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花相の読書紀行№.105『恋大蛇 羽州ぼろ鳶組 幕間』

気になる登場人物たちのその後、心ゆさぶる三つの物語。

【恋大蛇 羽州ぼろ鳶組 幕間】/今村 翔吾
<あらすじ>
恋と火事は、江戸の華。
咲かせたくもあり、咲かせたくもなし。
流人となった男、酒呑み火消、次代を担う若頭。
三人の脇役たちが織りなす、心ゆさぶる物語。

救えなかった命――猛火に包まれた幼子の悲鳴が聞こえる。炎への恐怖に萎む心と躰を麻痺させるため、今日も〝蟒蛇〞野条弾馬は、酒を呷って火事場に臨む。京都常火消、淀藩火消組頭取に己を取り立ててくれた心優しき主君が逝った。「帝を、京を、そこに住まう人々を救え」今際の言葉を胸に刻んだ弾馬は……(「恋大蛇」)。
表題作の他二編を収録、シリーズ初の外伝的短編集。
◆第1話 流転蜂 
八丈島へ渡った鮎川転の火消しの矜持。
◆第2話 恋大蛇 
酒飲み弾馬の苦悩と、紗代の想い。
◆第3話 三羽鳶 
黄金の世代を引き継ぐ、与市、銀治、燐丞の物語。

★感想
気になる脇役たちの、気になる過去やその後を惜しげもなく書いて頂いています。
これを幕間とは、何と贅沢な!

第1話の『流転蜂』
気になってた“鮎川転”のその後を描いた物語には、己の罪を真摯に受け止め罪を償いながら、それでも火消しとしての魂を決して忘れない姿に心打たれます。

第2話の『恋大蛇』
弾馬と源吾の双子のような生き様を読み、一本気で屈強な男子には、拳を振るえる女がお似合いだと独り言ちました。               紗代の弾馬を支える姿が、深雪と重なりすが、まあ元祖深雪には敵わないけれど‥‥。(笑)

第3話の『三羽鳶』
江戸火消しの次代を担う若鳶たちの暴走もまた、若き日の源吾たちの背中を追うように成長していくのでしょうね。

この3編と言う短い物語は、ちょっとした癒しの時間に手に取って読んで頂きたい作品たちです

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