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【nier:automataプレイ日記③】

これまであらすじ:パスカルと和解し、頻繁にロボットの村に足を運ぶようになった2Bと9S。親善の一環として、村人らから依頼を受けた。逆噴射サルトルへのファンメールを受け取りに遊園地に来た二人は入り口で呼び止めまれ、スタンプカードを渡されたのだった。

「あの……スミマセン、お二人さんはもしかして、ニンジャヘッズ、ですか?」「はい?」聞き慣れない単語で困惑した9Sは少し間をおいてから答えた。「いや、知らないね」「そうですか……目隠ししてるからてっきり仲間かと……シツレイシマシタ!」「あっ、いえ……」短足のドーモトルーパーがホッピングして自分のグループに帰った。よく見ると彼らは皆布で頭部を覆い隠し、四芒星の金属片で機体に飾っている。どうも奇妙な集団であった。

ここは遊園地の中心にある円形劇場。かつてオペラドーモと死闘繰り広げた地だが、いかれロボットの脅威が去り、今は遊園地を運営するピエロドーモたちによって修繕されて、喜びを分かち合うための演劇場になった。

今日の演目を最後まで見ないとスタンプ貰えないを告げられた二人(その時9Sは2Bがまた抜刀しないかとハラハラしてた)は今、ボットが生成した簡易イスに座り、観客たちと一緒に待っている格好だ。

「2B、あいつらっ」「もう始まるよ、話はあとにして」2Bは人差し指を口の前に添えて9S発言を阻止した。投影スクリーンがゆっくり降下し、文字が浮かび上がった。

◆カラテの高まりを感じる……!◆

「「「「タカマリダー!#njslyr」」」」覆面トルーパー集団が控えめな音量で叫んだ。観客の中でも特にテンションが高い彼らはは9Sの好奇心を惹きつけた。

『本日ハご来場イタダキ、アリガトウゴザイマス!開演スル前に皆サンにオシラセシマス。演出中に、会話や飲食ハ基本禁止シマセンガ、なるべく奥ユカシク、他人に影響シナイヨウ、オネガイシマス。喜びヲ、分チアオウ!』

「「「「アオウ!」」」」

アナウンスが終わり今度はスクリーンに新しい文字列が映った。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「「「スリケンダー!#njslyr」」」「「オオオンスリケン!#njslyr」」また覆面トルーパーたちが騒ぎ出した。

(スリケンって?ハッシュタグNJSLYR?なんらかの暗号か?連中は敵意がないようだが、用心に越したことない)9Sがセンサー感度を上げて、注意深く覆面トルーパー集団の様子を伺うことにした。

「ロミオ・アンド・ジュリエット・アンド・ニンジャ」

「ワッザ!?#njslyr」「ワッザ!?#njslyr」「ロミオとジュリエット、そして、ニンジャ!」「回路ガ、ヤケタニオイガスルゼ!#njslyr」「モウダメダー!#njslyr」

興奮しながらも控えめの音量で会話を交わしている。9Sはその奇妙な言い回しと#njslyr の謎を解けるべくそっちに集中して観劇する所ではない。オペレーターに連絡してデータベースの検索を依頼したいが、サボっていることがバレる危険があるためできない自分でなんとかするしかない。スキャナーモデルの意地を見せやるんだ!

『ここはロボサイタマ、ピュアウォーター雨が降りしきる中、二人のロボットが超高層ビルの屋上に佇んでいる』

バッ!スポットライトが舞台上に居る二体のドーモトルーパーをを照らし出す。一体は普通の灰色で、もう一体は青色に塗装されている

「ドーモ、ロミオ=サン。ジュリエットです」

「ドーモ、ジュリエット=サン。ロミオです。マタアッタナ」

「親分の命令デ、アナタをコロサナイトイケナイ。嗚呼ーッ!ロミオ、ズットオモッテイタ、モシワタシハニンジャではナカッタラ、ヤクザではナカッタラ、どれ程イイモノカ……」

