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潮風と街並みとサイクリングと②

前回の記事はこちら↓
竹原の写真を中心に記事を書きました。結構自信作なのでまだ見てない人は是非。

今回はその続き、大崎上島の白水港から明石港へのサイクリングの記録をまとめてみるとしよう。

大崎上島にて

白水港を出発し、木江の古い町並みを目指す。

白水から木江へ

白水と木江は山を挟んで反対側にあり、標高50mほど緩やかな坂を登り、トンネルを越える。

トンネルを抜けた先に
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

坂を下ると木江の集落はすぐそこに。午前中は曇っていたけれど、段々と景色が明るくなってくる。

Zeiss Planar T* 2/50 ZM

木江港

木江港は天然の良港であり、享保年間のころから沖合いを通る船が増加し、潮待ち、風待ちのために港が整備され賑わいを見せたという。明治には造船が盛んになり、大正時代のピークには造船所の数は25に達したという。

造船所のある港
Zeiss Planar T* 2/50 ZM
'asymmetry'
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

水蒸気を纏ったような海特有の空気感が僕は好きだ。昼下がりの静寂にカメラのシャッター音を響かせながら、なんとかこの"空気"を写しとれないか、試行錯誤が続く。

陽が差し込んで
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

太陽が雲から顔を見せると、まるで化学反応のように幻想的な光が差し込んでくる。この瞬間こそ艶かしい色を撮像素子に届け、"空気感を写してくれる"Planar 2/50の本領発揮といったところだ。

海は静寂に包まれる
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

木江の古い町並み

港町の発展に伴って、繁華街・旅館街・遊郭として街は賑わいを見せたそうだ。その面影が今もいくつか残っている。

木造5階建て住宅
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木江港の北側に、日本で唯一の木造5階建て住宅がある。元々大正6年に料亭として建てられたものが現在まで保存されているということだが、現在は建築基準法により木造住宅は3階建てまでしか建てられず、ここにしかない貴重な住宅だそうだ。

集落は山の斜面の方にまで広がっている。さらに南の沖浦や明石といった集落ではミカン栽培が盛んであり、木江のこのような山腹の集落もその名残なのだろうか。

Zeiss Planar T* 2/50 ZM

50mmの焦点距離で中景の被写体にピントを置いて得られる立体感がたまらない。物語は往々にして被写界深度の外から始まるものである。

こういう港町には必ずと言っていいほど猫がいる。
怖がられない距離感を探りながら、そっと近づいてシャッターをパシャリ。

2分間の友情出演
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

造船所のある入江から南に行くと、天満桟橋に着く。ここには天満⇔宗方⇔今治のフェリーが就航している。

天満桟橋前
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

ちょうど出発のタイミングだったようだ。

'departure'
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

天満桟橋から少し南に行った海沿いの車通りの一本山側の道に、古い町並みが残っている。往時の港町の風情を残したこの町並みでは、一階に対して二階・三階がせり出している構造の民家が多く、特徴的な景観を形成している。二階部分に手摺が設けられているのは遊郭の名残だという。

木江の古い町並み
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

竹原ほどの華やかさはないが、確かに往時の賑わいの跡が残され、そして現在まで綿々と人々の営みが続いているのだと肌で感じることができた。

木江から明石へ

小長(おちょう)港へのフェリーが出る明石港へ向かう。

今回、Zeiss Planar T* 2/50 ZMを新調した目的の一つはカーブミラーを撮ること。淡色の海とガードレールと山を背景に浮かび上がる橙色に目が向く。

瀬戸内の島のカーブミラー No.1
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

通りすがりに造船所を見つけた。まさに船が建造されている最中で、こんなに外から丸見えでいいのか?とびっくりしたが、見たことのない景色についシャッターを切ってしまう。

'Constructed...'
Zeiss Planar T* 2/50 ZM
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

少し行くと沖浦の集落の手前に奇岩を見つける。「弓張岩」といい、海賊を撃退するために弓の弦をこの岩に括り付け船めがけて矢を放ったという伝説が残っている。

弓張岩
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

沖浦や明石といった木江の南側の集落は、豊町大長の「渡り作り(船を用いて近くの島のミカン畑に耕作に行く)」の影響を受けミカン栽培が盛んであった。もっとも、多くのミカン畑は大長の農民の所有になっていたというから、距離の近い島同士は海上交通を通じて密接な関係があるのだなと感じた。

明石の町とミカン畑
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

明石港

明石港にはフェリーの出発約30分前に到着。自転車を待合所に止め、明石の町を散策しに出る。

天に向かって
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

防波堤にポツリと建つ灯台と空のトーンが印象的だ。淡い色合いを量感豊かに表現でき、個人的にとても満足している一枚である。

こんな写真が撮れたのも、Zeiss Planar T* 2/50 ZMがハイライトを破綻させずよく粘った質感のある描写をしてくれるおかげだ。このレンズを買ってから積極的にハイキーの写真を撮るようになった。

'tension'
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

加えて、ボケとそれにより生み出される立体感もたまらない。開放F値が2とそれほど明るい単焦点レンズではないが、その描写にはとても満足している。

漁は一息ついて
Zeiss Planar T* 2/50 ZM
瀬戸内の島のカーブミラー No.2
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

道の横に流れる小川とコンクリート造りの小橋に郷愁を感じる。

明石の町並み
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

船がやってくる。
いよいよ小長港へのフェリーが出航だ。

'SLOW DOWN' for ferry
Zeiss Planar T* 2/50 ZM

③に続く


写真は全てNikon Z 6で撮影、Adobe Lightroom Classicで現像


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