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家賃滞納のすゝめ


20歳の春、何も考えずに15万だけ握り締めて飛び出したあの地元へはもう帰ろうという気持ちも無くなった、というか私には帰る場所があるようで無いのだ。
生まれ育った家はもう遥か昔に手放して今は知らない誰かの家になり、親は再婚、妹は結婚し2人とも新しい家族が出来て幸せに暮らしている。
入用で戸籍謄本を取り寄せて確認した時に私だけ今までと全く変わらない苗字のままぽつんと置き去りになっているのを見た時に本当に1人になったんだと染み染み感じた。

ぎりぎりをいつも生き過ぎている為かこの約10年の間に電気もガスも止めてしまった経験はあるし家賃滞納の経験もある、本当に情けない話だが1番長くて3ヶ月間の家賃滞納をした。
正確には払っているつもりで払えていない状態が3ヶ月続いており、昼間はとてもじゃないが動ける訳もなく酷い二日酔いで目が覚めるのは日が落ちてから、当たり前にかかってきた電話は取れず折り返そうとしても時間外で繋がらず気がつけばあれよあれよと退去勧告一歩手前になっていた。
管理会社の担当者がまさかこいつ死んでるんじゃないか、と確認にやってきてくれてやっと滞納が発覚したのである。

支払えない支払う気が無いわけでは無かったのでしっかりとその場で頭を下げて手持ちのお金を全部渡し、なんとか事なきを得たりもしたのだがいきなり3ヶ月分の家賃を丸々払える訳もなく遅れながらもしっかりと家賃を納めた。
この経験のおかげで何故か『3カ月ルール』が自分の中に出来てしまい更に痛い目にあったのだがそれはあまり笑えないのでここには書かないでおく。

大前提として家賃滞納はしない方がいいし、というか家賃に限らず滞納はしない方が良い。
払えるならしっかり払うべきだがこんなご時世なので悲しきかな様々な支払いを滞納してしまう人はいるだろう。
そんな人に私から伝えたいのは意外にも滞納しようが生きてはいける、生きてはいけるのだが精神は間違いなく汚染されていくし自分の惨めさに死にたくはなると思う、自分は如何に底辺なのかを思い知らされるのが滞納だ。
しかしまずは目を背けず謝る、そして然るべき人、場所に相談する、それだけで意外にも状況は好転したりもするので無駄に死にたいなど思わずに行動してみる方が良い、貴方が死にたいと思っている間にもその滞納は雪だるま式に膨れ上がっている事を肝に銘じて欲しい。

生きるのが下手、というかとことん情けなくても結局はなんとかやり切れば明るくはないけどまぁ、生きてみても良いかなと言う明日は訪れるはずなので。

私の様な愚かな人が1人でもそんな風に生き延びていつか社会の為にはならなくても誰かの為になればいいなとそんな風に思う。

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