カスタマーサクセス ボランチ理論
「カスタマーサクセス」とサッカーにおける「ボランチ」のポジションは、一見すると異なる分野に属しているように思えますが、実は多くの共通点を持っています。
実際に、【「完全版 カスタマーサクセス実行戦略」 著者:山田ひさのり】
でも今回のトピックについて触れられています。
カスタマーサクセスとサッカーをテーマにするのであれば、15年間サッカーをやってきた私にとって最強の得意分野すぎる!と思い、noteを書くことにしました。
サッカーをあまり知らない方にも理解しやすいように、この二つのポジションがどのようにしてチームや企業にとって不可欠な役割を果たしているのかを掘り下げてみます。
"前半"と"後半"は、サッカーについてよく知らない方にも理解いただけるよう書いています。
"延長戦"では、サッカーが大好きな人向けに少しマニアックなことを書いているのでぜひ楽しみにしていてください。
【前半】ボランチとカスタマーサクセスの共通点
前半は、"ボランチの特徴" + "カスタマーサクセスとの共通点"をみていきましょう。
もしサッカー以外のスポーツに詳しいようであれば、それらに存在するポジションに例えて考えてみると、より理解が深まるかと思います。
1. 攻守の要、チームの心臓
ボランチはチームにおいて、攻撃と守備の中間に位置し、"チームのバランスを取る役割"となります。
ゲームの流れを読み、必要に応じて攻撃の起点を作ったり、守備のサポートをしたりします。
このようにボランチはチームの中心に位置し、そこからあらゆる場所に顔を出して、働きかけます。
よく「攻守の要」・「チームの心臓」なんて言い方をされることが多いです。
一方で、カスタマーサクセスは企業が提供するサービスを通じて、顧客が成功できるように支援していきます。
さらに、それらの支援から見えるインサイトを社内 and サービスに落とし込んでいくことが求められます。
結果的にはそれが企業の成長と持続的な顧客との継続関係をもたらします。
様々な場所に顔を出し、様々な役割をこなしていく姿をみてみると、やはり「企業全体の要」・「サービス組織の心臓」と呼ばれてもおかしくはないです。
2. あらゆるポジションをカバー
上記でも挙げていますが、ボランチはあらゆる場所に顔を出して各ポジションを先導・サポートしていきます。
ただ中央でパスを出せるだけのボランチではなく、器用にサイドやゴール前でも落ち着いてプレーができる人材が求められます。
現代では特に多様な役割を与えられることが多く、それぞれ個性を持った選手が多くなってきています。
一方で、カスタマーサクセスでも顧客への支援のみならず、営業プロセスに登場したり、開発へのフィードバックをしたりと、なかなかカバー範囲が広い役割になってきています。
この数年でも変化してきており、以前まではオンボーディングまでだったのが、営業的観点であったエクスパンションをみていく必要も出てきたり、PdM的な役割を兼任したりと、かなり広義になってきている印象です。
3. ボランチの中でも役割が存在する(攻撃的、守備的)
ボランチにも攻撃的・守備的が存在します。
すべての選手が同じ役割ではなく、チームの中でもある選手は攻撃に特化していて、ある選手は超守備的というようなことが多いです。
むしろ、どちらもできてしまうという選手はかなり貴重で重宝されます。
ボランチ全員ですべての役割を網羅していることが大事なので、1人1人にフォーカスを当てると、特化型やバランス型などが存在しています。
一方で、カスタマーサクセスにも複数の役割が存在します。
やや広義にとられる概念になりつつありますが、オンボーディングやエクスパンションごとに役割を分けて、カスタマーサクセスチームとして機能を網羅している組織も多くなってきました。
オールマイティな最強CSが存在するところもあれば、1人1人の個性を集めた強いチームが創り上げられている組織もあり、多種多様な形が存在します。
4. ボランチのタイプによってチームカラーが変わる
「チームカラー」とは、そのチームの特色や個性を表します。
サッカーだけでなく、ほとんどのチームスポーツには戦術が存在します。
同じ人数、場所で行うサッカーにおいても全く異なる戦術が繰り広げられるため、ボランチのタイプ(役割や個性)がそのチームの色になります。
ボランチが攻撃的であれば、チーム全体も攻撃的になります。
逆も然りです。
一方で、カスタマーサクセスも同様です。
特にSaaS企業においてはカスタマーサクセスの支援領域や顧客へのタッチモデルによってその企業、または事業の色が決まります。
カスタマーサクセスにBPOやコンサルなどの個性がある場合などは通常のサービス提供ともかなり異なります。
【ハーフタイム】余談と宣伝
最近、"X"を頑張ってます。
私自身、カスタマーサクセスとして何もわからないときから先人の知恵をXやnoteから得ていました。
3年ほどで、CS組織の立ち上げやOps、エンタープライズ向け支援などを経験してきたので、私もより多くのカスタマーサクセスの方たちに有益な情報を届けれればと思い、本気を出してます。
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【後半】カスタマーサクセスに求められるボランチ要素
後半は、実際にカスタマーサクセスに求められている、またはこれから求められるであろうボランチ的な要素を整理していきます。
自分に置き換えて、現状とのギャップを含めて考えていただくとよりイメージしやすいかと思います。
1. 企業の中心になる
カスタマーサクセスは企業の中心(チームの心臓)となるべきです。
なぜならば、顧客に1番近い立場でサービス全体を向上させるインサイトを持っているからです。
チームの心臓としてあらゆる場所に顔を出して、働きかけることが重要です。
詳しい内容については下記の記事が1番参考になります!
