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アラン・モイル - タイムズ・スクエア(1980) Times Square

監督アラン・モイルが購入した中古のソファに詰め込まれていた路上生活をしていた女の子の日記をもとに書かれた映画らしい。本来はもっとレズビアン的な描写があったけれど、ポスプロの段階でカットされまくったとか。プロデューサーのロバート・スティグウッドとモイルは対立し、モイルは完成前に監督を降りたということだけれど、映画のなかの女の子たちの絆は、友情というには足らないほどの親密さにあふれていたし、男がいっさい介入しないプロットというところにもレズビアニズムは芽吹いているとおもう(実際、公開当時は評価されなかった本作は、のちにカルト作としてゲイ・レズビアン映画祭で上映されるなどして、評価を得た)。使用されている楽曲はもちろん、パミーがニッキーに宛てた詩や、住処をみつけたときになにかあればお互いの名前を叫ぼうという血の誓い(属性としての女性として生活する路上生活者の危険を女の子同士で互いを守ろうとする)とか、お金を稼ぐために初めて人前で踊るパミーを勇気づけるニッキーのまなざし、ニッキーが初めて書いた詩をパミーに朗読するとき片膝をつくとか。女の子の活力を肯定し、ニューヨーク内の暴走者としてのティーンの少女たちの冒険を描いていく。タイムズスクエアの周りを走り回り、遊び、自分自身について学んでいく。パミーの父が、ニューヨーク市の街を浄化しようとする人物であることがめちゃくちゃ皮肉で、70年代おわり〜80年代のニューヨークのクィアカルチャーやパンク・ニューウェーブの誕生など、大人にとっての毒であるカルチャーはある若者にとって生きる救いになるし、sleeze sisters(はみだしものの姉妹たち)は、実際ニューヨーク中から共感する女の子たちを生み出していく。『ロッキー・ホラー・ショー』でフランクルンを演じたティム・カーリーが、彼女たちのはみだし者としての孤独を理解して繋げていく役を演じているのもニクイなぁとおもったりなどしました。

抑圧された日々のなかで、うじうじしていたパミーが、どんどんファッションで自分を表現できるようになり(カラフルな古着たち)、ニッキーとたくさん笑う路上シーンは涙があふれてしまった。ラスト、路上には一生いられないと家に帰りたくなったパミーを置いて去っていったニッキー、ニッキーが去っていっても冴えないバッグバンドたちが楽しそうに楽器を弾いているところとか、ストリートのはみ出しものたちといっしょに保護者たちも彼女たちを見守っているところがたいへん好感。


活気あふれるニューヨークの一角。15歳の少女ニッキーと若手政治家を父にもつ一人娘のパミーは、精神病院で同室となったことで意気投合。病院を飛び出し、路上へ出ていく…。

1980年、アメリカ、111分、1.85:1
監督:アラン・モイル 原案:アラン・モイル、リーン・アンガー 脚本:ジェイコブ・ブラックマン 出演:トリニ・アルバラード、ロビン・ジョンソン、ティム・カリー

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