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灰汁詰めのナヴォー

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小説っぽいなにかがあります
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#ppslgr

ワークハード、ライトハード、リヴハード2 #ppslgr

ワークハード、ライトハード、リヴハード2 #ppslgr

「おはようレイヴン。昨晩はよく眠れた?」
「いやまったく。寝てもすぐ起きてしまう、浅かった。そっちは?」
「俺は泥のように眠れて快適に朝を迎えたぜ」
「そいつは羨ましいぜ」

 朝7時。俺とレイヴンは約束通りジムで落ち合った。体育タイムズフィットネス、通称タイタン、俺の行きつけのジムだ。ビルの地下一階にある。信頼ある大手メーカーLIFE FITNESSの器具を大量導入している。エレベーターがないた

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眞の拳 4 END #ppslgr

眞の拳 4 END #ppslgr

「チーターめ……赦さんッ!」ベルナルドの体から邪悪な闘気が立ち昇り、目がLEDフラッシュライトめいて発光し、極めてオフェンシブな前傾姿勢を取った。「もはやボクシングは無用!全霊を込めて、ここで貴様を仕留めるッ!」
「ベルナルドさん……」

 尊敬する者の堕落を目にして、心の中一抹の切なさがよぎつつも、自分の勝利が盤石だと確信した。舐めていた相手に逆襲され、追い詰められた挙句に体がでかくなって、さら

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眞の拳 3 #ppslgr

眞の拳 3 #ppslgr

 少し前、とある夜、とある居酒屋で、ホイズゥとジュクゴマスターは飲んでいた。
「マスタぁ〜、俺にもジュクゴ力くださいよぉ〜」
「だめですよ〜、ジュクゴ力は厳しい修行の末に手に入れるものですから……」
「そこはマスターの力でなんとかしてくださいよ〜」
「うーんもっと飲み物奢って頂ければ、考えなくもないかなぁー」
「よっしゃ任せろぃ!あのぉすんませぇん!」
「はい、ナニニシマスカ」
「テキーラ……ドン

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彼がそこに居る理由(わけ) #PPSLGR

彼がそこに居る理由(わけ) #PPSLGR

注意:CODVID-19ネタが含めれています

「ホイズゥさ、確かにみなみの国に住んでるよね」
「あぁ?」

 アクリル板の向こう、ガンマニアのスカルがホイズゥなんか言ったが、周囲の喧囂と、アルコールで脳が鈍くなったせいで理解するまでに答えるまでに8秒要した。

「うん、そうだぜ」
「しかし未だに日本は国境を解禁していない」
「ああ、そうだな」
「じゃあホイズゥは何で居るんだ?」
「……」

 ホ

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辛い麺メント:重慶酸辣粉② #ppslgr

辛い麺メント:重慶酸辣粉② #ppslgr

前回

よぉ、オレはマラーラー。もふもふがチャーミングポイントのフォックスヒューマンさ。本文を始める前に、外の連中が食べようとしている麺の構造を説明するぞ。

順次に見ていこう。
①香菜、またはパクチー、コリアンダーとも言う。人によって好き嫌いが別れるハーブ。オレも好きではない。
②ピーナツ。辛い料理によく入れる。香ばしい上にサクサクの食感がいいアクセントをもたらしてくれる。
③豚肉。しゃぶしゃぶ

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辛い麺メント:重慶酸辣粉① #ppslgr

辛い麺メント:重慶酸辣粉① #ppslgr

「モモノ、重慶って場所知っているか?」
「重慶、それは中華人民共和国の国家直轄市であり、国家中心都市、巨大都市、国務院に認められた中国の重要な中心都市の一つ、長江の上流地域経済の中心、現代の製造業国家の重要な基地、西南圏総合交通拠点である。 By Wikipedia。そして辛い麺文化が盛んでいる場所でもあると」
「その通り。辛い麺といえば四川成都の汁なし担々麵が代表みたいな感じだけど、四川省と隣接

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辛い麺メント IN TOKYO [あとがき]

辛い麺メント IN TOKYO [あとがき]

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ エピローグ 番外 

新橋で麺と食べたのは去年の11月、書き終わったのは5月。まるっと半年もかかってしまった。僕を見限らず読んでくれた方々に感謝。

当初はもっとパルプスリンガー小説らしく、大規模の戦闘シーンを書くつもりだった。A・Kとイマジナリーフレンドの奮闘でマラーマーを追い詰めたものの、そこで、妖狐は最後の術を使った! そこに現れたこのは、ナムサン! 真紅

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辛い麺メント IN TOKYO [EPILOGUE] #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO [EPILOGUE] #ppslgr

「なぁ飲みもの来るの遅すぎない?」俺は空になったジョッキを見て言った。「注文してからもう……どれぐらい立った?五分?」
「人手が足りないのよ。日本全体の人手が不足すぎる」とR・Vが呟いた。なんか感傷的な気分に陥っている?もしかしてもう酔ってる?

 あのあと、我々はケジメと称してM・Jを斥侯として遣り、何軒もの居酒屋に聞いた後、やっと五人が入れる店を見つけた。フライデーナイトだけあって店内は混んで

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辛い麺メントIN TOKYO⑨ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑨ #ppslgr

「S・Gのジュクゴ力でなんとかならね?」H・Mは空中に字を書くみたいに指をなぞるながら言った。「『悪霊退散!』とか」
 H・Mの発言に対し、S・Gは頭を左右に振った。
「ジュクゴ力は安易に使うものではありません。確かに悪霊退散のジュクゴはM・Jをもとの姿に戻せるかもしれないが、欲望、闘争心、中二病などジュクゴに悪と見なされた部分が妖狐の人格と共に消え去って、彼の性格を歪める可能背も否めません」

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辛い麺メント IN TOKYO⑧ #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO