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ウケのよい小説とはなんなのか

創作大賞2024に『ぜんぶ、佐野くんのせい』というファンタジーミステリーで参加したティナと申します。

何度かこのnoteでも書いていますが、だいぶ長いこと小説作成からは遠ざかっていました。

記憶を手繰り寄せると、第31回横溝正史ミステリ大賞を受賞した長沢樹さんの『消失グラデーション』あたりまではギラギラしながら書いていたように思います。


この作品2011年らしいですね。
すると、今年が2024年だから、もう十年以上前なのか。


確か原題が『リストカット……』で、すごい衝撃を受けたことを覚えています。なんて言うんでしょうか。すごく惹かれたっていうか、とにかく「うわぁ♡」って感じ。それと同時に「ああ、私には無理だ」という敗北感も大きくてね。

結局人の目につく作品ってのはこういうことなんだな、と思ったらつくづく自分の力の及ばなさを実感したし、想像力の限界も感じました。

もしかしたら、この小説が私が長年抱き続けた「小説家になる」という夢を緩やかに「諦め」「断念」へと導いてくれたのかもしれません。

選択肢を多く持つ

小説への執着がなくなると、そこから脳がクリアになっていく感じがありました。

ああ、創作とか表現の方法って別に一つじゃないんだな。私、どうして小説にこだわっていたんだろうといった具合に。

そこからは本当に、色々とやりたいことが見つかって、息つぐ暇もないくらいでした。

自分のコンテンツを持つことの喜びも知ったし、ヘッタクソな絵でインスタで『場面緘黙症』啓発を目的に物語を投稿したり、Kindle出版したり、そこからフォロワーさんとの交流も生まれ、お互いにリスペクトし合ったり。

もうね、小説書いてた頃とは真逆なんですよ。精神状態が。生き生きと、自分の人生を生きている感じがありました。


また小説に戻る

なのに、また私は小説に戻ってきている。
でも、久しぶりに戻ったら「小説」は全然意地悪じゃなかった笑

およそ十年という放浪の末に戻ってきた私を、「仕方のない子だよ」とでも言うように優しく抱擁してくれ、「どれどれ、どのくらい成長したの?」と色々と話を聞いてくれます。

私は照れながら「こんな技を覚えました」「こんな技術を習得しました」「多分、こういうことなんだと思います」と十年のうちに身体の内側に蓄積されていったものを惜しみなく披露。

小説は優しく微笑み、「存分にやってごらん」とすべてを私に委ねてくれます。
だから、もう書くことが苦しみでもなんでもなく本当にエンターテイメント!


結局ウケのよい小説とはなんなのか

長いインターバルののちに、再び小説を書く決意をした私が考えたことは、

「読まれるためにはどうしたらいいのか」

でした。

多分、自分が書きたいことを書いているだけではダメなんですよね。

以前の私なら、主人公に試練なんて与えたくなかったし、ただただ自分が理想とするカッコイイ人物像ばかり当てがってた。

主人公を輝かせるだけのために周りのキャラが存在しているような、そんな感じ。

でも、それじゃ読者は「なに読まされてるんだ?」になっちゃう。

なら、どうする? 

名の売れている小説家の方々がなぜ売れているのか? ってことをとことん考えてみると、見えてくるものがあります。

登場人物と書き手との間にしっかりと線引きがある

要するに、客観的な視点で物が書けてる。以前の私はこれができなかったから、書いても書いても苦しみしかなかったんです。

でも難しいですよ、これ。

だって、作り込めば作り込むほど愛着が湧いてきて感情移入してしまうじゃないですか。恥ずかしい思いなんてさせたくないし、屈辱も与えたくないし、挫折だってしてもらいたくない。

だから、今回の応募作品はとことん意識しました。

近づきそうになったら離れる、近づきそうになったら離れる。近づきそうになったら離れる。近づきそうになったら離れる!


そうしたら、途中から登場人物たちが勝手に物語を紡いでいってくれるような感覚を味わうことができました。

むしろ、離れたところから物語を見たほうが、登場人物たちの全体像が分かって、よい部分もイマイチな部分もすべて「そのもの」として受け入れられるようになるって言うんですかね。

だから、本当に大袈裟ですけど、私たち人間を創造した大いなるなにかも「とことん苦しめ」という意地悪で試練を与えてるわけじゃなくて、すべては「愛」なのかもしれませんね! (迷惑な愛だけど)

ちょっと言いたいことが散らかってて、なに書いてるのか分からなくなってきたのでそろそろやめます。


創作大賞ありがとう

要するになにが言いたいのかと言うと、「ありがとう」って言いたかったんですよ。創作大賞に。創作が苦しいものじゃなくて楽しいものだって気づかせてくれたから。

今回創作大賞に応募したファンタジー小説は、
「あれ、小説ってどう書くんだったっけ?」
という状態から入っているので、完成度とか謎解きの精度とかは鼻で笑うレベルかもしれません。

けれど、客観的視点っていうのを十分意識したから、私がこれを売る側だったらどうだろう? ということもだいぶ考えました。

ちゃんと本屋さんにも行ってタイトル研究とかもしたし!
(パッと目につく本はどんなタイトルなんだろう? とか)
人間心理とかも考えて(特にギャップ効果)意識的に取り入れたし!

だから、ちょびっと、ほんのちょびっと、ほんとーにちょびっとだけ読者様の心を動かすことができるかもしれません。

でも「後悔はさせないから読んで!」と言うことはできません。

だって、「後悔させないから読んで」っていう言葉は、私が書き手である限り「主観」が入ってしまうから、半分以上嘘になってしまうもの。

だから、枕詞を入れさせてください。
「これ嘘なんだけど、後悔させないから読んでみて。嘘だけど」




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