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やっぱり泣ける、M1アナザーストーリー

M1アナザーストーリーを見た。
昨年は確か休日の夕方枠だった気がするが、今年はテレ朝夜のバラエティ枠での放送だったから、お酒をちまちま飲みながら見たら至高だったし、案の定、泣いてしまった。

去年のやつだと最後、野田クリスタルと母親が電話をする場面で涙腺崩壊した記憶がある。

決勝進出した全ての芸人に密着してるんだからすごいよなぁ・・・。

最初の15分くらいはオズワルドの密着だった。きっと優勝候補だったからたくさん撮ったのかな。ツッコミのセリフに「じゃあ」が要るか要らないかまで詰めていた。静かそうな畑中さんがネタに関して色々と意見をしているのが意外だった。日々営業のステージが終わるごとにネタ合わせをし、決勝当日の午前中にまでもライブをいれて調整をしていた。
本当に本当に、本当にすごい。
こんなの見たら、応援せずにはいられなくなっちゃうね・・・。
そして、こんなにしてまでも、M1は優勝できない舞台なのだということを知った。

錦鯉のことはあまり知らなかった。
ボケの長谷川さん、ツッコミの渡辺さん、芸人の辞め時を見失っていた二人。渡辺さんが長谷川さんにコンタクトを取ったことから錦鯉がスタートしたことを知った。渡辺さんがもともとボケでやっていたのも知らなかった。渡辺さんが長谷川さんのギャンブルを止めさせた、そのことも知らなかった。「あの人が売れてさえくれれば良いと思っている」と言った。なんで?普通自分が売れたいと思わない?

コンビ歴は9年だけど芸歴は他の出場者と比べれば圧倒的に長い。40歳になっても飯が食えない、そんな状況で若手に混じって舞台に立つ。恥ずかしいとか、プライドなんてないのかもしれない。ただただ漫才を続けていく、月に5本の新ネタを作る、そうやって漫才に没頭していく。普通だったら出来ないと思う。

2020年に初めて決勝に行ったとき、結果が振るわなかった。その帰りの密着への回答、「今までは決勝行くということが目標だったけど、今は優勝したい。」

M1ってそういう大会なんだろうなぁ・・・・・!!!スッキリ終われるのはたったの一組。その他大多数は負け、その中の一世代のコンビは夢叶わぬままラストイヤーを迎える。

でも今年、彼らの夢はかなった。

彼らは、本当に努力したんだと思うし、その努力が運よく実ったのだと思う。

錦鯉の二人だって早々にあきらめて芸人を辞めて定職について、安定した生活を選ぶ、そんな人生もあり得たと思うし、実際、多くの芸人がそうなんだと思う。

別にどちらが正解とかは無いと思うけれど、でも自分の道を徹底してやり抜くことが、いつかはこうして実を結ぶのだと彼らは証明した。でも残念ながら、誰もがそうなれるかというと、そうではない世界だ。
いずれにせよ、バイトしながらいつ花咲くかも分からない芸を突き詰めるなんて私には生まれ変わっても歩めない人生に見える。

今年は注力してM1関連の情報やツイートを追っていたが、M1で良い成績が残せず解散をしていくコンビが多数あって驚いた。M1で決勝に行けるのは6000組中10組のみ。決勝に残ったとて売れるとは限らないし、売れたとしても一時の人気かもしれない。順調に見えても常に仕事を失うかもしれないというプレッシャーと戦うことになる。そして、一瞬でも気を抜けば足元すくわれる世界。積み上げてきたものが一瞬にして無に帰す世界。
そんな不確実なものに、多くの時間を費やし、同年代が正社員として"まとも"な生活を送っているその陰でバイトで食いつなぎ、舞台に出てただただ面白い漫才を突き詰める。本当にクレイジーな世界だと思う。

だからこそ多くの人を魅了するんだなぁと思った。

M1はなんだかすごいコンテンツになってきているけど、やっぱり漫才師だけでなく一般人もこれだけ熱中するコンテンツは他にないと思う。M1が芸人にもたらす影響力はすごい。M1はテレビだし、あくまでテレビで出来るネタ、お茶の間でウケるネタっていうのが審査基準にはなるだろう。下ネタとか危険なネタで面白い漫才はYouTubeにたくさんある。なんでこんなに面白い人たちが売れないのだろう?!そう思うこともたくさんある。いくらそういう面白いネタを作って爆笑をかっさらったとしても、M1で上に上がれるとは限らない。テレビだから。面白くたって尖ったネタをしていたらいつまでたっても決勝に行けない。いくら業界の評価が高くても、売れるとは限らない。
M1が売れるための登竜門となっている。「こんなに俺たちはおもしろいのによぅ!」そう思う芸人もたくさんいると思う。でも、おそらく、M1決勝に行けるような本当にお笑い偏差値が高い芸人は、劇場で受けるような下品なネタも考えられるし、一方でテレビでも放映出来てお茶の間受けする面白いネタもちゃんと考えられる人達だ。

なんかこういうことを考えるとき、私はいつも就活を思い出すんだ。いくら自分が優秀で、自信があっても、この自分を見てよ!では受からない。企業分析をして企業の求める形に合わせて面接をしないといけない。自分の欠点も物は言いよう、といった感じでポジティブに伝える方法を学ぶ。そんな感じを思い出して、あの頃のやるせなさを思い出すんだ。
M1も、自分らの面白い、を突き詰めても受かるわけではなく、あくまで、世間一般とか、作家にウケるかとか、テレビで放映したときに受けるかとか、時代とか、風潮とか、すべての風を呼んだうえで、面白い漫才を作り上げられた人が勝ちあがるのである。
その答えにたどり着けるか、そのすべてがお笑い偏差値であり、お笑い偏差値が高い人間がM1優勝を掴み取る。

本当に儚い世界なんだなぁと思うんだ・・・。
これだからM1はやめらんないんだよ・・・。



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