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ルラボで香水を買ったレポ

筆者は生来の引きこもり体質であるからして、自粛期間というものはそれほど苦にならなかったのだが、一つだけ困ったことがあった。香水を試しに行くことができない。

待ちに待った緊急事態宣言の解除に伴い、各店舗も自粛を解除して再開を始めた頃、筆者がまっさきに向かったのはLE LABOの銀座シックス店である。

いやそこは代官山までいけよという声が聞こえなくもないのだが、あいにく別の用事があったので代官山まで行く時間がなかった。許してほしい。

というわけで本記事では、筆者の初・LE LABO香水であるTHE NOIR 29について書いていこうと思う。

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LE LABO(めんどいので以降はルラボと表記する)に初めて興味を持ったのは、憧れの俳優であるジェイソン・ステイサムのパートナー、ロージーが愛用しているという記事を見たことだった。当時は「知らないブランドだな」くらいにしか思わなかったのだが、その後色々と調べているうちにハリウッドセレブが愛用する超有名(そして高級)な香水であり、日本にも店舗があることを知った。

物欲は知識と同時に増える。

自粛期間中、美容系Youtubeを見ていた筆者は、偶然にも香水の紹介動画でルラボに再会した。おしゃれなYoutuberが熱心に紹介するルラボの香水に、次第に興味を持ってしまったのだ。


というわけでルラボの店舗を訪れて、最初に試したのはサンタル33という香りだった。これは前述したYoutuberが「とてもいい香りなので試してみてください」と紹介していたので気になっていたものだった。ルラボの中でも一番人気らしい。

ひねくれ者の筆者は「一番人気の香水はどうせ自分の好みではないだろう」と思っていたのだが、一応試香した。良い香りだった。

というのも、樹木系香水大好き人からするとドンピシャに好みの香りなのである。スモーキーだがどこか甘さもあるような、そして軽やかでまといやすい香り。確かに特徴的かつ大衆受けしそうな香りであった。

「ウッド系が好きで集めてるんです」

そういうと店員さんが次におすすめしてくれたのはローズ31だった。樹木系なのにローズ?と思うかもしれない。だがルラボのローズはウッディーだった。そして爽やかさっぱり系のローズだった。これは初体験の香りで、思わず何度も試してしまった。

その次におすすめされたのが、テノワール29。ロージーが愛用している香りである。「テノワールたんキター!これでロージーとおそろいでござるデュフフwww」

脳内に飼っているキモオタが暴走するのを表情には出さずに、静かに試香する。

めっちゃいい香りだった。

香水のレビューで「いい香り」とか書くのはどうかと思う。いい香りなのは当然なのだからもっと詳しく書くべきだ。だがとにかく第一印象が「いい香り」だったのだから仕方がない。

最初に出てきたのは薔薇の香りだった。しかし直前に試したローズ31とはまた違う、ウッディーなローズ。アンバー、ムスクと、本来好みでないはずの動物系香料にもかかわらず、とても好みなトップノートだった。甘くなく、スッキリとして心地よい香り。個人的にはユニセックスな香水だと思うが、どちらかというと男性に人気らしい。

そして最後に試したのが、ウェブサイトを見て気になっていたベチバー46。

ベチバー46もウッディー系で、まさに好みのお香系だった。いぶした草の香り、燻製のような烟った樹木の香り。甘さは一切なく、タバコやお香に近い香りだった。そう、ラストノートは火をつけていないタバコに近いかもしれない。


このテノワール29とベチバー46の二択で最後まで迷った。2つの香水をそれぞれの腕に着けてもらって、しばらく店内をうろついたり店員さんと香水トークをしたりしながら試香した。最終的にテノワール29にしたのは、ベチバー46は香りが重く、これから夏に向かおうとする時期には不向きと感じたからである。

「秋になったらまた来ます」

そう言って(またトップノートだけで香水を決めてしまった…)、ベチバーは涼しくなる時期の楽しみにとっておくことにして、テノワール29を購入するためにレジへ向かったのである……。

ちなみに、ルラボではラベルに好きな言葉や自分の名前を入れることができるのだが、筆者は空欄にした。単純に思いつかなかったのもあるが、自分の名前を入れるほどナルシストではないし、ペンネーム的にも空がふさわしいと思ったのもある。


ということで筆者の初・ルラボ香水はテノワール29になった。まさかのロージーと同じ香水である。最初はサンタル33を買うつもりで行ったのに。なにか運命的なモノを感じた。

その後美容院に行ったり買い物したりと一日を過ごしたあと、腕につけたテノワール29とベチバー46を再び嗅いでみた。

ベチバーは更にお香感が増して、完全にいぶした草木の香りになっていた。枯れ葉を燃やして焚き火をしたときのような、樹木の香り。完全に秋向きだったので今買わなくて正解だったかもしれない。涼しい時期に着けたいと思える香りだ。

それからテノワール29。こちらもトップでは薔薇の主張が強かったが、ラストに向かうにつれてウッディーが主張してくる、とても好みの香りだった。


……と思ってこの記事を書きながらもう一度テノワール29を振ってみたのだが、トップノートが薔薇ではなくてムスクと紅茶、ハーブのような葉(ベルガモット?)の香りだった。ミドルからラストが薔薇とウッディーなのかもしれない。いやはやなんとも不思議な香水である。

ベチバー46を買わなかった理由はもう一つある。筆者は樹木系香水の完成形である、ゲランの夜間飛行を持っている。これが理由だ。樹木系は一旦置いといて、夏に向けてすこし違った趣旨の香水を持っていてもいいかもしれない。そう思ったのも理由の一つだ。

この記事を書きながら改めてテノワール29をボトルから直接嗅いだり、腕に吹き付けたりしてみたが本当に落ち着く、それでいて重くない不思議な香りなのだ。やはりローズの主張が強いように感じるが、肌に着けるとそれが一変してウッディーやリーフの植物的香りが出てくる不思議な香水だ。


この素晴らしい香水の欠点を一つ挙げるとするならば、15mlで約一万円と少々値が張るところである。「香水は飽きるかもしれないので一番小さいサイズを買う」ポリシーの元、15mlを買ったのでもしかしたらすぐに使い切ってしまうかもしれない。そうしたら今度こそ代官山の店舗に行こう。そこでテノワール29をもう一度買い、ベチバーの15mlも買うのだ。


まだ夏にもなっていないが、今から秋が楽しみだ。

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