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ワークライフバランスって、育児とか介護とか?・・・いえ、違います

『ワークライフバランス』って、どんなイメージあるでしょう。

結構あるのが「育児とか介護とかがある人のため」といったもの。

結論からいいます。

「違います。」


そもそも日本の一人あたり生産性は、先進国最低水準です。

もちろん生産性指標は産業構造の影響を受けますから、数字通りの差とは限りませんが、長時間労働が多く生産性が高くないことは否定できません。

なぜこうなるのか?

それは『時間量=がんばり』と捉えているから。

高度経済成長期というのは、戦後復興のいわば「特異点」でした。

このとき求められたのは、官民あげて資源やリソースを集中して、どんどん時間を投下してモノを生産することでした。

簡単にいえば、長時間残業すればするほど儲かる。給料が上がる時代。

今は違いますね。

残業しようがしまいが、問われるのは「競合優位性のある付加価値をいかに生むか?」

生まなきゃいけないのは「価値」です。従って、時間量じゃなくて、クリエイティブさやイノベーションが問われるべきです。

ところが、未だに大企業を中心に、このことがわかっていない。

わかりやすく例をあげます。

例えば新規開拓がうまく進まないとき。

○『時間量』発想の場合

「何件電話したんだ?もっと電話をどんどんかけろ!」

○「価値」発想の場合

「電話するターゲット設定がふさわしいのか精査してみよう。」

でも、結局『時間量』発想から抜け出せていない企業がまだまだ多い。

だから「残業している人=がんばっている」という評価にもなる。


だから生産性が低くなるんです。

つまり問われているのは、「育児とか介護だけじゃなくて、働く人(特に会社員)全員」なんです。

もうひとついいます。

1日8時間、休憩1時間。

これ18世紀の産業革命の工場労働を前提にした働き方なんです。

別にニュートンの法則でもなんでもない。人間が時代に合わせて勝手に作ったものに過ぎません。

従って、週休3日だろうが、なんでもいいんです。

現にフィンランドでは週休3日原則の検討が始まっています。

「価値」を生むためには、その人の力を最大限に発揮しなくてはいけません。

そして「その人にとって最適な働き方」は、100人入れば100通りです。

育児とか介護がある人も、ですが、それ以外の人も全員「産業革命の労働形態を一律的に適用」しているというのは、どう考えてもおかしな話です。


それに1日8時間。休憩入れて9時間。残業すればそれ以上。

一日の大半を同じ職場で、同じ人と同じように仕事をしていても、生産性は上がりません。企画書がうまく書けないなら、上司に相談するより、さっさと早退して、他社で働く知人やセミナーに出た方がよっぽどヒントを得られるでしょう。


というわけで、

『ワークライフバランスとは、働く人全員の、その人個人にとって最適な働き方の実現』なんです。

そして、日本は特に

「時間量」発想から「価値」発想への転換。
「工場労働」から「クリエイティブな働き方」への転換。

これが求められています。

そう考えると、世の中の企業の経営者、特に大企業のIRでは「ワークライフバランス」だ「働き方改革」だと書いてはいますが、まったくもってパラダイム・シフトの本質を理解できていないということがわかります。

前にも書きましたが、経済や社会の閉塞感は、少子高齢化が原因じゃなくて、1960年代にしがみついているからです。


ちなみにトマ・ピケティによれば、そもそも資本主義というのは右肩上がりではなく、「定常的成長」が”普通の状態”なんです。

つまり今「低成長」とか表現されてますが、今が「普通の状態」だということです。それが「低」といわれるのは、未だに高度経済成長期を理想としていることの証左だとも思います。



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