関係ない技術であっても「ものを作る」ということはすべて「うまくいかない状況を試行錯誤してなんとかする」という経験なので、その経験がわかるものが書かれていると理解しやすいです。

西尾さんのscrapbox:未踏ジュニアに応募する人へのアドバイス
何かを作っている人

「私が」採択されるために意識したこと:二次面接

二次面接は何がくるか正直何も予想できなかったので、一次書類で書き損ねた部分(その瞬間にやりたいことにフォーカスして生きてるとか、未踏ジュニアのコミュニティがすごく魅力的に思えたところとかその他諸々)をあらかじめメモしておいて、それを話せるようにしました。

二次面接の後にしっかりと感謝のメールを送ることと、面接の後自分のプロジェクトがどのように変わったのかを書いたドキュメントを送ることなどが大事なんじゃないかなぁって思います。私は前者の送信を遅れてしまいましたが、後者はちゃんとやりました!

感謝メールを送る様子


最後に

自分が未踏ジュニアに採択されて一番幸せだなぁって感じた瞬間は、「自分の好きなことをやってもいいんだ…」って気がついた時でした。受験のように大学が定めたアドミッションポリシーや点数という基準に自分を合わせる必要もなく、学会のように学問的な新規性が前提となっている場所でもない。のびのびと自分がやりたいことを主張してそれに周りの仲間やメンターさんが応援してくれる。そんな場所でした。

メンターの独断と偏見で採択されるプロジェクトが決まる未踏ジュニアだからこそ、既存の型に嵌めることなく自分が「やりたい!!」って気持ちを心からリスペクトしてくれてるんだなぁって思っています。

なので、「未踏ジュニアに入るため」よりも上記のツイートにもあるように「自分がやりたいこと」を軸にするのがいいと考えます。未踏ジュニアに合わせるのではなく、自分がどのような人間なのか強くアピールしてください。きっとそれを魅力的に感じてくれるメンターさんはいるはずです。

それで、落ちたとしてもそれは貴方のプロジェクトが悪いのではなく、メンターにセンスがなかった、相性が悪いかったとポジティブに考えちゃいましょう。メンターからフィードバックが来ると思うので、それを参考にして次のステップに踏み出しちゃいましょう!

また、私の応募書類を貼っておきます。今となっては恥ずかしい内容ばかりですが、参考にしていただけると非常に助かります!
最後に応募の時に参考になる/役に立つリソースを紹介します。きっと役に立つと思うので!

乱文散文失礼しました〜!!!是非気になることがあったらコメント欄でもTwitterでもいいので質問してください!素敵な知らせを聞けることを楽しみにしています!

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