見出し画像

介護事故を起こさないという幻想

こんにちはアルゴです。
メインブログ【スローライフの歩き方】
https://lovemyhome.jp

「また事故を起こしてしまった・・・(-_-;)」
「報告書を書くのか・・・、イヤだなぁ、残業だなぁ。」
「利用者さんに痛い思いをさせてしまったなぁ。


どうやったって防ぎようのない介護の事故。

・有用な対策と無意味な対策
・アフターフォローの重要性
・事故を恐れない心構え

といった内容についてお話しします。

アルゴ

この記事を書いているわたしは
・介護業界で15年就労
・介護福祉士、ケアマネジャーの資格保有
・特養、デイサービス、ショートステイなどで
介護職員、ユニットリーダー、施設ケアマネ
主任、副主任、相談員などを兼任・歴任


事故を完璧に防ぐことは不可能

画像2


特養、老健、デイ・・・
様々なかたちの
介護保険サービスがありますが・・・

いずれにしても
事故を100%防ぐなんてできない。
これが結論になります

たとえば
「今月は事故ゼロをめざそう!」
・・・という目標をたてるとして、
内容やこころざし自体は悪くないです。

ですが
それは目標であって、
結果、1件でも事故が起きてしまったら
その目標は達成できない
ということになります。

介護保険サービスを使う高齢者は
要支援か要介護であって、
必ず何かしらの疾患をかかえています。

そうでなければカンタンに入所したり、
介護サービスを使うことは
できませんからね・・・・ω・

事故はどんなに苦労をしても
どんなに気を付けていても
起こってしまうものなのです。

事故を起こした自分や
他人を執拗に責めることはしないこと。
これが重要です。

なので、
結果的に事故が起こってしまった場合、

「何でこういう対応をしなかったんだ!」

となげいていても
起こってしまった事実は変わらないですし、
仕方ありません。

わたし自身も介護業界で長く働く間に、
30〜40くらいの事故は起こしてます。
(多いのか・・少ないのか)

最初は確かに落ち込みますし、
決して気持ちの良いものではありません。

こういう記事を書いている私も、
事故は起こらないに越したことはないと
当然思ってます。

ただし転倒事故などは
介護職員がいくら注意していても
起こってしまうものなのです。

いくら元気な人でも
急に膝折れをして
転ぶこともあります。

そのようなリスクを
すべて加味して
すべての人の移動につきそう・・・など
とうていムリな話ですよね。

介護現場というのは
あきらかに少ない人員で
同時に高齢者をケアしているわけですから
そもそも100%事故をふせぐなど不可能なのです。

起こしてはいけない事故

画像3

とはいっても、
起こしてはいけない事故もあります。

それは
誤薬(ごやく)事故をはじめとする
ヒューマンエラーです。

これは下手をすると
人の命を奪うことにもなります。

事故の種類に様々なものがあり、
先ほどお話ししたように、
どんな元気な人でも転ぶのですから、
防ぎようがないものがたくさんあります。

ですが、
別の人の薬を飲ませてしまうという誤薬事故は
100パーセント、職員の不注意です。

とはいっても、
これだけ多くの介護施設があり、
これだけ長くの歴史があるのに、
こうしたヒューマンエラーが
なくならないというのは
原因と対策がきちっとできていないからです。

わたし自身、
誤薬事故は幸い
一度も起こしていませんが、

「自分も油断すると起こす」
「薬だけは怖い、慎重に」

という気持ちで
いつも業務を行なっています。

しかし、
管理者やリーダーの立場からすれば、
こうしたヒューマンエラーでさえも、

「年に1度は起こってしまうものだ」

と認識し、
対応策を徹底させなければいけません。

では、
次の見出しから
具体的にどう対策をたてるべきか・・・
という部分についてお話しします。

有用な対応策と無意味な対応策


事故は起こることを
完璧に防ぐことはできないとお話ししましたし、
これに関しては皆さんもご理解いただけるでしょう。

大切なのはここからです。

対応策が大事・・・
といっても具体的にどうすればいいのか・・・??

職員がひごろから

「事故をぜったいに起こしてはいけない」


・・とおびえて仕事をするようになったり、
ピリピリとはりつめて仕事をするようになってしまっては
正直、もとも子もありません。

よく、

「あーあ、事故起こしちゃったよ。
事故報告を書かなきゃいけないんだ」

となげく人がいます。

帰ろうと思ったところに事故が起き、
報告書作成のために残業になってしまう悲しさ。

わたしも経験があるし、気持ちはわかります。
正直ヘコみます(-_-;)

でも、大切なのは
自分が報告書を書きたくないから事故を起こさないのではなくて、
用者さんに痛い思い、
ご家族に苦しい思い
をさせたくないから事故を起こさない・・・

という気持ちで業務にあたるべきでしょう。


事故を完璧に防ぐことはできませんが、
対応策や防止策をたてていなかったら、
まちがいなく事故だらけになりますね。

それはそれでヤバイ状況です。
まぁ、そんなことはないでしょうが。

なぜ事故は起こったのか・・・?
次からどうするか・・・?という
原因究明と対応策が重要です。

そして、
今までたてていた対応策が
きちっと守られていたのか・・・?

これに関しても検証する必要があります。


管理職の立場で
報告書をチェックしていると
対応策がテキトーにすまされていることが
多いんですよね。

対応策に
・今後は注意する
・気を付ける
・見守る

など、
具体的なことが
何も書かれていないことが多すぎる٩(๑`^´๑)۶

介護職の質の低さを露呈してしまっています

注意や見守りをするなら、
どこのどういう部分に注意をするのか?

