目を覚ませ僕らの大賞が何者かに狙われているぞ!5

時を遡って1分前、コリンズ邸の地下室。

「まずいわ!グリッドマンはピンチよ!」
「なんだって!?ま、いつものことだけど」

デジ・ワールドの状況はかなり緊迫だが、タンカーはさほど心配している様子がなかった。

「ここ最近サムが独力で倒せたメタウイルスモンスターはほぼないんだよなぁ」

特撮番組は中盤から敵も全体的に強くなり、最初のフォームではまったく太刀打ちできない現象だ。さすがに皆はもう慣れている。

「オレたちも行こう。サンダーグリッドマンでメタウイルスモンスターを蹴散らそうぜ!準備はいいか?」
「悪いけどタンカー、シド。今回はおれに行かせてくれ」

タンカーはドラムスティックを構えるタンカーの後ろにいるアンプが言った、手にはすでにベースを手に抱えている。

「大賞をメチャクチャにした奴をどうしてもこの手で斃したい。皆の無念を晴らしたいんだ」

アンプの目には揺るがぬ意志が宿っていた。まるで決闘に赴くガンマンのようだとタンカーは思った。

「……そこまで言うのなら、いいだろ。行け!しかし無理はするなよ。ヤバかったらオレとシドが行くからよ!」
「安心せよ、そうはならぬ!」

アンプは自信満々な表情でベースの絃に指をかけた。

「いつでも行けるぞ、シド!」
「こっちもOKよ、アンプ」

シドが振り返ってアンプサムズアップ。ジャンクのモニターには紺色の戦闘機の3Dモデルが表示されていた。アンプが担当する空戦タイプのサムライアタックビークル、スカイヴィッターだ。

「スカイヴィッターはいつでも出撃できるわ!」
「ヨッシャー行くぜ!フライ・イントゥ・ザ・デンジャー・ゾーン!

掛け声と共に、アンプはベースの絃を弾いた。するとアンプは体が光に包まれ、スカイヴィッターのコクピットに吸い込まれて搭乗を果たした。

「ともにゆこう……スカイヴィッター!」

LANケーブル経由で電気システムに入り、さらに衛星回線に乗って、スカイヴィッターが数秒もかからずグリッドマンが居る領域に到達した。

デジタルの空に裂け目が開き、中からスカイヴィッターが飛び出る。地上ではグリッドマンがメヒコマシェットⅡにサンドバックされている。

「ダチから離れろのでかハラペーニョ野郎!」

スカイヴィッターの機首マシンガンから発射されたエネルギー弾がメヒコマシェットⅡの背中に命中、爆発!

『プッタァァ!?』
『フンッ!』

グリッドマンはスキを突いてメヒコマシェットⅡの腹部を蹴り上げてマウントからエスケープした。

『はぁ……はぁ……ありがとう、助かった!』

グリッドマンは空中を回旋するスカイヴィッターを見上げる。コクピットの中、アンプは咳払いし、口を開く。

「よく来たな、おれは逆噴射スカイヴィッターだ。おれの正体は宇宙からやってきた異星人だが、誰もおれの話を冗談だと思って信じていない。だが今日は危機に陥る親友を助け、そしておれが尊敬しているライバルたちを殺した罪を償ってもらうためにおれはやってきた。覚悟しておけ」

その声がいつもよりトーンが低い、しかも妙にしゃがれていた。一方、暗い部屋にいるマルコムが不服な様子であった。

「きぃ~!!また来たかあのおもちゃどもめ!いつもこうだ!ようやくグリッドマンに勝てそうになると都合よく現れて合体して逆転される!卑怯だぞ!こっちはメタウイルスモンスター一体で頑張ってるというのに……うん?」

マルコムは目を凝らした。デジ・ワールドの様子を写す画面はスカイヴィッターにズームインし、文字列を。”逆噴射小説大賞ファイナリスト/重点抹殺対象”と。

「ワッダ……あれがファイナリスト、正確に言うとファイナリストの意識が乗っているのか!?同じ場所で重点抹殺対象がふたつとも揃えるなんて、僕はついてるぞ!」

邪悪な笑顔を浮かべ、マルコムがキーボードを叩く。

「こうなったら出し惜しみナシだ。オールキルプロトコル、発動ッ!!」

ターン、勢いよくEnter!

『METAAAAAAAAA!!!』

指令を受けたメヒコマシェットⅡは再度体表に満遍なくミサイル針を生成。その数はなんと脅威的の128発!もはやサボテンというよりヘッジホッグじみた容貌だ。

「げっ!えぐいほど弾数が増えやがった!」
「あれほどのミサイルがもし一発でもデジ・ワールドに当たればまた逆噴射小説大賞の参加者が命を落としてしまうわ!グリッドマン、アンプ、必ず阻止よ!」
『無理難題を押し付けてくれるな……』
「ええい、もっと単体で活躍したかったけど仕方ない!合体するぞ、グリッドマン!」
『おう、行くぞ!トォーッ!』

高く跳躍するグリッドマンの背にスカイヴィッターが重なり、機体が3つの部位に分離する。機首がヘルメット状に変形してグリッドマンの頭部に被る。胴体が背中全体にマウント。最後にブースターがグリッドマンの両脚にブーツを履くように装着。これこそ空戦仕様に適合してグリッドマンの姿、その名はーー

『「完成!大空合体超人ーースカイグリッドマンッ!』」

スカイグリッドマンは空中でかっこよくポースを決めた。

(続く)


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