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喉に刺さったのは




結局の所、どれだけ近い存在でも対誰かの心の裏の裏側までは到底理解できないのが人間だ。
笑っているのに病んでいる人、泣いているのに裏では舌を出して嘲り笑う人、いくらだっている。

文章や言葉で言語化して、さもあっけらかんと自分の全てを開示している様な私でも誰にも言えないわかって貰えない事、隠している事は山の様にある、そんなもんだ。

本当に全部吐き出してしまえたら楽なのかも知れないがその楽さ以上に自分の中の最後のプライドみたいなものが邪魔をする。

打たれ弱く、流されやすい人間の癖に本当の意味での『助けて』だけはいつも喉の奥に刺さって言えない。
柔らかい言葉で包んでそれを飲み込む事も出来ないからじくじくとそれが痛んでどうしようもないのに必死に誤魔化そうと唾を飲み込む。

代わりに目から流したくもないのにぽろぽろ涙が流れて視界が歪む、泣くな泣くなと自分に言い聞かせるほどにそれは止まらなくなるし、誰かが蜘蛛の糸よろしく生きやすい世界に引き上げてくれる人生など存在しないから必死に、必死に、なんとか生きて、少しでも愛されて、産まれた事を一つでも肯定出来る日常を紡いでいきたいのに、やっぱり目が覚めたら同じ事を繰り返すのはどうしてなのか。

いらない言葉の嘔吐を繰り返して、刺さった助けての言葉が更にささくれ立って、もう自分が何を言葉にして伝えたら良いのかもわからなくなった。





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