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マイクロプラスチックに対する疑問

最近ニュースを賑わせている「マイクロプラスチック」問題。もちろん、プラスチックごみ自体は生物が誤飲して死んでしまったり、景観的にも悪いなど悪影響ばかりです。ですが、マイクロプラスチックはちょっと違うのでは…?という疑問から、本記事ではマイクロプラについて少しまとめつつ、私の意見を述べさせていただきました。

マイクロプラスチックとは

マイクロプラスチックとは直径5ミリメートル以下の小さなプラスチックごみと定義されています。一般的には、環境中に放出されたプラスチックごみが長い年月をかけて徐々に劣化して細分化したものであることが多いです。
世に広く出回っている汎用プラスチックは自然界で分解されにくいため、その多くが完全に分解されずに海などの環境中を漂っています。

マイクロプラスチック自体は無害?

マイクロプラスチックについて調べると、いろいろと不安を煽る記事を目にしますが、プラスチックそのものは無害です。プラスチックは非常に安定な物質であるため、仮に生物が口にしてもそのまま排出されます。体内に蓄積されることもありません。大きなプラごみであれば絡まったり喉に詰まらせたりといったことが起こり得ますが、非常に小さい状態であればそういった心配もありません。

ただし、マイクロプラスチックが有害となり得るパターンは以下の二つが考えられます。
・環境中の有害物質を吸収するケース
・プラスチック中に含まれる添加剤が有害であるケース
しかし、これらについても過剰に注目されすぎていると思っています。これからその理由を述べます。

疑問1.有害物質のキャリアとなり得るのか

まず、マイクロプラスチックは水や環境中の有害物質を吸収し、生体内に運ぶことがあり得るのか、という話です。例えば水中にマイクロプラが浮遊している場合、プラスチックは油溶性であるため水に溶けにくい物質を比較的取り込むことになります。これを水中の生き物が摂取して、食物連鎖によって有害物質が生物濃縮されるケースは一見あり得そうに思えます。
しかし、海中がマイクロプラでぎっしりであれば別ですが、仮に有害物質が海中に含まれているとしたら(たとえ溶解度が低くても水が大量にあるため)海水中にも溶けているはずですし、微生物や海藻も直接取り込んでいるはずです。つまり、マイクロプラスチックがあろうがなかろうが、有害物質が海中に存在すれば勝手に生物濃縮されます。
従って、「マイクロプラスチックは油溶性有害物質のキャリアとなり得るが、無害だった環境を有害に変えるほどの影響力はない」というのが私の見解です。

疑問2.添加剤は有害なのか?

次に、プラスチックの製造時に加えられる添加剤の有害性について考察します。
よく問題となる添加物として挙げられるのは、難燃剤であるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)を始めとする臭素系化合物、可塑剤であるフタル酸エステル、ポリカーボネートというプラスチックの原料であるビスフェノールA(BPA)が挙げられます。
これらの化合物は有害性を認められているものも多く、危険な物質であることには間違いありません。しかし、近年では欧州を中心とした様々な規制により、これらの化合物の利用が制限されています。なので最近のプラスチックにこれらの有害物質が大量に含まれていることは稀であり、例えプラスチックが大量に環境中に放出されたとしても添加物による健康被害が出る可能性は低いでしょう。

まとめ

ここまで、私がマイクロプラスチックに対して懐疑的に思う理由を述べました。マイクロプラスチックという言葉自体がここ何年かで広まってきたため、「なんかよく分からないけど、最近明らかになった危ないもの?」みたいな捉えられ方をしているように思えます。
プラスチックごみを環境中、海洋中に流出させることは間違いなく害です。窒息等の物理的被害によって海洋生物の生命を脅かすだけでなく、景観も非常に悪くなります。マイクロプラスチック問題だけでなく様々な環境問題についても、何が本当に良くないのかを科学的・合理的理由を基に議論・判断される世の中になればいいなと願っています。

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