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【レシピ】味噌づくり ☆天地返し二回目のご報告

2月初めに、仕込んだお味噌。
冷暗所に置いて1ヶ月、3月初めに、一回目の天地返し(上下、ひっくり返すこと)。
それから、1ヶ月半を過ぎた4月下旬に、二回目の天地返しを行いました。

行う作業は、一回目と同じですが、
お味噌の発酵具合によって、対応、処理が変わってきます。
その違いも含めて、説明していきます。

味噌づくりの「天地返し」
( 一回目と重複しますが、改めて「天地返し」について説明します)


1~1ヶ月半(30~50日)に一度、上下をひっくり返す作業で、
味噌の発酵・熟成をスムーズに進め、均一な味わいに仕上げる為のもの。
「切り返し」とも言います。

味噌の発酵・熟成期間は、半年以上。
その間、味噌の上部に空気が、下部には水分が溜まっていきます。
半年間、そのままにしておくと、
発酵・熟成むらが生じ、均一な味わいに、仕上がりません。
発酵・熟成の様子を確認する為にも、必ず、行いましょう!

※ 味噌屋さんなどでは、何十トンと大量に仕込むので、
樽(タンク)ごとひっくり返して、別の樽(タンク)に移し替える作業で
「天地返し(切り返し)」をしています。


それでは、二回目の天地返しをしていきましょう!

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1)味噌の上の重石を外し、外袋(1枚目)を開ける

味噌を、内袋(2枚目)ごと取り出して、味噌の状態、内袋の様子、
容器の汚れなどを確認します。

重石を外す

【一回目との違い】
 ・発酵の香りがしてきました。
 ・容器のフチに、水分が出ています。

外袋(1枚目)を開ける

【一回目との違い】
 ・ 内袋の中に、空気が発生し、溜まっています。
   味噌の発酵・熟成が活発になることで出る空気で、
   これは、取り除かなくてはいけません。

味噌を、内袋(2枚目)ごと取り出す


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☆ ここが、ポイント ☆

必ず、内袋の中身、味噌の状態を確認しましょう!

お味噌を仕込んで、3ヶ月弱。
一回目の天地返し(2月末)の時は、まだ発酵・熟成が進んでなく、
味噌の状態の変化は、ほとんどありませんでしたが、
3月、4月の2ヶ月で、発酵・熟成が、ぐっと進んできています。

その為、発酵の香りがたち、
内袋の中に、空気が溜まり、水も染み出してました。
この空気、染み出した水分を、放置しておくと
そこから、カビが生えてしまいます。

味噌は、空気が苦手(嫌気的発酵食品)だという事を、念頭に置き、
・内袋中の空気を抜く       
・水分をそのままにしない     
・カビが、既に発生していないか確認

このあたりを押さえながら、丁寧に、対応処理し、
2回目の天地返しをしましょう。

【容器】

容器の底に、袋から染み出ていた水分が残っています。
容器を洗い直し、しっかり水分を拭き、きれいにしておきましょう。

容器を、再び、洗い直してきれいにする


【味噌(内袋の中の様子)を観察】

よく見ると、味噌の表面に、白くなっているところがあります。
これは、酵母菌のひとつ「産膜酵母」で、カビではありません。

白い産膜酵母は、空気が好きな菌。
味噌の発酵が進み、空気が発生すると、そこから出てきます。

決して、悪い菌ではなく、発酵が進んでいる証拠です。
ただ、このまま放置しておくと、悪臭がしてきたり、カビ発生の原因になる事もあります。

見つけたら、放置せず、味噌の中に入れ込んであげましょう。
(空気に触れていなければ、悪さはしません)

【カビとの見分け方】

カビは、必ず色がついています。
灰色、黒っぽくなっているのは、カビです。
その部分は、必ず、味噌から取り除かなくてはいけません。
決して、味噌に入れ込まないようにしましょう。

