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シリア語についての10の覚え書き

1. まだ日本語では(古典)シリア語の教科書は存在していない。ちなみに写真の一番上がシリア文字(真ん中はアラビア文字)。

2. 「シリア語」は、今の「シリア」という国の言葉ではない(アラビア語がメイン。シリア語は、シリア教会の典礼語として使用されている)。

3. 歴史的にはアラム語→シリア語→アラビア語という感じ。アラム語とは文法がよく似ているようだし、アラビア語とは文字を繋いで書くシステムの先駆け。いずれもセム語。

4. 今は基本的には教会の典礼用の言葉として使用されている(≒話し言葉としては、14世紀くらいに日常会話としての役目は終えている)。

5. シリア語教父といえば、「シリアの聖エフレム」(もしくは「エフライム」)に「ペルシアの賢者」アフラハトでしょう。エフライムについては、こちら。なんか、とんでもない値段になっちゃってますね。

6. この辺りの「シリア語文献」は、まだまだ手付かずの分野なので、研究すべき対象がゴロゴロ転がっています。

7. そもそもこんなマニアックな「シリア語」を勉強する機会があったのは、ドイツ留学中に、ハンガリー出身で、ハーバードで学位を取られた先生のところで勉強する機会があったため。ドイツの大学だったけど、あんまりドイツ人いなかったクラスでしたっけ(もう一つ別の語学のクラスにはドイツ人ゼロでした・・・)。

8. シリア教会(ざっくりとした概念です)はインドとかにもあるので、深掘りすればするほど面白い分野です。

9. この手の古典語系は基本的には「会話」とかないので気楽な面もある(同様に、ギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語、サンスクリット、漢文)。

10. しかし、我ながらシリア語をこのシリーズの2番目に持ってくるとは・・・もっとも最初もアラビア語だったし・・・

<シリア語といえばこの1冊!>

古典ヘブライ語を既に勉強したことがある人のための古典シリア語の教科書、というもうなんだかさっぱりわからないような世界ですが、しかも英語だし、古典シリア語をやろうなんて人が英語ができないなんてのは考えにくいし、大抵の場合、古典ヘブライ語をやっているはずなので、特に変なことはありません(笑)。著者は村岡崇光先生(オランダ・ライデン大学名誉教授)。天才です。あとは

なんてのもあります。確か、ハーバードの先生。

日本では東京大の高橋英海先生がこの分野の専門家です。

『シリア語におけるアリストテレスの「気象論」』という、一般的には何がなんだかさっぱりわからない本ですが、こういうものこそ「研究」であり「学問」でしょう。

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