見出し画像

敷居の低い精神科カウンセリング

初診から一ヶ月ほど経ち、カウンセリング初日を迎えました。まず注目すべき点はその一回の診察料が50スウェーデンクローナ(現在約650円)だということです。これまでの処方箋を出してもらった初診と二度目の診察もそれぞれ100クローナ(約1280円)だったので、恐らく日本の診察料よりも随分低価格、と言いたいところですが、スウェーデンの方が税金がずっと高いので簡単に比較するのは難しいかもしれないですね…ただその他の福祉制度もしっかりしているので、十分に生活のできる状況プラスそれだけの診察料となれば、精神科に通う負担は日本よりも軽いと言えます。そして皆気軽にカウンセリングに行くので、世間からの偏見も少なく敷居もとても低いのです。

15分前に来てアンケートに答えてくださいと前日にメッセージがあったので、早めに行って受け付けを済ませ、現在の状況を尋ねる質問にチェックを記入。私と同じ30代ぐらいのスウェーデン人男性の先生に迎えられました。

前回の先生とはまた違って、とても穏やかで静かに落ち着いて話してくださる方で、答えに詰まっても「何か言わなきゃ…!」というプレッシャーを全然感じさせないし、安心して本当のことを話せるという気持ちになれました。教育を受ける過程でそうなるのか、元々そういう方だから精神科医になれるのか、はたまたそのどちらもなのか…何より医師たちも十分に休暇の取れる労働環境だからこそ、日本の病院にありがちなピリピリとした空気を感じないのかもしれません。人一倍場の空気を感じ取ってしまう私のような人間には、診察所の雰囲気もとても重要なのだと分かります。

だいたい25分の持ち時間の中で今日はまず方針を決めましょう、とのこと。前回までに話したことは簡単に記録されていて引き継がれているので、再度自分の最新の精神状態とまた生い立ちについても話し、どんな手助けが必要かを具体的に引き出して行くような形でした。ようやっと抗うつ剤の効果も軌道に乗り始めたのか、前回までの重めの気持ちは随分解消していたので、割と前向きに話すことができました。特に「自分が何を求めているのか」は積極的に話さなければ伝わらない国です。それはやはり6年の在住経験の中で得た力でもあります。

しかしながら日本を離れて6年経っても染み付いた自分を後回しにする癖は消えず、一向に褒めてくれることのない親や社会のためにどうにかもっと良い人間になろうとして来たことで、永遠に今の自分を受け入れることができないまま。先生に「褒められる人になるって具体的にどうなることなの?」と訊かれて何も浮かばず、人生を通してそれを目指して来たはずなのに「正直はっきりとは分かっていない」と答えた自分に自分で驚きました。

インターネットで学んだ知識で自ら認知行動療法をやってみたけどやはり素人なので、専門家のサポートを得てやってみたいというのが私の具体的な要望で、それに加え今日の話の中から、私自身今後どうなりたいかという本来の自分の、もっと本能的な希望がどれなのかをきちんと知る、という目標がひとまず定められました。二週間後に予約を取り、「価値観とゴール」という宿題のワークシートを授かったので、次回はそれについて書こうかなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?