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【剣闘小説】認証大会

これまでのあらすじ:フレンズシステムが導入され、Sword&amorが一新になった環境。新しいAmorがなかなか集められず、今日も闘技場で「古くさい装備だな!ダッセーッ!」と笑われたドゥームはブチキレし、サソリ座の力が込めたブルーデーモン一式を使い、対戦相手を嬲り殺した。

「今日は随分と荒れているな」「ムカつくんだよ。相手も観客も」

 身に着いた血液を濡れた毛布で拭きとるドゥームに、ストラウベリーは試合報酬の硬貨を何枚に自分の財布に入れ、残りはドゥームに差し出した。

「今日の分だ、お疲れさん」「どうも」

 粗暴にコインを受け取り、ドゥームは亜紗色の貫頭衣を着た。表向きではドゥームはストラウベリー所有の奴隷剣闘士で、出場する時以外身分に見合った格好をしなけれならない。

「帰る前に、工房合作売店に寄っていいか」「もちろん」

 工房合作売店とは、剣闘士のためのSword&amorを提供する売店のことであるがその販売方法は極めて特殊である。

「一回で頼む」「あいよ」

 ドゥームからコインを受け取った店番少年は店内中央に置いてある伝説的チャンピオン、グラディウスを持つムーンシャインの彫像の口にコインを入れると、彫像はゆっくりと回転し始めた。その周りに置いてある12個の箱にそれぞれ異なる工房から製造されたAmorが入っている。ムーンシャインの彫像が止まった時、グラディウスが指した方向の箱だけが貰える仕組みになっている。そう、工房合作売店での買い物は、ギャンブル(ガチャ)に等しい。

 ムーンシャイン像が止まり、その剣先は11時の方向に指している。店番少年はその箱を拾い、カウンターに置いた。

「ご確認どーぞ」

 ドゥームは厳めしい表情で唾を飲み、箱を手に取った。

「頼むぜ、いいの出てくれよ……」

 恐れ恐れに蓋を開ける、果たして中身は……

「ファァック!」

 中にはいているのは、バターフライ・マイカ監修のダンシングミラージュ工製すね当てであった。すでに三回も被っている!怒りのあまりにドゥームはチョップを振り下ろし箱を中身ごと破壊!店番少年は吃驚してカウンター裏に隠れた。

「はっはっは!運が無いな、ドゥーム」ストラウベリーは右手でドゥームの左肩を触れ、力を込めた。「しかし早まったぞ。被った装備でも、売買なり交換なり、使い道が残っている。私の言うことを忘れたか?」

「すまねぇ……いや、すんません、マスター」ドゥームは深呼吸し、自分を落ち着かせた。ふと売店の横に貼ってある羊皮紙が目に入った。

「にんてい、だいか……字が読めねえや。おい、ストラ……マスター、何が書いてるんすか?」

「ああ、あれか?認定大会の掲示だよ。定期的に開催されるものだ。どれどれ……『裂かれたお前を見た母親は涙目する』団が一人、カレン主催。生き残ればダイアモンドチャンピオンズのマイオ監修のAmor一式進呈するってさ。要は装備に悩んでいる剣闘士への救済イベントだな、生き残れたの話だが。裸でも戦えるおまえにとって無言な話だ……」

「いや、あたし、それ受けようと思って」

「……本当か」

「ああ、もう古くせえなん、言われたくねえ。それにダイアモンドチャンピオンズに個人的事情がある」

(この前「調和(ハーモニー)の家」を視察に行った時のことか)ストラウベリーはあの時の光景を鮮明に覚えている。自分を圧倒していたドゥームが二対一とは言え、成すすべなくタコ殴りされたことを。新世代剣闘士の恐ろしさを。

「あたし決めたぜ。とことん強い装備を手にして、新生代と吹かしている連中に泡を吹かせてやる、そして」ドゥームはストラウベリーをまっすぐに見詰めた。「それで稼いだ金でオーキッドの市民権を買えば、あんたもあたしをこの国から出させることを手伝ってくれる。そういう約束だったな?」

「大口を叩きやがって」ストラウベリーはドゥームの肩をポンと叩いた。「行動で証明してみろ」そして闘技場の出口に向けって歩き出した。

「ああん?できねえと思ってんのかおい?」

 追いかけるドゥーム。

(少々剣闘士としての自覚を持ったようだな)ストラウベリーはしめやかに微笑んだ。

同時刻、現実では

「それで、認定大会が行われる際は、かなり並んでいましたか?」

「しらね」トロールめいた女性店員が答えた。「見ての通り。今日ここでアイカツフレンズやったのはお前しかいね。過疎だ。だからしらね」

「そうですか」

 この店員、こっちができるだけ紳士的に振舞っいるに対してサービス業のくせに喋る方が荒っぽくて態度も悪い。まあトロールだしね仕方ねえやといつも自分に聞かせている。そうでないと私のガラスのような心がもたない。

「もう用がねえなら出て行け、店じまいだ」

 こいつッ!

「ハイ分かりましたよ、土曜日の二時にまた来ます」

 そういって私は店を出て、ジムに向かってさっき受けた鬱憤を発散した。何よあのトロール、いつか銀の剣を持って退治してやると思いながら。

 カレンの認定大会は5/4開催だ、果たしてアクズメは無事にエントリーでき、湊みおのカード一式をGETできるか?それはまた未知数……混沌のなか!

 もし認定大会に参加できれば、また面白い剣闘小説ができるに間違いなしだ!みんな、私は最大限に努力するから、応援してくれ!

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