目を覚ませ僕らの大賞が何者かに狙われているぞ!4

メタウイルスモンスターの出現につき、スーパーヒューマンサムライスクワッドは混乱に乗じて学校を抜け出し、コリンズ邸の地下室に駆け込んだ。

「いたわ!メタウイルスモンスターよ!」

シドが操作している配線剝き出しの廃品じみた手作りPC、通称「ジャンク」のモニターにデジ・ワールドで暴れまわる怪獣の映像が映る。

「まるで炙った青ハラペーニョに手足をくっつけたような外見で気色悪いぜ!」

気持ち悪がるタンカー。その後ろにサムがギターを構える。

「こいつをぶっ倒せばいいんだな?準備はできたかシド?」
「いつでもどうぞ!」
「よしじゃ行くか!レッツ・サムライズ・ガイズ!

掛け声と共にサムはギターを鳴らすと、サムの体が光と化してジャンクに吸い込まれる!モニターの中に光が集い、赤と銀のアーマーを纏ったサイバー戦士に構築する。これがサム・コリンズがサムライズした姿、電光超人グリッドマンだ!

両腕を高く掲げ、グリッドマンは飛び立つ。LANケーブル経由で電気システムに入り、さらに衛星回線に乗ってメタウイルスのいる領域に到達。未来感のあるサイバー都市の上空に空間にポータルじみた穴は開き、中からグリッドマンが飛び降りる。

『トリャーッ!』
『メターッ!?』

グリッドマンが挨拶代わりに飛び蹴りを繰り出す!それを受けてにメヒコマシェットがよろめく!

「むしゃむしゃ、やはり来たか、グリッドマンむしゃっ!」

暗い部屋の中でメヒコマシェットの様子を見守るマルコムはドリトスを咀嚼しながら言った。カスがめちゃ飛ぶ。

「けれど遅かったな!既に14人を抹殺し経験値を多く積んだメヒコマシェットはを従来のメタウイルスモンスターとわけが違うぜ!ゆけ、メヒコマシェット!グリッドマンを血祭りにしろ!」
『ベーンデホォ!』

メヒコマシェットは気合を入れる、すると青ハラペーニョじみた滑らかな体表が蠢き、無数のマチェーテが体内から迫りだすではないか!さしずめ針をマチェーテに置き換えたサボテンといった様相だ!それを見たグリッドマンは訝しむ。

『第二形態だと!?すごくヤバそう!』
「ガハハ!これがメヒコマシェットⅡだ!強化モードはヒーロー側の特権じゃないってことさァ!」
『グリンゴッ!』

全身凶器と化したメヒコマシェットⅡはグリッドマンに向かってタックルを仕掛ける!

『うわっ!』

サイバー建造物をよけながら、グリッドマンは側転を打って回避。怪獣はそのまま進路上のサイバー建造物を破壊、その結果ーー

どこかのシネマ、初代逆噴射小説大賞チャンピオンのNo.2が映画を観ていた。すると忽然電源を切ったはずのスマホが勝手に起動し、光って鳴りだす!

((てめぇ上映中は携帯の電源を切るのかマナーだろうが!))

後ろ席にいる短気のギャングスターが心の中で叫び、サイレンサー付き拳銃を取り出し、No.2の頭を撃った。前のめりに倒れるNo.2。しかしさすがはチャンピオンだと言うべきか、致命傷を負っても、即死はしなかった。

彼は力を振り絞り、ほかの観客に迷惑を掛からないよう仰向けで光の漏れを最小限にしながらTwitterを開く。

『俺死ぬわ』

彼が最期に発したツイートが数秒足らずアンプのTLに流れてきた。

「Shit!初代チャンピオンのNo.2さんが死んでしまった!」

フォロワーの様子を監視していたアンプが大声で報告。地下室に緊迫な空気が漂う。

「オレ考えたんだけど、もしかしてさ、デジ・ワールドが破壊される度に逆噴射小説大賞の参加者の身に何か良くないことが起きてしまうんじゃないか?」
「有り得るね。グリッドマン、タンカーの話を聞いたわね?これ以上デジ・ワールドを破壊させないで!」
『簡単に言ってくれる……コイツ本当に手強いんだからよ!』
『プッタ』

メヒコマシェットⅡはグリッドマンに向き直り、次のタックルに体勢を整える。

『ならば一か八かだ!はああああ……ふんっ!』

グリッドマン全身のエネルギー量が高まり、胸部装甲中央のパーツに黄色く光る。

『グリッドオオオオッ……!』

両腕を腰の前に交差し、すかさず太極拳のように車輪を描き、左手の甲をメタウイルスモンスターに向け、足を踏みしめる。

『ビィィィィィィムッ!!』

手が甲から発射された黄色い光線がメヒコマシェットⅡに直撃!数々なメタウイルスモンスターを葬ってきたグリッドマンの必殺技、グリッドビームだ!KA-BOOOOOM!炎と爆煙が舞い上がる!

『やったか!?』

グリッドマンは構えを解こうとした、すると、

『プッタアアアアアッ!!』

無数のマチェーテが煙の中から飛びだし、ミサイルのようにグリッドマンに襲いかかる!

『ぐわああああっ!?』

それを受けてグリッドマンが吹き飛ばされ、重々しく倒れこむ。

「フォアハハハハハハ!馬鹿めが!ウルトラマンを観てなかったか?あんな中途半端なタイミングで出す光線技で怪獣を倒せた試しがねえんだよォォーッ!!」

グリッドマンのやられ姿を目にしたマルコムはさらにハイテンション!

「チャンスだメヒコマシェットⅡ!そのまま押し切れ!グリッドマンをぶっ殺せぇー!!」
『ベンデホオオオー!!』

メヒコマシェットⅡ追い打ちを仕掛ける!倒れているグリッドマンにマウントを取り、手に生えているマチェーテをひたすら振り下ろす!

『ぬわっ!ぎぁっ!がはっ!』

グリッドマンはガードを固めて耐えることしかできない!次第にグリッドマンは力が弱まり、額のエネルギーランプーが点滅し始める!ピンチ!

「いける、これはいけるぞ!殺ってしまえ、メヒコマシェットⅡ!デジ・ワールドで死んだサム・コリンズが現実では行方不明となり、悲しむジェンに僕が寄り添ってアプローチ!これで僕も暗い人生とサヨナラして晴れてリア充だぁ!!」

興奮するマルコムは顔をモニター貼りついて言い放つ。彼の頭は今ジェンと幸せな未来を描く妄想でいっぱいとなった。ちなみにジェンごとジェニファー・ドイルはサムの恋人であり、マルコムは彼女に片思いしているためサムに嫉妬しメタウイルスモンスターを作り出すことも少なくない。

『グリンゴォ……!』

この一刀でグリッドマンを葬らんと宣言するかのように、メヒコマシェットⅡは右手の凶刃を高く掲げる。次の瞬間、メタウイルスモンスターの背中が突如に爆発が起きた。

『プッタァァ!?』
『フンッ!』

グリッドマンはメヒコマシェットⅡの腹部を蹴り上げてマウントからエスケープ。

『はぁ……はぁ……ありがとう、助かった!』

グリッドマンは空を見上げ、ピンチを作ってくれた助っ人を目視した。デジ・ワールドの空に、大型のブースターが付いた紺色の戦闘機が飛翔していた。

「よく来たな。おれは逆噴射スカイヴィッターだ」

(続く)


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