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引っ越して9ケ月ずっと気になることがあった。記憶のなかの大きなアパート。

今年の2月に、世田谷区から大田区南馬込に引っ越した。あまりよく知らない土地で東京にもこんなところがあるのだと新鮮な気持ちだった。と同時に新型コロナ騒動で、どこか遠くに行けるわけでもなく、仕事をするでもなく写真を撮るならこの知らない新たな地元に向けてシャッターを切った。馬込を全く知らないといいながら、実は30数年前、馬込のマンションにひと月ぐらい住んでいたことがある。当時知り合ったばかりの、のちの前妻が馬込のマンションに住んでいたのである。彼女が親とのおりあいがつかなくなり、僕の代官山のマンションにもぐりこんできた。僕はその時独身で、事務所として使っていた2部屋あった部屋のひとつをプライベートに転用、そこに住んでいた。その時ガールフレンドがいたが、外国にいってしまい、先々がどうなるかは不確定だった。そのへんの話は込み入っていて、ここで語ることではない。
さて引っ越したばかりの馬込が、まったく縁もない場所ではなく、たったひと月でも住んでいた事実、その記憶、さてそのマンションはどこにあったのだろうか。引っ越してすぐに軽い気持ちで探した。駅周辺を歩いたり、クルマで探したりした。かすかに覚えているのは、国道一号線をクルマで五反田からきて、右側、駅の近くの道を入ると上り坂になっている。最初に深夜タクシーで彼女を家まで送った時、屋敷街のような壁に沿った坂道の風景をぼんやりと覚えいてる。ただあとは何も覚えていない。マンションは大きな、まるで公団のアパートのようにそびえていた。たしか10階建てぐらいはあったはずだ。西側か北側に駐車場スペースがあり、すぐとなりに小さな公園があった。唯一風景として覚えているのは、その彼女が(のちの妻)が、酒を飲みすぎ深夜具合が悪くなり、救急車を呼んだことがある。
深夜に救急車はサイレンを鳴らしてしかとやってきた。公園の横に止め、サイレンはすぐに切ったものの真っ暗ななか回転灯が煌々と発光している。
その時マンションの扉を開けて下を見た景色。その情景をありありと覚えている。そのくせあたりの風景は全然覚えていない。空間的なことといえば平らな土地だったとか、あの頃、いや今もそうだが、完全クルマ生活者だったので、そのその馬込のマンションを電車で訪れたことがなかった。だから正確にどこ駅か知らない。
はっきり覚えているのは1号線を右に曲がり坂を上がった車窓の景色、そして救急車を呼んだときの、マンションのドアの外から見下ろした下界の景色
2月に引っ越してその記憶をたよりに、西馬込の駅まえからいろいろ歩いた。よく似た坂をすぐに見つけた。しかしすぐに急激な下り坂になる。そんなことはまったく覚えていない。
そのマンションは彼女の親の持ち物で、馬込のマンションといっていたので、やはり馬込にあるはずだ。都営浅草線は、馬込の駅もある。しかし1号線から右に折れて登り坂になるところといえば、やはり終点西馬込駅しかない。しかし西馬込の坂を上ると今度は急激に下りになる。しかも住所は仲池上だ。そして大森10中がある。記憶のなかに大森10中はない。夜、クルマでしか訪れていないので、昼間の記憶がない。
やはり馬込のほうかと1号線に沿って捜しまわったがそんな大きなマンションはなかった。かれこれ10回ぐらい車で回ったり歩いたりした。だいたい敷地の大きなマンションは馬込方面にはひとつもなかった。うーん、壊されてしまったとか。いや、そんな古いマンションじゃないし、あんな大きなマンションを壊せるわけはない。ずっとIphoneのグーグルマップでで見ていたが、記憶のなかの駐車スペースがあって、10階だてなんて、ついに見つからない。大きなビルは新幹線か、1号線のような幹線道路沿いか。いや記憶のなかでは、閑静な住宅地のなかに忽然と建っていた。
やはりちゃんとした地図できちんと探せばすぐにわかるはず。今日の朝も散歩がてら探したあと、家に戻りパソコンで、グーグルマップを探すことにした。
するとなんだ、大森10中のさきに、というか隣にそれらしき広い敷地のマンションがあるじゃないか。グーグルストリートで見ると、
まさにそのマンマンションだった。あっけない。
最初からパソコンのGoogleMapで探せば簡単に見つかったろう。
しかも2棟った。広い敷地のマンションの記憶は正しかった。

スタジオ2048

中央上が、西馬込の駅、徒歩8分のAYスタジオが、右端。左はしの広い大森10中の校庭の隣の、2棟あるマンション。距離的にはうちより駅に近いかな。しかし急な坂の上り下りがあり歩けばたっぷり10分ぐらいの距離だ。
10中通りから行けば楽かもしれない。馬込の坂は天下の嶮じゃあるまいし。でも歩くときはこのあたりは気をつけなければ、無用な登山をしいられる。ま、迂回すればいいことなのだが。

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そして上が記憶のアングル。公園の先の、当時はこんなに木がしげってなかったが、回転灯を思い出す。二人の署員が部屋まで来た、ただの飲みすぎと知り、なんだと不機嫌だったように思う。一緒に乗り病院に搬送されたが、何も覚えていない。一番上、TOPの写真は、以前探している時に撮ったもの。この場所からさして離れていなかった。けっこう大きなマンションだ。ちょっと公団みたいだけれど。30年以上前の人間の記憶なんてあてにならない。でも探す過程は面白かった。

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