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沢田研二 BadTurning

1980年ポリドール 7月21日 BAD TUNING LP

沢田研二を初めて撮ったのは、70年代後半だった。東京六本木、今の六本木ヒルズのあたりにあった、六本木スタジオで撮影中に、ハヤカワタケジを紹介された。多分同じ時に、僕とは違うスタジオで撮影中だったのだろう。
ハヤカワタケジはモデル出身の、イラストレーターだった。身長180センチ弱。沢田研二とはタイプの違う美少年だったはずだ。(ぼくがあったときは神経質そうな青年だった)ファッションで有名なセツモードセミナー出身だ。校長は長沢節。仕事で長沢節を撮ったとき、ハヤカワタケジの名前がでて彼は天才だったと言っていた。
前回も書いたが、モデル時代、ハヤカワはフジフィルムの、♫。Have a nice day いぇいいぇいOh と吉田拓郎が歌うコマーシャルで、山口小夜子と共演している。
そのころ、僕は(直径30センチの)LPジャケットもかなりやっていた。
ハヤカワアタケジは、イラストレーターだけど、洋服も手掛けていた。多分僕がやり始めた数年前から、沢田研二の衣装、デザイン、アートディレクションすべてを任されていた。横須賀功、小暮徹、長浜治、富永民生などその時代の写真家たちもハヤカワ君は依頼していた。
はじめてのとき、ハヤカワタケジは、絵コンテ【素晴らしいイラストレーション)を書いて、それをイメージに(はっきりいって写真には絶対に写らない世界)・・・僕は撮影した。最初は六本木スタジオの地下にあった、ブラックスタジオの2スタ。
そこでこの「ヤマトとより愛をこめて」のシングルジャケットを撮った。ライティングは僕の好きな、シンプルな1灯ライディングだ。
当時僕はめったに、多灯ライティングをしなかった。シンプルイズベスト。

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この写真以外にも、引きの写真や、床に寝転がしたりと、かなりハードなイメージの写真も撮った。ただこの時は、僕のペースで撮影は進んだ。
ハヤカワ君は気にいってくれて、数か月後また声がかかった。渋谷から原宿に抜ける途中に太陽マンションというビルにアトリエがあった。
そこで、それはその後、毎回繰り広げらる、彼の僕に対する、というか写真家に対するプレぜンテーションで、A3とかもっと大きな紙に書いた、コンテというかイラストレーションが何十枚も床や、イーゼルに拡散していた。
その絵は、カラフルでスピーディもうそれだけで十分作品だ。
が。写真では再現できないと思った。あくまでイメージだと言われても。
僕は、それまで仕事上、ライティングはコンテなりを見て、イメージふくらまし、現実的にカメラの前にそれを再現するための準備をした。
しかしこのイラストは、写真では撮れない。
僕は、その時、自分の持っている撮影テクニックではおいつかない、ハヤカワ君の要望をどうしたら少しでも近づくことができるのかを考えていた。
その以前、僕は、、NO.1写真家の篠山さんのもとでアシスタントをしていた。さまざまなライティングする師匠に鍛えられ、かなり自信を持っていた。ストロボやタングステンライト、そのミックスなど、あらゆるライティングをマスターしているつもりだった。
だから、撮影の前にはどういうライティングをするかは、すぐに決められた。
しかしハヤカワ君のイラストレーションは、それがコンテではなく、作品であり、そのテイストを写真化するといっても絵として完成しているので、普通のライティングでは不可能だと思えた。なので、それこそ、写真のライティングなんてくそくらえって感じで、毎回、撮影に臨むことにした。


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このBAD TUNINGの撮影も、コンテはイラストだ。これはハヤカワ君との数度目の撮影だった。ただ、この時はレーザーライトを使うということで、ある意味ライティングはシンプルだった。タングステンと、ストロボとレーザー光線のミックス。
六本木スタジオに着いて驚いた。
入り口の駐車場をふさぐように大型電源車が
唸っていた。聞くと、赤いレザーは、今のインクジェットプリンターぐらいの大きさだったが、青色レーザーは、かなり強力な光で、電源車が必要だとのことだった。しかも赤い光は危なくないが、青い光は目に入ると失明する可能性もあるほど危険だといわれた。
上の写真は背景のピンクはストロボにピンクゼラチンをかけ、右からグリッド1灯だ。シルエットの顔の部分だけストロボを充てる。頭にはグラスファイバーを髪の毛に編み込み、そこにレーザーライト注入する。赤とブルーを使った。グラスファーバーの先端から光が漏れて発光する。
ポラロイドで確認しながら明るさのバランスをとる。
下の写真は、直接沢田研二直接レーザーを照射するといった危険な撮影だ。
強力なブルーの光を当てた。背景は赤と、ブルーのゼラチンをライトにつけた。目にはあたらないように、レーザーライトを調整した。
背景をブルーの写真が、今回見つからないがそちらのほうが、光も青くうまくうつった。どこかに印刷物があるはずなので、見つけたら紹介する。

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