目を覚ませ僕らの大賞が何者かに狙われているぞ!6

『「大空合体超人、スカイグリッドマン!』」

かっこ良くポーズを決めるスカイグリッドマン。合体バンクの映像が30秒ほど流れていた。ミサイルが発射されしてまうのにそんな悠長に合体していいのか?と疑問に思う読者もいるだろう。どうかご安心を。バンクが長いように見えるが、作中の現実では開始から完了までは1秒しか経過していない。傍目からすればグリッドマンとスカイヴィッターは一瞬で合体を完了したように見えたのだ。

『「飛ばすぜぇえええ!!!』」

ブゥン!ブースターが火を吹く。グリッドマンは静止からマッハ1に急加速!

『プカァーーッ!!』

同時にメヒコマシェットⅡは全身から針ミサイルを発射。まるでシロクジャクが尾を開いたかのように、合計128発の爆発物が白煙の尾を引きながら電子の空に放たれた。一部のミサイルはスカイグリッドマンをホーミングし、ほかがランダムの方向に散らばっていく。マルコムの意図的にそうプログラムしたのだ。

スカイグリッドマンの火力とスピードならホーミングミサイルを潜り抜けてメタウイルスモンスター本体を攻撃することは容易いが、電子ビルにミサイルが当たってしまえば、それはどこかの逆噴射小説大賞参加者が命を失うことを意味する!

「こいつぁ大変そうだ!」
『けどやるしかないッ!』
「そうだよな!スカイグリッドマンの空中戦闘能力を見せてやろうぜ!」

見ず知らずのどこか誰かであろうと見捨てたりはしない。ミサイルをすべて撃ち落とし、メタウイルスモンスターを討つ、それがベストチョイスでオンリーチョイス。彼らはスーパーヒューマンサイバーサムライスクワッド、ヒーローなのだ。

そして主題歌が流れる。

電圧をあげろ! 蹴り飛ばせ!
打ちやぶれ! 僕らのヒーローはやり遂げる!
スーパーヒューマンサムライ!(激しいギターソロ)
スーパーヒューマンサムライ!(いかしたなギターソロ)

『「アンプレーザーサーカスッ!』」

ZAP ZAP ZAP!スカイグリッドマンは脚部から曲がるレーザーを発射する。糸のような細いレーザーがミサイルを貫き、溶断し、爆破させる。ミサイルに追われながらミサイルを追い、スカイグリッドマンは縦横無尽に飛び回る。レーザーとミサイルの煙が飛び交い、爆発が花火のように常夜の空を彩る。さながら新年のファイアワークショーじみた光景だ。89、73、49、32......ミサイルの数が確実に減っていく。

「いけるぞ、その調子だ!」
「ふたりとも頑張って!」

モニターの前、タンカーとシドが手に汗握りスカイグリッドマンの奮闘を見守る。一方マルコムは暗い部屋で悪っぽい表情で戦況を眺めていた。

「ククク......必死じゃないか。ヒーローってのは大変なもんだ。さて、そろそろ仕掛けるか」

『フンッ!』

残り最後のミサイルをチョップで切断、全弾阻止成功!

「やったぜ!あとは怪獣をやっつけるだけだ!」
『一気に畳みかけよう!ってあれ、いない!?』

地上ではメヒコマシェットⅡの姿がどこにもなかった。戸惑うスカイグリッドマンの上方に何がか迫る!

『プッタァァァァ!!!』
『「ぐわああああああ!!?』」

強烈なダブルハンマーパンチ!なんと、メヒコマシェットⅡは凄まじい脚力でスカイグリッドマンよりも高く跳躍し、奇襲をかけたのだ!

「ボクが思った作戦通りだグリッドマン!ざまぁみやがれ!」

マルコムはモニターの前でカッツポースした。スカイグリッドマンが隕石のごとく墜落し、電子ビルの屋上に叩きつけられた。電子ビルが衝撃を耐えれず崩れてしまった。逆噴射小説大賞参加者の死が発生してしまう!

「はぁ......今日も疲れたぜ」

残業を終え、逆噴射小説大賞ファイナルリストの豹頭人ユキヒョウマンがホームで終電を待っていた。

「さみぃ、なんか暖かいドリンクでも飲むか」

ユキヒョウマンが自販機でホットコーヒーを購入しようする途端、ゴゴゴゴ......ガガガッ!ゴバーン!自販機から恐ろしい機械音が鳴り響く!

「わわっ、こ、壊れた!?僕は何もしてないよ!」

慌てるユキヒョウマン。自販機の取り出し口から熱した缶コーラが炭酸を噴きながらロケットのように飛び出し彼の顎に直撃!

「ごぶっ」

ユキヒョウマンがアッパーカットを喰らったボクサーのようにふらついてホームの縁に接近してしまう。そこで急行電車がハイスピードで駅を通り抜き、ヘッドライトが恐慌とした彼の顔を照らした。

ダイヤが人身事故で遅延することとなった。

場面がデジ・ワールドに戻る。強い衝撃で合体解除してしまったグリッドマンはビル残骸の中で呻いていた。エネルギーランプがより激しく点滅する。

『ぐっ......うぅ......』
「クソッ、こっちも動けねえ!」

スカイヴィッターのコクビットの中でアンプがレバーを引いたりボタンを押したりするが、機体が動く様子が一切ない。絶体絶命!タンカーはモニターの前で頭を抱えた。

「アアーッ!だから最初から全員合体でやれって言ったのに!シド、ダイナドラゴンを用意してくれ!オレが出る!」

タンカーはサムライズすべくドラムスティック掲げる。シドは眉間に皺寄せ、別のモニターを見つめる。

「待って、また何がが来るわ!」
「新手な敵か!?勘弁してくれって」
「いや、それが、ジャンクの反応によると、戦闘領域にグリッドマンが2人がいるって」
「どゆこと!?」

「また新しいおもちゃが来る前にカタをつけてもらうぞ!死ねぇ、グリッドマン!死ねぇーッ」

とマルコムが叫ぶ。メヒコマシェットⅡは拳を振り下ろす。しかし拳がグリッドマンに届く前に横から前腕が掴まれ、阻まれた。

「なっ」

マルコムは訝しんだ。モニターにグリッドマンとよく似たもう一人のサイバー戦士の姿が映っていた。

「なんだてめっ」
『ハッ!』

強烈な水平チョップがメヒコマシェットⅡの胸を打つ!

『デヤーッ!』
『プッタァ......!』

拳から発したエネルギー弾がメヒコマシェットⅡに直撃し、狼狽させた。

『立て、スーパーヒューマンサムライサイバースクワッドの諸君』

サイバー戦士は意外と幼い声でグリッドマンに向かって言った。

(続く)

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