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全タワマンパーティー死ぬほど楽しくない

東京に住み始めたら、一度は誘われるだろうタワマンパーティ。

これまで数回参加経験があるが、(十中八九、ネットワークビジネス絡みなのはさておき、そうでなくても)楽しめたためしがない。

先週も誘われた。誘ってきた女性は数か月前に出会った女性で、何回か飲みに行ったりしていた。誘ってくる頻度や誘い方などから判断するに、その人は白だと思っていたが、誘われたパーティーがもろネットワーク系のそれだった。主催者とも最近知り合ったみたいだし、彼女が勧誘しようとしているかというとそうも思えなかった。

場所は品川駅から徒歩10分ほどの場所にあるタワマンの35階にあるパーティールーム。
部屋は20畳ほどの角部屋、2面が全面窓。
窓からは当然のごとく、東京を象徴するすべてのランドマークを見渡せた。
東京タワーとレインボーブリッジとフジテレビ。それにビル群の光たち。

タワマンパーティが嫌いな要素がこれ。まず、こういう分かりやすい"成功"みたいな場所でパーティをやりたいという発想が私は嫌いなのだ。このパーティの関係者と仲良くなれない自信がある。

この、成功者の部屋に集まったのは、IT企業に務めるという共通点で集まった十数名。

男性7割女性3割くらいの比率。
ちなみになぜかは不明だが男性のほとんどが白Tにチノパン。

人を疑う事しか知らない私は警戒感を露わにするスタイルを取ることをいとわない。人を騙そうとしている人に対しては強めに接するポリシーをここでも貫くのだ。世直しである。

とりあえず、隣で飲んでいた常連っぽい女性に戦闘モードで聞いてみた。
これはどういう集まりなのでしょうか!

女性曰く、この部屋で唯一ピンクのTシャツを着ている中年の男性が発起人で、知り合いに声をかけて飲み始めて、それが発展してこの形になったのだと。ピンクの人は国内、国外を飛び回っており、東京に来たタイミングでこのこのような飲み会を催しているのだそうだ。

ふ~ん、主催者のスゴイ人アピールはとても怪しい。警戒レベルを上げてしばらく会話を続ける。

軽く自己紹介に移った。彼女は私でも聞いたことのある有名なIT企業の営業をやっていた。

ひるむな自分!
と、言い聞かせつつ、私の悪いところで、自分より明らかにスペックの高い人、頭が良くて口が立つ人を前にするとめちゃくちゃ卑屈になるし、弱気になる。

仕事の話もそこそこに、出身地の話など当たり障りもない会話をしているところに、もう一人の女の子が会話に加わった。

彼女は今年社会人になりたての22歳。これまた、勤め先が超有名IT企業。

何だよこの会。優秀な人材しかいねぇ・・・。

つらい、帰りたい、つらい、帰りたい、つらい、帰りたい、・・・・

ダメ押しで、スーツビシッときて、ハキハキ喋る、主催者の崇拝者みたいな男と話す羽目になった。その男は私と同じ年齢らしいが、PM(プロジェクトを率いるスゴイ人)をしているらしい。ちなみに私は未だに役職なし。

私も軽く経歴を話すが、誉められるようなものでもないのに、やたらとテンション高く「すごいじゃないですかー!」とか言われて、全然すごくないし、むしろ社会人9年目とは思えないへっぽこレベルなのは十分自覚している。なのにやたらと褒められるのでどうすればいいかマジでわからなくてとりあえず顔が引きつったと思う。

どういうシステムですか?言語は何ですか?

IT系の人としゃべると必ずそんなようなことを聞かれるのだけど、はっきり言って全く興味がない・・・!消去法で選んだ職業だし、仕事のことなんて話したくないのが本音だ。

でもなんかここの人たちはすごく仕事にやる気があって前向きな人たちばかりに見えて
、すごくてコミュニケーション能力に長けている。矢継ぎ早に色々聞いてくるので、私はとにかく相手に合わせて相槌も大きめに、テンション高く、ハキハキと話すことを心掛けた。


帰り道、なんとなく一駅前の駅で降りて、いつもは速歩きだけど元気でなくてノロノロ歩いて帰りながら、なんか情けなくなって泣いた。

家について黙ってデスクに座り缶チューハイを開け無意識にYouTubeを開くと、最近頻繁に見ている「現実チャンネル」の動画がトップに来た。

クリックした動画は「縛り旅」というやつで、男が所持金1万円を持って、ひたすら街を北上して歩くというものだ。

ただ朝から晩まで一人で意味もなくひたすら歩き続ける、ただそれだけの、基本的には孤独との闘いみたいな動画だ。ずっと歩き続けると、飲食店や、人の気配すらないエリアを歩るかなければならない。それはとても怖くて孤独で、それを経て、普通の街並みが見えたときの幸福を感じたり、食事が出来たり、寝泊り出来たりする場所を見つけることが出来るという、人間の営みに対する有難みを感じることが出来るという動画になっている。

私の世界はこっちだ、なんとなくそう思った。私には私に合った、私にとっての幸せのあり方があるはずなのだ。
今後タワマンパーティに誘われたら断ろうという心を決めてチューハイを一気に飲み干した。

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