You're in the jungle baby
206X年、石油が枯渇した。僅かな資源にしがみつき辛うじて生き延びた人類だが、分配制度の不正で誰もが余裕がなくなり、他人に配慮しなくなった。その中、弱肉強食論を諭し無意味に自分の力を誇示することから喜びを見出す者が現れた。
今廊下に仁王立ちしている野郎がそうだ。
彼は襲ってくる事なく、ただ弁慶みたいに道を塞ぎ、人を通させぬようにしているだけ。デカイ上に軍用のカーボン繊維アーマー着ている。そのため俺のテイザー銃が意味を成さない。強制突破を試みても押し戻されるだけだった。
「くそっ」普段なら別の道に回ればいいが、四時の会議に間に合うにはどうしてもここを通る必要がある。もはや俺に残る手段は一つしかない。
「スミマセン、通させてクダサイ」
そう言うと、野郎のヘルメットの下がニヤァと憎たらしい笑顔が浮かび、横に一歩下がった。
「ドーゾ」「アリガトウゴザイマス」
相手に礼儀を示す。この時代における最大級の侮辱だ。
(続く)
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