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プー太郎のまま生きれたら

3月末に会社を辞めた。あのときは、「新たな居場所で頑張るのだ!」と意気込んでいたが、今は素直に「働きたくねぇ!」という気持ちが強い。より正確には、未知の環境に飛び込むのが非常に怖い。

今は家に籠ってプログラミングの勉強をしている。人とはしばらく会っていない。外出は昼休憩と夕食の買い出しのみ。出不精の私はそれは苦ではない。このままこうして好きなことを勉強しているだけでお金をもらえたらな・・・なんて考えがひたすら頭の中をめぐっている。

しかし、ずっとプー太郎でいて幸せなのかと問われると、そうでもない。労働による精神的な疲れは無いが、劣等感に駆られて負い目を感じながら生きていくことになることは容易に想像がつく。たとえば私はお笑いが好きだが、テレビやYouTubeでお笑い芸人が面白いことをしていても、プー太郎の私はこう思う。「彼らは頑張って働いている。それに対して私は社会にたいして何の役目も果たしていない・・・。」プー太郎では、なんのエンタメも楽しめない。

働いていると、自由になりたい!あれやりたいこれやりたいってのがどんどん頭の中に浮かんできて、やりたいことが出来ないっていうストレスを抱えることになる。でもいざ自分が何者でもなくなり、何をする義務もなくなったとき、突然それらの欲はどこかへ消える。自分が自由になったとき、そしてこれからもずっと自由となったとき、きっと私は途方に暮れる。そしてもし私たちに寿命が無かったら、それこそ生きることを楽しめなくなる。

自由になりたい!って思うのは、自由じゃない状況が存在するからだ。お酒がおいしいって思うのは、常にお酒が飲める状況じゃないからだ。


そう考えると、聖書のなかで「神様が人間に労働の義務を与えた」っていう一節があることに至極納得がいってしまった。だって本当は自由気ままに好きなことだけして生きていければそれがベストなはずなのに、何故だか分からないけど、人間にはいつも労働が付きまとう。狩猟採集民族もそうだった。ずっと昔から、人間は働いている。生きるために、働いている。生きる目的は幸せになることではないのか?それなのに労働という苦しみを乗り越えなければならない。この矛盾。そして困ったことに、苦しみがあるからこそ、仕事終わりの一杯がうまい。こんな良く分からない人間の性は、神様のせいにでもしないと納得がいかないのだ。


転職活動を通して、改めて自分の人生を考えた。学生の頃は「海外に住んで、30代で結婚して子供産んで・・・」って夢見ていた。でも現実はそれとは程遠い。正直、このまま時の流れに身を任せて生きているだけならそのような現実はやってこないだろう。同時に、時の流れに身を任せていれば、それなりに生きていけるとも思った。もし私がやりたいことをあきらめて、妥協すれば、それなりの人生にはなるのだろう。最悪は国が助けてくれる。

私は、もっと自由に生きられるのではないかと思っていた。もっと気軽に転職して、夢があったらいつまでも追いかけて、行きたいところがあれば行って。

でも今回の転職活動を通して、自分がいかに自分の人生をいい加減に生きているかを知った。キャリアプランの大切さとか自分の市場価値の低さとかを突きつけられ、自由気ままに生きていくことと着実にキャリアを積み重ねていくことが相容れないと知った。例えば私はワーキングホリデイをやってみたいと思っていたけれど、もしやったとすると1年のキャリアのビハインド負い、行ったからにはその分の収穫を得なければならず、再就職となったら今回以上の大変な思いをするのだ。そう思うと、どうも尻込みしてしまう。「好きなことして生きていく」みたいな言葉があるけど、果たしてそれで満足か?仮にそれが実現したとしてもきっと将来への不安は付きまとうのではないか。

正直、転職活動はこりごりって感じなのだが、今度の会社で一生働き続けるのかって言われると、それは会社が倒産しない限り可能なのだけれど、イメージできないし、素直に嫌である。では今の会社に嫌々ながらしがみつくのか?私の人生そんなもん?って、まだまだ夢見る少女なのである。

本当だったら、イケイケ企業に就職して、年収一千万稼いで、六本木のバーで良い男に高いお酒を奢ってもらっているはずの人生だったのだ!というか、そういうのに憧れるし、現在地がそれとは程遠いところにいるのを受け入れられていない。いつかそうなる、っていう何の根拠もない自信がある。でもきっとそうはならないってのも悟った。

今回の転職を通してちょっとは人生の軌道修正が出来たかなとは思うけれど、私がもっと変わらないことには、人生変わらないだろう。

人生って幸せを追求するものだと思っている。でも幸せにはストレスや嫌なことも時には必要である、これからの人生に不幸が待ち構えていることは100%確実。この不確かな世の中においてそれだけは確実に起こる。それこそ再就職のストレスとか仕事のストレスとかは確定しているし、果ては親の死とか。結婚したら相手の家族の死とか。どんどんどんどん抱えるものが増えていく。そういうものがいずれは私の身に起こるって分かってしまってる。なんそれ(ZAZY)!残酷すぎるな・・・。最近ずっと部屋に籠っているので、人生の負の側面ばかりに目が行ってしまう。




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