2. どこにでも顔を出す
カバー範囲はかなり広めです。最近ではより役割が多くなっています。
顧客のインサイトを1番持っているからこそ、営業プロセス内のトライアルやマーケ、開発などでの活躍も求められています。
現に、PdMと兼任されている方などとお話しする機会が最近多いです。
また、営業プロセスに入るべきという点については下記から分かる通りスタンダードになっていくと私は考えています。
3. 各メンバーの個性とチーム構成を総合値で考える
カスタマーサクセスといっても、様々な役割が存在します。
また、在籍しているメンバーの個性も含めてチームとしてバランスの取れた構成を創っていくことが必要です。ちなみに間違いはほとんどありません。
攻撃的なメンバーを揃えて、ほぼ営業組織的にカスタマーサクセスとして支援をしていくという方法が出てきても面白いなと思っています。
大事なのはそれぞれの個性とチームの総合値がどのようになっているかをマネージャーは理解して進めていくことです。
ここについては、ワンピースと三国志を読みましょう!
4. カスタマーサクセス スタイル・タイプの定義
最終的には、自分たちがカスタマーサクセスとして、どのようなスタイル・タイプなのかを定義することが必要です。
なぜかというと、"カスタマーサクセス"がその企業、または事業を表すことになるからです。
支援方法や体制によって、営業プロセスやプライシングなど様々なものが変化していきます。
スタイルとタイプの考え方については、下記の記事をみていただければわかります。
いかがでしょうか。
もちろん、サッカーのボランチは具体的にはパスやドリブル、シュート、ディフェンスなどをしていますが、今回はあくまで考え方やチームにおける役割としてカスタマーサクセスとの共通点を挙げていきました。
ここについては引き続き、深掘りをしてさらにブラッシュアップしていこうと思っています。
ここまでで疲れてしまった人はベンチで休んでいてください。
ここからはサッカー好きによる延長戦です。
ヘトヘトになっていても、試合終了のホイッスルまで走り抜いてください。
【延長戦】歴代ボランチ選手をカスタマーサクセス的視点で紐解いてみた
私たちが愛する歴代のボランチ選手たちに準えて、カスタマーサクセスを紐解いていこうと思います。
ここについてはぜひ興味ある人間で集まって議論したいくらいなので、いつか企画します!
