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自分を傷つけないと約束して

抗うつ剤を飲み始めてから三週間の経過を医師と相談して来ました。初回の臨時の方とは違い、常勤のスウェーデン人の男性の先生だったのですが、とても明るく笑顔で迎えてくださる素敵な方でした。

正直なところ薬の効果が出ているかどうかの実感がものすごくある訳ではなく、躁状態はなくなったけど落ち込みはまだあるので、先生としても、本当は落ち込みの方がなくなって欲しいのになあ、という感じ。まだ食欲も減ったままなので、食欲を出す薬を足すか、抗うつ剤の用量を増やすか、の方法があると言われたのですが、私はあまり薬に頼りたくないので今のまま続けてみることにしました。自分自身、もっと必要なのはセラピー系の治療だということがなんとなく分かっているから、というところもあります。

「うつと不安障害の症状としては君の反応は一般的だけれど、死にたいと思うことは全く別の問題だ」と先生。機能不全な家庭については万国共通する点も多いと思うのですが、日本の文化的背景についてはやはり日本人ではない先生には知り得ないことも多いようで、熱心に耳を傾けてくださいました。「これはここで話すようなトピックじゃなかったかもしれないけど、個人的にとても興味深いよ」と。

一度風邪薬をたくさん飲んでしまおうかと思って行動に移そうとしてみたけど、結局はできなかったことを話すと、「どの薬を組み合わせると危ないとか、どれぐらい飲めば致死量だとかの知識はある?」と訊かれ、そういえばそんなこと全然知らないやと答えると、「じゃあまあ本当に死ねるかどうかは分からないね」とちょっと冗談交じりに言う先生。いやいや、変なきっかけを与えていないかい?(笑)

「君は賢い人だし、友達もちゃんといる。もっと幸せに、人生を楽しんで生きていいのだよ。友達と過ごすことは何よりのセラピーだ。自分自身のこともしっかり説明できている。まずはここに相談に来たということ自体がとても大きな一歩で、それを踏み出せて本当に良かった。ひとつだけ、自分を傷つけるようなことは絶対にしないと私と約束してくれる?」

先生のその最後の言葉に、ふと涙が出そうになってしまいました。きちんと話を聞いている態度。理解を示してくれること。できている部分を褒めてくれること。会話を楽しむような雰囲気。前向きにしてくれる言葉の数々。専門知識や経験の賜物でもあるだろうけど、先生の元来の人格にも感心して、この先生にお会いできて良かったなと思いました。普段からそんな空気に触れていられたら。何より自分で自分に先生の仰るような言葉をかけてあげられていないことにハッとしたのです。

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