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イケメンを拝む夏の夜

昨日は久しぶりに良いことがあった。

知り合いに誘われて行った飲み会に、とてつもないイケメンがいたのだ!!!

人生で出会ったイケメンの中で間違いなくトップスリーに入る。

本当に顔が整っていた。キレイな二重まぶた、筋の通った鼻、キラキラした瞳。センター分けされた韓流スターみたいな髪型。

見とれてしまう、とはこういうことかと思ったのだ。

芸能人でいうと、成田亮、山田亮介に似ている。ダレノガレ明美という意見も出た。ハーフ顔だが、純日本人らしい。沖縄出身らしいから、なんとなく納得できる。

周りのみんなも褒めちぎる。「絶対モテるでしょ?」「スカウトとかされるでしょ?」

芸能人が目の前に座ってるってこんなかんじなのかなぁ、と思った。そのくらい、衝撃的な格好良さだったのだ。

しかもまずいことに、イケメンのくせして驕り高ぶっていない。微笑んで「いやいや、そんなことないです。」と謙遜を繰り返す。

イケメンがいるととたんに緊張する私。興奮してるけど、その興奮を見せたくない。ちょろい女と思われたくない、お前が言うなとセルフツッコミしたくなるほどの身の丈に合わないプライドが邪魔をする。うまく会話に入れない。

一瞬、ふと目が合った。ドキリとした。

彼は24歳で4歳年下。年下には興味がない。無いはずなのに、その神々しい微笑みに、思わずギュンとなる。鼓動が高鳴るわたくしめこと喪女。

その刹那、彼はまたにこりと微笑んだのだった。

わたくしめと目が合い、そして逸らさずに微笑んでくださった・・・!

伊達に28年喪女やってませんよ、ここでもやはり変なプライドが邪魔をする。これでデレデレしてたらイケメンの思うつぼ。そんじょそこらの女みたいに私はあなたにこれっぽちも興味ありませんわ、な態度発動。目が合ったという絶好の機会にもかかわらず、何も会話を交わさず。彼は別の子との会話を始める。

女のプライドか。イケメンとの会話か。脳内をせめぎあう。

こういうとき、私はひたすら酒の力に頼る。手元のハイボールを一気飲みし、ハイボール濃いめを追加オーダー。周囲から「飲むの早っ!」という注目を浴びることに成功。イケメンもこちらを見ている!「へへへ、飲むのすきなんすぅ~」という酒好きアピール。モテる女が絶対しない謎のアピール。なんの実績もないこの酒好きアピールをなぜか私は毎回繰り返している。

酒も回ってくると、いよいよこの安いプライドをイケメンと話したい気持ちが勝る。自分がどう思われるかの心配より、この場を楽しみたいという気分になる。イケメンを肴に酒が飲める、サイコウッッ!!フォーーッ!!
と、ぐんぐんテンションが上がる。だから私は、酔いが冷めぬうちにイケメンに話しかけた。

イケメンは相変わらず礼儀正しく、微笑みながらわたくしめの質問に丁寧に答えてくれたし、会話を続けてくれた。

目を見て話を聞いていると、その瞳に吸い込まれそうだった。ずっと顔を見つめていたい、そんな気分だった。

飲み会が終わり、幹事が気を利かせLINEグループを作ってくれた。

帰りの電車で女友達としゃべった。もちろんイケメンの話で盛り上がる。

「やばいレベルのイケメンだったね!!!!!」

「どうする?こっちから連絡してみる?」

「えー、ハードル高すぎて私は勇気ないわ~。」

私の手元にある、イケメンの連絡先。

「飲み会楽しかったね!」

その一言すらいまだに打てない28歳の夏。

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