1. 遠藤 航
我らが日本の誇り。
決して大きなフィジカルを持っているわけではないが、世界最高峰の舞台で今現在、名を轟かせている"デュエル王"です。
特徴としては、DMFでCBの前にいるアンカー的ポジションとなります。
一昔前は、DMFというとディフェンダー出身で背の高いフィジカルモンスターのような選手たちが主戦場でした。
ただ現代では守備だけでなく、最終ラインと一緒にビルドアップを進めていく攻撃的な役割を担うことが多いです。むしろ、攻撃のスタートを任されるので守備しかできないようでは難しいポジションになりつつあります。
特にリヴァプールは、相手を押し込む状態が続くチームであり、CM(インサイドハーフ)とSBが高い位置を取るため、カウンター時のディフェンスが手薄になります。
彼の凄さは守備的な役割であるのに、攻撃的に前へプレッシャーにいけるところです。本来であれば、自分のマークやスペースを空けることは難しく、リスクが伴います。
しかし、彼は高い予測能力で未然に相手の攻撃を防ぐ役割を世界最高峰の場で継続的に行っています。
彼がいるおかげで、チーム全体で相手を押し込んだ戦術を実現できています。
"カスタマーサクセス"においても、彼みたいな人間が1人いるだけで超攻撃的なチームを創ることができます。
2. セスク・ファブレガス
どこにでも溶け込めるオールマイティなボランチ。
アーセナル時代は俗にいう"チームの心臓"として、ゴールもアシストもできるボランチとして活躍しました。もちろんその後も、バルセロナやチェルシーなどの強豪で、主力として様々な役割を担っていました。
しかし、私が最も印象に残っているのは2010年の南アフリカW杯での0トップとして起用されたときです。ボランチの彼がいきなりスペイン代表の最前線のポジションで当たり前に活躍していました。
もちろん、チームとしてFW不足という課題もありましたが、あの戦術は「セスクを活かすためのものだった」とも言われています。現にティキタカスタイルで圧倒的な強さを見せつけ、スペイン代表はW杯を優勝しました。
ボランチと言われたら、コートの中央で役割をこなすというのが当たり前でしたが、彼はそれを覆して最前線であってもボランチ的役割をこなして、チームに流動性を与えました。あのようなパスサッカーが実現できたのは間違いなく、彼が正しい役割をこなして0トップを成立させたからだと私は思っています。
彼のように、常識として考えられるカスタマーサクセスの役割を飛び越えて活躍する人が今後どんどん現れてくるだろうと考えています。
3. アンドレア・ピルロ
イタリアが生んだピッチの支配者。
2006年のW杯優勝だけでなく、セリエA黄金期を支えた1人です。177cmとそこまで大きくない中、DMFのポジションでチームを指揮する役割を担っていました。
特徴的なのはパスです。両足とも精度が高く、狙った場所に狙った強さでパスを出せる選手でDMFのレジスタという役割を創った存在です。
また戦術眼が鋭く、ゲームの流れや周りの選手たちを考えたプレーを彼からスタートできる能力がありました。
例えば、早いゲーム展開のときはあえてスピードを緩めたり、相手のウィークポイントに対して積極的にボールを供給したり、というのをその場で判断して、チーム全体の戦術をゲームの中で変えていけるような選手でした。
彼から攻撃がスタートするので、ゲーム中はとにかく彼の元にまずボールが集まってきます。
攻撃面だけでなく、ゲームをしっかり終わらせるという役割も担っており、相手チームを含めて自らボールを持って状況を変える・バランスを維持する、などのために常に周りの情報と細かい意思決定ができたからこそ、ピッチの支配者と呼ばれるようになったのではないかと思っています。
彼のようなカスタマーサクセスがいることにより、細かいリソース配分や勝ちパターンの創出など、チームとして動く上で最適解を常に実現することが可能になります。
4. クラレンス・セードルフ
最強の万能選手。
テクニック、スタミナ、スピード、シュート、戦術眼など全てをとっても世界最高峰でした。早熟で10代からすでに活躍していて、アヤックスが生んだ最高傑作とも呼ばれていました。
OMF、CM、DMFとミッドフィルダーが担う役割やタスクは全てこなし、それに加えてゴールもコンスタントに決めていました。
実は私は、彼のようなカスタマーサクセスになりたいです。
強靭なフィジカルと無尽蔵のスタミナを持ちながら、繊細なテクニックと抜群のスピードでなんでもできてしまう彼に憧れています。
カスタマーサクセスとしてチームを勝たせるために、オンボーディング・アドプション・エクスパンション・リテンション・OpSなどのあらゆる場面で圧倒的な量と高い質を出せる人間になることを目標に日々アウトプットしています。
必ず、「カスタマーサクセス界のセードルフ」になります。
試合終了。
最後まで走り切りました。お付き合いいただきありがとうございます。
今回挙げた特徴や共通点は、ほんの一部であるためまだまだ掘り下げていけそうです。
そのために、まずはたくさんサッカーを見ます。
興味ある方はスポーツバーなどで語りましょう!
それでは、また。
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