CO2削減に向けてできること。『ドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法』

アメリカの環境保護活動家であり、起業家でもあるポール・ホーケンの著書「ドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法」を読んだ。
タイトルの通り、地球温暖化を防ぐために最も有効とされているCO2削減のため施策について、2050年までのCO2削減量とコストをまとめたものだ。

解決策ランキングのトップ10は次のようなものだ。
(カッコ内の数字は2050年までのCO2削減量)


1 冷媒 (80.74)
2 風力発電(陸上)(84.60)
3 食料廃棄の削減 (70.53)
4 植物性食品を中心にした食生活 (66.11)
5 熱帯林(61.23)
6 女児の教育機会(59.60)
7 家族計画(59.60)
8 ソーラーファーム(36.90)
9 林間放牧(31.19)
10 屋上ソーラー(24.60)

まず、私たちにとって朗報なのは、食料廃棄や食生活という非常に身近な解決策に非常に大きな効果があるということだ。
日々の食品廃棄を減らすとともに、少し牛肉の消費を減らす。それだけでCO2削減に対して大きなインパクトがあるのだ。

そして、6位女児の教育機会、7位家族計画は私にとっては驚きであった。
米国ブルッキングス研究所の調査によると、人口増加が最も早いのは女児の教育が阻まれている地域である、という。女児が適切な教育を受けることにより、人口爆発に歯止めをかけ、社会生産性が高まり、貧困の連鎖をたちきることにもつながる。
また、低所得国の2億1400万人の女性が、いつ妊娠するかを選択できるようになりたいが、避妊する手立てがないという。自由意志で質の高い家族計画サービスを受ける基本的権利を世界中で保証すれば、女性とその子供の健康、福祉につながることはもちろん、人口爆発を抑え、全ての人にとって生存できる、活力に満ちた地球を確保することにつながる。
女性の自由と機会、そして基本的人権の問題が、CO2に大きく関わっているのだ。

その他、個人で取り組めそうなものとしては以下のようなものがあった。


26 電気自動車(10.80)
35 竹(7.22)
37 大量輸送交通機関(6.57)
49 自動車(ハイブリット)(4.00)
55 家庭のリサイクル(2.77)
63 テレプレゼンス(1.99)

35位の「竹」というのが、家庭リサイクルやハイブリットカーよりも削減効果が大きいというのも意外だろう。
竹は痩せた土地でも非常に早いスピードで育ち、炭素の取り込む量は他の植物と比べても非常に多いそうだ。尚且つ、建材、食品、家具、雑貨、炭などその使用用途は幅広い。
もちろん生態系の問題を引き起こす一面もあるため、適切な管理は必要ではあるが、有益な解決策の1つであることは間違いないだろう。

環境問題やCO2削減ということが非常に大事なのはわかっている。しかし、多くの人は何をしたらどれだけ効果があるのか、そしてどこから手をつけたらいいのかわからないのではないだろうか。
この本はそんな私たちにこれから何をしていけば良いのか、指針を示してくれている。

まずは日々食べ物を大事にし、食生活を見直す。このことからはじめよう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?