診療報酬と介護報酬の同時改定について

一般的に、介護施設に入所すれば、介護費は在宅でのそれを上回ることでしょう。
ただ、医療費はどうでしょうか?
施設介護と在宅介護において、医療費に違いは出るのでしょうか?

ここで、施設介護と在宅介護に関わるコストを、医療費まで含めて分析したオランダの2020年の研究をご紹介します。
研究によれば、介護費のみの場合、施設での介護費が在宅でのそれを上回ったが、医療費も含めた総額で見ると、両者はほぼ同じだったとのことです。
在宅介護の利用者の方が入院する割合が高く、医療費の増加が介護費の減少を打ち消したためであるとされています。
しかも、1年後の死亡率に変化がなかったとのことです。

このように、介護サービスを増やすことで、入院を減らすことができれば、医療や介護資源の配分の適正化に繋がるでしょうし、その逆も同様です。

我が国においても、認知症の新薬であるレカネマブのように、高価でありますが、治療(医療サービスの提供)の結果として、介護コストが大幅に減ることも考えられます。
その場合、仮に医療費が増えたとしても、社会全体としては望ましい資源の使い方と言えます。

診療報酬と介護報酬の同時改定は、両者の連携の向上が期待されるというだけでなく、両保険制度の垣根を超えて、資源配分を最適化する良い機会でもあるのです。

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