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ハズレたガチャを引き直す

二度目のカウンセリングと三度目のカウンセリングの間に引っ越しをしました。ずっと家具付きの部屋を間借りしていて新居も間借り、元々持ち物の少ない私ですが、引っ越し作業というのには力がいるものですね。

スウェーデンの賃貸事情はとても厳しく、公営の手頃な賃貸アパートにはとんでもない長蛇のウェイティングリストが出来上がっています。登録して三年程度の私の順番は、かなり郊外でも100番かそれ以上。定職のある人は投資も兼ねて購入してしまう方が効率的ですが、私は今IT系の専門学校に通っていてローンが組めるほどの収入はまだありません。

うつと経済、住居問題はどうしても大きく関係しているのではないかと思います。それでもスウェーデンでは充実した福祉制度のおかげで、経済的に困窮していても医療費の返済に苦しむこともなく、私も学費無料、奨学金までいただいて学校に通っているので、正直なところ自分の払った税金よりもずっと多くのものを得ていて恐縮するほどです。早く定職に就いて恩返しをしたいところ。

私は機能不全な家庭で暴力と暴言の中で育ったので、今話題のいわゆる「親ガチャ」にはハズレている方だと思います。経済的には貧困ではなく大学まで行かせてもらいましたが、基本的な愛情のある家族の形を知りません。特に母親に振り回されて育ったために、高圧的でコントロールフリークな女性に苦しめられる人間関係を何度か繰り返して来ました。

実のところ、以前間借りしていた部屋の大家さんがアジア系移民のおばさんで、母に歳も近く、正に母のようなヒステリックな女性でした。根は悪い人ではないのですが、視野が狭くすぐに自分のことで一杯一杯になってしまうので、他者の傷つくようなことを平気で言ったり、近所の人たちの嫌なところを何かしら見つけてきては毎日愚痴文句。よくもまあそんなに誰かの悪いところを見つけられるものだと最終的には変な感心をしてしまいましたが、正直なところ彼女との生活でうつが悪化していたことは否定できません。

抗うつ剤の服用を開始した時、世代的にもうつに理解のない彼女に色々と心ない言葉をかけられました。本人が理解できないのは仕方がないし、悪気もないのだろうと思います。ただ、どうして私はこのような人に振り回される結果を招いてしまうのだろうかと心底呆れました。疲労困憊の淵で話を聞いてもらった友人が事態を深刻に受け止めてくれ、新しい大家さんとのご縁を結んでくれました。

家探しには何度もトライして来ましたが、その賃貸事情の厳しさから全て失敗に終わっていました。それが、もうこの負のサイクルを断ち切りたい!と決心して始めた抗うつ剤がきっかけとなってとんとん拍子に新居に繋がったのですから、何がどう転ぶかその時は分からないし、まず覚悟することが扉を開くものなのだなと。ガチャに失敗しちゃったなと思ったら、諦めずに他所で引き直す意志を持ち続けたい。そして何度も引き直せる社会であって欲しいと切に願います。

新しい部屋、新しい大家さんとの生活についてはまた何かの機会に書こうと思いますが、驚くほど好転したということだけ、お知らせしておきます。

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