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真珠のネックレスを糸替えに出した話

以前の記事で「真珠はつけない主義である」と書いたのだが、

その後祖母から真珠をもらうことになる筆者であった……

きっかけは祖父の葬式。

実家に帰った際、祖母から「これ着けなさい」とお下がりの真珠三点セットをもらったのだった。流石に「嫌いだから着けない」と言うわけにもいかなかったので、法事の最中つけていた。

せっかくもらったのだから活用したいと思って真珠について色々調べることにした。

祖母の話では十数年前に数十万で購入した、というなんとも曖昧な情報しか得られなかった。その間ほとんど使っていなかったらしく新品同様。中に入っていた保障証によると、少なくとも16年以上前に購入したものであることがわかった。

なにかあってからでは大変なことになる品物であることだけはわかったので、東京に戻ってきてから早速糸替えに出すことにした。イヤリングはピアスに、リングはサイズ直しに。

とりあえず見積もり、ということで近所のデパートと銀座のデパートに入っているジュエリーリフォームの店舗二箇所で見積もってもらった。

一箇所は糸替えのみで7000円程度。銀座の方は糸替えで一万円オーバー。価格で考えるなら最初に訪れた店舗のほうがいいのだろうが、銀座のお店のほうが対応が丁寧だった。最初の店舗のほうはちょっと扱いが雑というか……祖母にもらったものなのでしっかりしたお店にお願いしたい。

その日は見積もりだけお願いして、一晩考えることにした。母親や友人に相談したら、「比較すると高いほうが安心するよね」という意見をもらった。

一晩考えて、パールリングは出番が少ないだろうということから今回はサイズ直しを見送り、ネックレスの糸替えとイヤリングをピアスにリフォームすることをお願いすることにした。

翌日銀座の店舗に行くと、昨日と同じ店員さんが対応してくれた。

「昨日見積もりしてもらった者ですが、一晩考えてお願いしたいと思いまして……」

そういうと、店員さんは顔を覚えていてくれたらしく、「ご相談されましたか」と言って席を勧めてくれた。

「実は昨日、お客様がお持ちになった真珠を見て私も真珠を着けたくなって、今日着けてきてしまいました」

そう言われて店員さん見ると、白く輝く上品なパールのネックレスとピアスが目に入った。思わず「素敵です!」と言ったら「いえいえ。お客様のお持ちのパールのほうが大粒で素敵ですよ」と返ってきた。商売上手かな。さすが銀座の一等地に店を構えているだけある。対応は完璧だ。筆者の心は決まっていた。


「ネックレスとイヤリングだけお願いします」

そういって昨日と同じように祖母からもらったままの箱に入ったパールを取り出し、トレーの上に乗せた。

店員さんはネックレスとイヤリングの写真を取り、顕微鏡でパールを隅々まで観察しながら説明してくれた。

「ここに小さなキズがあります。これは”えくぼ”と言って、天然ものの証です」

ネックレスは珠の数を数え、写真を撮って大きさを測ってから預かり証明書的なものを書くというかなり丁寧な対応だった。

筆者にはパールの価値はわからぬ。

貰い物なので値段も知らない。だが、祖母が「生きてるうちに」とくれた生き形見。万が一なにかあったら困る。

そういうわけで、ちゃんとしたお店で修理をお願いした。値段はネックレスとピアスで3万円程度だったが、保証がつくと考えると妥当な値段かもしれない。

デパートの高級ブランドばかりが並ぶフロアにあって、入るのはとても緊張したが、丁寧な接客に大変気分よくリフォームをお願いすることができてよかったと思う。

出来上がりには一ヶ月ほどかかるらしいので、手元に祖母のパールが戻ってきたらまた記事を書こうと思う。


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