「嗚呼ーッ!どうか嘆かないでオクレ、ジュリエット。アナタと出会わナカッタラ、今デモ無意味に暴力を振るう邪悪ナニンジャノママデアロウ!」

『そう、ニンジャである。ロミオはディーモンターグ・ファミリーのヤクザバウンザーであり、ジュリエットはカバレット・クランのアサシンだ。二人ともニンジャソウル憑依者であり、カラテを振るってモータルとニンジャを殺し、組織に貢献してきた。悲劇の主人公の名を受け継いだ二人は何度もイクサを交わしていく中で、互いを知り、惹かれ合い、やがて恋情が芽生えた。だがディーモンターグ・ファミリーとデスカバレット・クランの争いが激化し、両者の立ち位置も危うくなった』

「ロミオがニンジャでアレバ、ジュリエットもニンジャでアル。ナンノ不思議モナイ#njslyr」「スベテハ、ニンジャナノダ……#njslyr」

ネットワークから切り離したニンジャヘッズたちは今やこうして伝統的なやり方で実況メントを続けている。#njslyrを付け加えるのはIRCネットワーク時代の名残だ。当然そのことは9Sが分かるはずもない。

「ジュリエット!ボクにはモハヤ、ソンケイなどドウデモイイ!キミと一緒に、オキナワへ高飛ビシタイ!」

「ソンナことしたら、タダデ済むトデモ?ホカノニンジャに狩りコロサレルのがオチよ!」

「考えタンダ、キミと一緒にイラレル方法ヲ……コレヲ使って!」

『ロミオが手を挙げると、新たなドーモトルーパーが回転ジャンプを決めて、屋上に着地した。ロミオとジュリエットにそっくりなのだ』

「ロミオ、コレハッ!?」

「ボクタチのクローンさ。外見、カラテ、ニンジャソウルまで完璧にコピーシテイル!」

「マサカ、彼らがワタシたちの身替ワリニナルッテコトカ!」

「ソウダ、コイツを破壊スレバ、ワレワレがオキナワヘ……」

『なんたることか!ロボサイタマにおいて使い古した体を捨てて、クローン機体に記憶移すのはチャメシ・インシデントであるが、同じ自我を持つロボットが複数存在することは禁止事項だ。発見されたら本体ごと消去される。だが二人はニンジャだ、罪を重ねることなど恐れていない』

「ミカワリ・ジツ!トレディションナル!#njslyr」「でも爆発四散シタラ証拠残せないノデハ?#njslyr」「モシカシテ#そこまで考えていない ロミオドジっ子ダー!#njslyr」

「「サッケンナコラー!」」「「ピガーッ!」」

『クローンロミオジュリエットの目が急に赤く光り出すと、ロミオとジュリエットにカラテパンチで殴った!』

「……カッテなことシヤガッテ。ダダデやられるとオモッタラ大違イダゾ」「ワタシたちハオマエラト同じ自我ヲモッテいる。ドチラガ生きノコレルカ、カラテで勝負ダ!」

「「ソノ通りダ」」「「「「ナニッ!?」」」」

舞台に上がる新たなロミオとジュリエット!

「オマエらの思惑など、オヤブンが全テ見通シだ。ヤクザの忠義ヲ忘れタ裏切モノめ、オトシマエ付ケサセテモラウ!ドーモ、ロミオです」

「アラ、コッチのセリフよ。ディーモンターグの犬が、偽物ごとオマエをカタツケテヤル。ドーモ、ジュリエットです」

『屋上は今、三体のジュリエットと、三体のロミオが並んだ。まるで二対の三つ子のようだ!』

「ナニガ、ドウナッテイル?」「要スルに、生キノコッタのが、本物か。ならヤルコトは一つ……」「……」

『六体のドーモトルーパーは目を赤く光らせ、剣呑な視線でほかの五名を見回した』

「「「「「「イヤーッ!」」」」」」

『ほぼ同時に、全員が地を蹴った!』

「イヤーッ!」「ビガガーッ!サヨナラ!」ジュリエットのトビゲリがロミオの頭部を刎ねた!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「ピガガガガーッ!」ロミオの回転グルグルパンチを受けたジュリエットの装甲が割れ、オイルが噴き出す!「イヤー!」「ピガーッ!」ロミオのボン・パンチがもう一体のロミオを貫く!

