瀉血

暁の光が差すと、青年は目を開けた。真横では、娘が幸せそうに寝ている。彼女の頬に触れれば、死人のように冷たい。その口からは紅い雫が垂れ、微かに血の匂いがする。首筋に手をやれば、真新しい二つの傷口に触れた。血を吸われた日は身体が軽い。愛ある瀉血と戯れる、娘の言葉が青年の脳裡に蘇った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?