【ポイント】

まず、内袋を開封せずに、作業します。
開封してしまうと、余計な空気を入れてしまう可能性があるからです。
未開封のまま、袋の上から、手で味噌を押さえ、白い部分(産膜酵母)を
味噌に入れ込みます。

カビがある場合は、開封して、煮沸消毒したスプーンで取り除きましょう。

産膜酵母は、手で、味噌の押し込んでいきます


全ての、白い部分(産膜酵母)を入れ込んだら、
内袋の中の空気を、一箇所に集めます。
袋ごと、トントンと、台に打ちつけながら、味噌の中の空気を叩き出し、
閉じ口付近に、空気を集めましょう。(写真・右上部分)

産膜酵母を味噌に入れ込み、空気を、袋の閉じ口付近一箇所に集める(写真・右上)


ここで、初めて、内袋を開封し、一箇所に集めた空気を抜きます。
カバっと開けると、余計な空気を入れてしまう事になるので、
袋内の空気を絞り出すようにして、抜きましょう。

一箇所に集めた空気を、絞り出すように抜く


改めて、できるだけ空気を抜いて、内袋の口を、しっかりと閉じます。

内袋の口を、しっかりと閉じる


【内袋そのもの】

水分が染み出ていたので、外袋は、新しいものに取り換えます。
内袋の表面にも、水分が残っていると、これもカビ発生の原因になります。
キッチンペーパーで、きれいに拭き取りましょう。

内袋に残っている、水分を拭き取る



2)新しい外袋を、容器にセットし、
  内袋の閉じ口が、上になるようにして、入れなおす

きれいにした容器、新しい外袋(1枚)を用意する


新しい外袋を、きれいにした容器にセットして、
味噌が入った内袋を、閉じ口が上になるように、重ねて入れる。

新しい外袋を、きれいにした容器にセット
味噌が入った内袋の閉じ口を上にして、重ねて入れる


3)外袋の口も、しっかりと閉じる

味噌が入った内袋(閉じ口が上)を、容器に入れた状態


この時も、余計な空気を袋の中に入れないように、
できるだけ、内袋に沿わして、口を閉めましょう。

外袋の口も閉じた状態


4)重石を敷き詰めて、蓋をする

味噌の上に、重石を敷き詰める

重石は、おもり、塩、等を使います。
     (味噌と同量分以上:今回は3㎏の塩袋を使用)
重石や、重石の袋も、水分が残っていたら、必ず拭き取ってから使います。


重石(3㎏の塩袋を使用)を敷き詰めた状態


蓋をする


5)冷暗所で、保管する

我が家は、玄関の涼しい場所で保管しています。
さらに、発酵・熟成をさせていきます。

冷暗所で保管


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ここが、ポイント!

( 再確認しましょう )

20℃~25℃で、発酵・熟成が進んでいきます。
この温度を保持できる場所に置きましょう。

味噌は、できるだけ空気には触れないようにすることが大事です。
空気を抜いて、しっかり重石しておけば、
春以降、気温が上昇、25℃以上になっても、
膨らむ活動を抑え込むことができます。

空気が残っていて、稀に、内袋が、ぷくっと膨らんでくることがあります。
その時は、空気を抜いて、もう一度しっかりと内袋、外袋を閉め、
重石を増やして押さえてから、冷暗所に置きましょう。


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次の天地返し(3回目)の目安は、1ヶ月半~2ヶ月後。
6月下旬頃まで、置いても良いのですが、今回、ぐっと発酵が進んだので、次の天地返しを、少し早めることにします。
6月上旬に、チェックします。

味噌は、生きもの。
10年、味噌作りを続けていても、毎年、毎年、発酵・熟成の進み方、
そして、仕上がりが違います。

その年によって、気候が違いますし、ご家庭の冷暗所の具合によっても、
変わってきます。
「美味しく発酵・熟成してね」という気持ちをもって、対応、作業をしていきましょう。

また、発酵・熟成の進み具合を、その都度、追加して、書いていきます。
どうぞ、よろしくお願い致します。

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☆味噌の作り方は、こちらからご覧頂けます。


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