ウラシマ・テランの旅立ち 5
ZAAAAAAAP!!!
プラズマボールが浜辺に着弾した。白い光が炸裂し、砂と礫が間欠泉の如く噴き上がった。爆煙と粉塵は漁師たちを飲み込んだ。
「ちょっ、殺したのか!?」
「まさか、威嚇射撃だ!鼓膜破裂か脳震盪にならない保証はないけどね!」
サイボガニックバトルシップであるロンサム・ジョージの圧倒的能力を見せれば、未開化の地球人は悪魔を見たかのように慄き、失禁して逃げ惑うであろうと、アリスターは想定していた。
「ウラシマァァァーーッ!!!」
しかし想定外のことに、怒号と共に煙を突き破って、我が子を亡くした漁師は怒りと悲しみを込めた銛を投擲した!漁師の凄まじい臂力から放たれた手銛はほぼ直線でウラシマに襲う!
彼は真相を知らない、その必要もない。息子がそこに倒れて、動いていない。息子がひどい目にあったことは見て分かった。その原因がたぶんウラシマとそばにあるワニガメと関係している。息子のため、そして息子を助けてやれなかったこの無念を今この場で晴らさないといけない。行動せずにはいられない。立ち停まったらあまり巨大な憤怒で頭がおかしくなりそうだ。だれでも、だからウラシマは死んでもらうことにした。
「ウラシマ!あぶねぇ!」
アリスターが叫ぶ。ウラシマ淡々と横へ半歩動いた。0.4秒後、手銛は直前にウラシマの頭部があった場所を通りすぎた。ウラシマはそのままの体制で水中銃のトリガーを引いた。
パチュンッ!ウラシマは水中銃で撃ち返した。輪ゴム三本の圧力から解放されて、投擲を遥かに凌駕するスピードで空気を裂いて、漁師の右目を貫いた。
「ウッ」
ハープーンそのまま脳に侵入し、頭蓋骨を貫通した。ヘッドショットが完璧に決まった。しかし漁師は倒れなかった。
「うっ、がぁっっ」
これ以上に脳の損傷を広げないために目に刺さっているハープーンを強く掴んで、固定し、左を引きずって歩き出す。脳の損傷によって身体が運動機能が著しく低下しているが、彼は止まることがなかった。
「ザッチ……」
目を開けたまま、苦しみに歪んだ表情のまま冷たくなった我が子のもとに辿って、名前を呼ぶと、漁師は糸が切れた人形のように倒れて、我が子覆いかぶさった。
「なんと……!子どもを想う気持ちが、彼に常識外の力を与えたわけだね!生まれては孤独の爬虫類と違って、哺乳類でしか見られない尊さ……」
「いや、そもそもすべての発端はオマエなんだから」
ウラシマはそう言い、おやじの遺品である水中銃を捨てた。
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