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潮風と街並みとサイクリングと①

しまなみ海道を自分の自転車で走るのは、長年の夢だった。

輪行とは

輪行とは、自転車をタイヤを外すなど分解して公共交通機関に運び入れることのできる形に梱包し、移動先でサイクリングを行うことである。装備さえ用意すれば自分の自転車でどこでも行くことができ、行程の自由度を圧倒的に高めることができる。

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マイ自転車はこれ。GIOS MISTRALの限定色マットブラックで、これがかなりのお気に入り。今までの最長の走行距離は自宅⇔大学の通学に使うのがせいぜいだったが、一念発起(?)して輪行に挑むことにした。

そうして、今回の旅の目的を以下のように設定した。

  • 瀬戸内海・しまなみ海道を輪行する

  • 島々をフェリーで巡る

  • 瀬戸内海に点在する重要伝統的建造物群保存地区を巡る

実行を決めてから、Amazonで輪行袋・ヘルメット・工具・替えチューブなどを購入。更にMontBellショップにてインナーやタイツなども調達し、自転車の分解を練習するなどした。
そして当日、朝8:30羽田発の飛行機で広島空港へ。

竹原へ

広島空港には10:55着。手荷物受取所でマイ自転車を受け取り、組み立てていざ出発。

まず竹原に向かう。標高330mの広島空港から海に面した竹原まではほぼ下り。体力を温存しつつ45~50分ほどのライドで竹原の古い町並みへ。

町並み保存地区

竹原は製塩業で栄えた町である。江戸時代に湾を埋め立て新田開発を行ったが適さず、播磨国赤穂の技術を取り入れ入浜式塩田として転用したところ大成功を収めたという。竹原での製塩業は昭和時代まで約300年間続き、基幹産業であり続けた。

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Zeiss Planar T* 2/50 ZM

製塩町としての繁栄を礎に、酒造・廻船業など事業の多角化に成功した商人たちによって築かれた本瓦葺・漆喰塗籠の屋敷が並ぶ重厚な町並みが、明治以降町の中心が徐々にかつての塩田跡地に移ったことで現在までその佇まいのまま保存されたものが、竹原の町並み保存地区である。

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町並みと路地に誘われて
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

空模様は曇り。雨が降らなかったのはまだよかったが、また晴れているときにもう一回訪れたい。所々露出アンダーの写真が多いので画面を明るくしてご覧ください。

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竹原の町並み その1
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

密度の濃く、重厚な町並みを目の当たりにして撮影が進み、テンポよくシャッター音が響いていく。

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かざりもの
Zeiss Planar T* 2/50 ZM
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NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

左手に見えるのは竹鶴酒造。創業400年を超える酒造で、ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝の生家である。政孝はNHK連続テレビ小説「マッサン」の主人公のモデルであり、知っている人も多いのではないだろうか。

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竹原の町並み その2
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE
「季節はまだ早いけど」
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE
竹原の町並み その3
Zeiss Planar T* 2/50 ZM
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町に育まれて
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

幼稚園の散歩を見かける。こんな風光明媚な地区で育つことが出来るのが羨ましい。美しいものに常日頃から接することができるのは、或る意味特権といって差支えないだろう。

松阪家住宅

伝建地区の主要な構造物の一つ、松阪家住宅を見学することにした。

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松阪家住宅
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

松阪家は製塩のほか、燃料や薪を扱ったり、廻船業など多角的に営んでいた商家で、この邸宅は江戸時代後期に建てられ、明治時代に大規模な改修が行われた。波打つような瓦葺きの屋根、鶯色の漆喰、格子状の窓など華やかな造りをしている。

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松阪家住宅 縁側
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE
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窓から庭園を覗く
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE
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松阪家住宅 室内
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

今回の旅では、古民家をいくつか巡ったが、室内や庭園をもっと上手く撮れるようになりたい。精進あるのみ。

西方寺・普明閣

西方寺・普明閣は伝建地区のすぐ裏手の高台にある寺院である。

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古い建物と階段
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE
西方寺
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

高台からは竹原の町並みを一望することができるため、人気の観光スポットの一つだ。

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普明閣より竹原の町並みを望む
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

手前の瓦葺きの町並みから奥に向かって市街地が発展していった歴史の流れに身を置いているような気がする。

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Zeiss Planar T* 2/50 ZM

桜はまだ7分咲きといったところ。

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石段の先に続く街
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

これは今回の旅でもベストショットの一つ。ドラマティックに風景を切り取ることができた。

たまゆら聖地巡礼

2010年より放映されたアニメ「たまゆら」シリーズはここ竹原を舞台としている。横須賀から引っ越してきた高校1年生の沢渡楓(CV:竹達彩奈)が、写真やまちを通じて人と出会い、成長していく物語である。

テレビシリーズ1期を見ただけではあるが、竹原の町並みを忠実に描いた絵とほんわかした作風が気に入り、登場した場所を巡ることにした。

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NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

町並み保存地区の入り口の看板は何度も背景として描かれている。

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日の丸寫眞館
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE

楓がいつもお世話になっている写真館。

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Zeiss Planar T* 2/50 ZM

作中に登場するお好み焼き店「ほぼろ」のモデルとなった「ほり川」さんで昼食をいただく。

腹ごしらえ
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE


フェリーで大崎上島へ

竹原港

昼食のあと、12:55発のフェリーに乗船するため竹原港へ。観光船には乗ったことがあったけれど、フェリーに乗るのはこれが初めて。

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休息
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

乗船券を購入し、桟橋で待っているとフェリーがやってきた。

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'arrival'
Zeiss Planar T* 2/50 ZM
「行ってらっしゃい」
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

白水港から乗ってきた自動車を送り出してから乗船開始。折り返しとなるこの便でも乗船スペースに乗用車・トラックが息つく暇もなく乗り込んでくる。

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日の丸構図で日の丸を
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

定刻12:55に出発。人生初の船旅!なんて思っていたが、地元の人にとってはフェリーは必要不可欠なインフラなのだと新鮮な思いで船旅へと繰り出す。

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行き違い
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

乗船時間は30分ほど。
やはり瀬戸内の海は穏やかだ。

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斜光に照らされる相棒
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

だんだん大崎島が見えてくる。

大崎島 垂水
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

こちらも定刻13:25に白水港に到着。

さてここからは、大崎上島を明石までサイクリングするとしよう。

②へ続く


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