#7 書籍:パリでメシを食う。
お勧め:以前に挑戦を諦めたことのある人
「何ヶ月くらいそんな生活してたんですか?」
「何ヶ月じゃない。何年もですよ」
「パリでメシを食う。」は、「パリに住んでる私のパリ飯」かと思ったんです。
でも、違った。
「パリで職人として生活することを、選んだ私の話」、パリで挑戦する様々なプロとしての職人の生活、苦悩が描かれてるリアルな話。
だけど、美談でも苦労話でもない。職人に起きたリアルが粛々と語られます。ビジネス本ではないので、こんなことがあったけど奇跡的に乗り越えたみたいな話は一切ない。
乗り越えられず、一旦日本に帰国する人、資金切れでフランスと日本を行き来する人の多さよ。
物事がすんなり行くことなんてゼロ。
トラブルに次ぐトラブルにも諦めることなく、ついに・・・なんてこともなく、職人の心が折れて取材の途中で連絡が取れなくなるなんて普通。同じ日本人だから味方だろうなんて、甘いことすら一切ない。
フランスに行く前に否定され、フランスでも否定され。
これが、リアルな職人の生活なのだと思う。
職人とは、「自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人」のこと(wikipediaより)。
私にとっての職人は、「他人が真似することのできない、自ら身につけた熟練した技術や考えを改善し続ける人」のこと。
なので、この本に出てくるフォトグラファー、フローリスト、テーラーみんな職人。国立サーカス学校に入ったヨーヨーアーティスト、漫画喫茶を開いた人も職人。
私はフランスが好きです。
妹が長く住んでることもあるけど、親戚がフランス人のこともあるけど、なんか好き。個性を尊重するフランス人が好きなのか、食事に対する情熱が好きなのかわからないけど
でも、フランスにいる時、私は単なる旅行者。
フランス人の夫がいる日本人の兄で、仕事でヨーロッパにくる医者で、毎年家族で2週間くらいヨーロッパにいるだけの旅行者。
パリでもないので、フランス人はみんな親切にしてくれるから苦労を感じたこともないし、フランスで困ったこともないし。
よく聞く店員の態度が悪いなんてこと感じたことないし、そもそも食事は妹宅だし、外食はケバブやアルジェリア料理ばっかだから、なんなら仲良くなっちゃったりして。
働くとゆう意味でフランスに私の人生はないからだと思う。
フランスはとにかく補償が凄い。義理の弟が支店を閉めるから他支店に転勤となると、転勤命令ではなく、転勤か転職を選べる。与えられた半年の準備期間は給料そのまま。転職に必要なスキル獲得費用も会社が出す。
親戚が美容師をやめた時、保育士になる費用は元の雇い主負担だった。
だか、逆から見ればその人件費にかかるたるや凄まじいものがある。
これで稼げなければ、泣くしかない。会社は半年持たない。
人を雇うことはリスクであり賭けだ。
ならば、当然オッズは低い方が良いし、勝つ可能性が高いより、負ける可能性が低い方が良い。
フランス人以外を雇えば、ビザの問題もあれば、突然国に帰るとか言い出すかも知らない。
フランスの家賃を知ってる私なら怖くて雇えない。
ただ、職人達はみんな楽しそうなのだ、人生が。
とにかく人生を楽しみ、そして何度も何度もチャレンジする。
仕事が好きで、フランスが好きなのだ。
本中でも、フランスが好きな理由を説明できない人が多い。
私と同じだ。
フランスの空はどこまでも高く青い。
それだけで良いのだと思う。
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