事前に職員が行なっておくことは何か?

ということを書く必要があります。

職員が本当にできる対応策かを考える

そして重要なのは、
それが対応策としてきちっと守られるのか・・・?
ということも大切です。

転倒をしてしまった利用者さんに対して・・・

・今後は必ず職員がつきそう

という対策をたてたとして、
それがホントーにできるのでしょうか??

わたしたちは
数少ない職員で多くの利用者さんを
ケアしています。

さきほどお話しした
ヒューマンエラーに対する対策では
必ず〜するという対策は
必要かもしれませんが、

転倒や転落事故に対して、
必ず職員がつきそう・・・というのは
ホントーに可能なのでしょうか??

できもしないことを
対応策に入れるというのは
テキトーに報告書を書いたのと
変わらないことになります。

そして
それを絶対守らなければ・・・と
職員がピリピリし、
働きづら〜い職場
になります。

現場の雰囲気も悪くなります。

対応策で大切なのは、
100%再発を防ぐことではなく
10%でもリスクを減らせれば良いので、
必ず実施できることを書きましょう。

そしてそれでもまた事故が起こったら、

「その対応策ではだめだったんだ・・・。
じゃあ、必ず実施できることで
他にできることは何か?」

と考えていきましょう。

怪我のリスクを軽減させる対応策

事故を防止する対応策も大切ですが、
それがいきすぎると
職員の負担にもなりますし、
利用者さんの身体拘束につながるおそれもあります。

そこで視点を変えてみましょう。

ベッドから転落の可能性がある利用者さんは
ベッドの位置を低床にしておくとか
衝撃緩和マットを敷いておくとかです。

まぁ、
ここまでの対策は
どこの施設でもやっているかと思います。

しかし、
こうした対策をして
絶対に怪我をしない状況にしておければ
万が一転落したときに
事故と処理しなくても良いことがあります。

ヒヤリハットは多いほうがいい

ヒヤリハットが何か・・・?
ということはいちいち説明しません。

でも、
介護職の中には
「ヒヤリハットを減らそう」
などというように、

ヒヤリハットが悪いもの・・・
というとんでもない勘違い
をしている人がいるのです。

それがわたしの前の職場の
事故委員会の委員長だったからおどろきですw

ヒヤリハットは
実際に事故が起こっていなくてもわかった
「気づき」ですから
たくさん書くことで
事故のリスクを下げることができます。

わたしの今の職場でも、
ヒヤリハットの件数が多いユニットは
事故の件数が低い・・・と
完全に反比例しているのです。

こうしたデータからも
ヒヤリハットがいかに重要かがわかります。

ヒヤリハットは
事故報告の対応策と同じように
自分だけが気を付けてればいい
というわけじゃないです。

すみやかに共有できるかたちを
職場内で作りましょう。

事故の考え方に対してケアプランは超重要

ケアプランは
現場の介護職員にとって
あまりなじみのないことが
多いようです。

ただの書式、形式的なもの、
チェックをするだけのもの・・・
と思われがちです。

しかしケアプランは
ご本人、ご家族の同意という
効力の高さがあります。

ここに
事故防止策で、

「ここまではやります」

ということを書いておけばいいのです。

でも
ここから先がもっと重要で、

「ここから先は
ご本人の意思もあり、
職員による介入が難しいので、
ご本人意思にまかせます」

といったことも書けます。

「転倒防止のために
ぜったいに付き添わなければいけない」
といったことも
ケアプランでそれはできないということを書いて
同意をもらえば、
もうそれはやる必要がないのです。

先ほどお話しした
ベッドから転落リスクのある利用者さんに対して、
ベッドを低床にして
緩和マットで怪我をしない状態にして・・・

ケアプランでは
「今後、落ちることがあっても
介護職、看護師によるボディーチェックをして異常がなければ
事故として処理はしません」

といったことも同意を得れば可能です。

事故の定義というのは
その施設によって取り決めがあるはずですが、
利用者さんの個別対応においては
ケアプランの効力が有効になってくるのです。

これは何か執拗なクレームが起きたときにも
大切なケアの根拠
になります。

「ほらね・・・
ほらここにこう書いてあるじゃないですか!(*´∀`*)
ちゃ〜んと同意もらってますからね」

といったことが言えるのです。

職員の働きやすい職場を作ろう

繰り返しになりますが、

「事故は絶対おこさない」

という考え方には無理がありますし、
きこえが良いキレイゴトです。

何でも
規則でがんじがらめすれば
言いわけではありません。

かといって
対策はきちっととる必要があります。

そしてその対策が
有用なものでなければ活かされないし、
かえって職員が働きづらくなるのだ・・・
ということを
この記事ではお話ししてきました。

「仕事がつらい」と思う介護職は
正直、介護にむいていないのかもしれません。

自分で楽しくする工夫も必要ですし、
つらさを解消するための
努力、勉強、スキルアップも必要です。

ですが、
そうした環境をつくる
管理者や、中間管理職の仕事は
もっともっと重要です。

わたしは
オープンしたての介護施設で働いていますが、
老舗の介護施設ほど
改善がむずかしくなってきます。

今までの常識にとらわれず、
もっと柔軟な対応を取り入れましょう。

職員が働きづらい職場が
利用者にとっての楽しい施設になるわけないです。

今回の記事では
「介護事故」をテーマにお話ししましたが、
職員が楽しく働ける施設・・・という課題は
わたし自身とても重要なことととらえてます。

これからもブログで発信していくので
よろしくお願いします


サポートですか・・・。人にお願いするまえに、自分が常に努力しなくては。