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カフェのお姉さん

カフェの隣にいたお姉さん。
細身でスポーティな服装で、キャップを被り
全身黒で揃えたスタイリッシュなお姉さん。
16時過ぎのカフェにヘッドセットで首にかけ、
肩当てがしっかりとついているリュックをどさっと
自分が座る席の反対側に下ろした。
座った途端に待ちきれないと言わんばかりに、
注文したカルビサンドを両手に持ち、
ふーふーと冷ましてから頬張るお姉さん。
人目を気にせず大きな口を開けてガッツリと、
口についたソースも拭わず
黙々と食べ進める。

食べ終わるとすぐに
ノートパソコンを取り出して仕事を始めていた。
かっこいいモデルのノートパソコンを
真剣な眼差しで見つめ考えを巡らせていた。

特に盗み見ているわけではないが、
人をチラチラみることは
やはりどこか背徳感を感じる行動なので、
隣の席で、壁の柱に頭をあずけながら
本を読むと視界に入ってしまうのだ、と
言い訳をしながら同じ女でも
ついついカッコよく仕事をする
お姉さんに目がいってしまうのだった。

今の私はどんなふうに見えているのだろうか。
平日の夕方、本を読んだり、メモをとったり、ぼーっとしてみたり。
定職に就いていない、ふらふらしているだけの人と
思われているのだろうと思う。

すっと首が前に出て姿勢が悪くなっていることに
ハッと気が付いてぐーっと小さく背伸びをするお姉さんに
私はどこか目を離せなかった。

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