『容赦ないカラテ乱闘!四体、三体、たちまちロミオとジュリエットが各一体だけになった。両足が切断されて仰向けに倒れるロミオは、立っているジュリエットを見上げる』

「クソ、このオレが、裏切モノ如キに……」「キサマ、ワタシのロミオではないな。イヤーッ!」「サヨナラ!」

『ジュリエットはロミオの頭部を踏みつぶしてカイシャクした。振り返ると、散乱したパーツ、捥がれた手足の残骸、爆発四散痕だけが残った。ジュリエットはその狼藉をしばらく眺めていた』

「サツバツ!#njslyr」「ラスト・ガール・スタンディング #もはやガールではない #njslyr

「ロミオ=サン、アナタもその程度ってことよ」ジュリエットの目は既に恋する女のそれではなく、冷徹なアサシンそのものだ。「セメテ、最後にハ役にタッテモラウ」

ジュリエットは爆発四散から免れたロミオの頭部パーツを拾った。これをオヤブンに届けば、何とかなるだろう。だがその時。

「三文芝居はもうお終わりか?なら次はオヌシの番だ。ジュリエット=サン」

「ナニモノダ!?」

『おお!見よう!ウォータータンクの上に立つる赤黒の影!その機体に書かれる「忍」「殺」の二文字!漲るカラテで、雨が蒸発し、地獄の加湿器めいて蒸気が噴き上がる!」

「ドーモ、ジュリエット=サン。ニンジャスレイヤーです。貴様を殺す。今の内ジゴクのロミオとジュリエット=サンへの謝罪の言葉を考えておくがいい」

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、ジュリエットです。ワザワザ最後のヒトリにナルマデ待ってイタカ?ナラバアンタも、屍ノニオイに釣ラレタ野良犬と同じヨ!イヤーッ!」

『ジュリエットは手をしならせてスリケンを投擲!』

「スリケンだと!?あれがスリケンだというのか!?」9Sがジュリエットが投げた金属の星をセンサーで捉えた。ニンジャヘッズが身に着けている飾りと同じ形だ。

『ニンジャスレイヤーがスリケンを回避し、貯水槽の側面蹴り、身を丸めてジュリエットにめかけて直線に飛ぶ!これは強靭な機械の体しかできないテクノ・カラテ技、キャノンボールである!』

「ビガーーッ!サヨナラ!」大質量弾を受けたジュリエットが爆発四散した。ニンジャスレイヤー勢いのまま少し転がって、手足の伸ばして立ち上がり、最後にギロっと赤く光る目で観客を見返した。幕が閉じる。

「ロミオ・アンド・ジュリエット・アンド・ニンジャ」終わり

「ワオワオー!」「カンドーした!」「コレが演劇……文明な……」

歓声をあげる観客達、誰一人も役者の安否など気にしていない。そして覆面の一団が神妙な表情で舞台に向けてオジギした

「「「「オツカレサマドスエ! #njslyr 」」」」

「なかなか良かったね。スタンプ貰いに行こう……9S?」

「2B! 大体わかってきましたよ! ニンジャとは、スリケンとは……あと#njslyr の謎を解けば、機械達の企みが解明できるはず!」9Sの口調に熱が帯びている。

「そうか、頑張って」

2Bは椅子から起き上がり、スタンプ係りのピエロドーモに向かった。

(私が教えてあげもいいが、あの様子じゃ、自分で調べさせる方がいいか)

2Bはなんか知っているようだ。

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