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踏切でワルツを

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何処にも行けない君と、踏切でワルツ踊りたい。
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クルックス菅を游ぐ魚

中学生の頃の雨宮さんと梅野さん

「く、く、く」「クルックス菅」

絵の具を零したような夕焼けが空に広がっていた。
橙色に満ちる理科室は、凛とした静謐に満ちていた。少なくとも、彼女の胸元にある赤いスカーフが、ひらひらと揺れているだけで、なんだかふたりだけで浮世から逃げ出してきたような錯覚に陥ってしまうくらいには。
おかしいな子みたい、と唇に触れていた指が、夕焼けに浄化された空気を掠めた。
まる

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遠雷

もうすぐ夏だというには寒い夜になった。
小雨が降ってきそうな独特の寒さに身を凍らせる。明日は、大雨になるだろう。
唐突にインターホンが鳴った。こんな夜中に誰だ。
そういえば、今日は家に真由がいないことをぼんやりと思い出す。
それだけで、インターホンの主がほのかさんであることは明白だった。
真由が家にいない日に、ほのかさんはなに食わぬ顔で、俺の家のインターホンを押す。

「こんばんは」

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