イタリアから美術品を持ち出す方法
イタリア在住 画家・壁画修復士の高野暁世です。
Note 読者の皆様、お久しぶりです。
さぼってましたごめんなさい・・・
。。。。。さて、
表題から犯罪的な匂いが漂っていないか心配ですが、
いたってまじめな、イタリア国外へ美術作品を発送するときに必要な
書類制作レポートです。
イタリア国内から自作品を持ち出したり、輸出する予定がおありの方は参考になさってください。
★ ★★ ★ ★★ ★
イタリア国外(EU圏外)へ美術品を送る(持ち出す)際には、
作品IDカードというか文化省が発行する輸出承認書が必要です。
歴史的・文化的価値の高い文化財の流出を防ぎ、
盗難品を発見するのが目的ですが、
現代作家の作品でも例外ではありません。
場合によっては必要ない、無くても大丈夫だった
という方もいるとおもいます。
実際、アートスクール留学中に制作した作品などは
大丈夫かもしれません。
ただ、輸出承認書が添付されていないと、
国境で厄介なことにならないともかぎりませんから、
心配なかたは添付をおすすめします。
発送代理店(MailBoxEtc.など)に申請の代行をお願いすることもできます。
ここでは自分で申請する手順をざっくりと説明します。
注・申請→承認までだいたい2~3週間かかります。余裕を持って準備しましょうね。
準備。。。。。。
1、作品のデジタル写真を用意し保存しておきます。
2、文化省の専用プラットフォームにアクセスしあらかじめアカウントを
作成しておきます。(これについては後日)
アカウントが有効になるまでに1週間ほどかかります。
3、専用プラットフォームにアクセスします。。。。。
注) いくつかの項目はポップアップで選択肢が表示されるので、
ポップアップブロックを解除しておきましょう
アクセスしたら、左側縦にならんだ項目一覧からしたい作業を選びます
★「新規申請の入力」を選択
→ タブ別になっている下記項目を埋めます
(入力ウインドウ上方の見出しをクリックして各タブを移動できます)
・申請者の個人情報
・作品の所有者と申請者(代理人が申請する場合)が別なら所有者の情報
・その他、輸出先の国名を選択
★全国にある文化省のどの窓口に申請書を提出するのか選びます
書類の提出や引取りが必要ですので私は近くの窓口を選んでいますが
郵送でも可能です。
★作品情報の入力
・まずカテゴリーを選びます。今回、自分の作品想定なので
「コンテンポラリー作品の自己申告」というカテゴリーを選びます
注)コンテポラリー作品とは、作品制作から70年以内の作品のこと
ただし取引額に上限があります。(2万ユーロだったかな)
注)骨董品や物故作家・現存でも高額取引されている作家の
作品などは別の取り扱いがあります
・どんな作品が輸出されるのか、以下の項目を埋めます。
1作品の種類(絵画・彫像・工芸作品など)
2制作年代
3作者
4素材とテクニック・・・ここはポップアップから選択式です
まず素材・たとえばTELA(キャンバスのこと)など選択
サブカテゴリーでテクニック・たとえばOLIO(油彩)など選択
5題名 (無記入だと最後で進めません、なにか入れましょう)
6サイズ(小数点以下は入力できません、私は四捨五入しています)
7写真ファイルを添付・・・ここ、けっこう面倒です
まずゼムクリップのイラストをクリックすると別画面が現れます
そこでファイル選択をクリック→
保存してある輸出したい作品画像を選択し{加える}をクリック
{セーブ}しないと失われますよという旨のメッセージがでます
セーブします
★申請を送信 (クリックする場所は入力窓の上方にあります)
数日?後、受付完了メールが届きます。
受付完了メールに申請書類の印刷用のリンクが着いてきます。
印刷して必要箇所に記入・サインをして窓口へ提出します。
窓口ごとに違うと思いますが、1週間から10日ほどあとに承認印を受けた書類を取ります。
この書類を作品に添付して国境を越えて(または発送して)ください。
。。。。。。
一度必須要件が埋まっていなくても、送信できてしまい、メールでお知らせがきました。(必須かどうか、見分けがつきにくかった~)
なかなかクセのある入力画面で、初めてやったときは何度かヘルプデスクに問い合わせた記憶が・・・しばらくご無沙汰で久しぶりにやったら、やはり四苦八苦しました。
で、オンライン申請後にプリントしたり判子(承認印)が必要って・・・
オンラインでは完結しないイタリア、IT後進国なのね(涙)
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ということで、コンテンポラリーな美術品をヨーロッパ圏外へ持ち出すときに必要な書類の申請方法でした。
ご質問があればコメントください。
「やくにたったな~」投げ銭も歓迎です。
ではまたね~
応援してもいいな〜という方はサポートをよろしくお願いします。工房維持費にさせていただきます。作品やお仕事依頼ももちろん喜びます。仕事は主に人物動物肖像画、壁画制作修復ですがその他の事も相談ください。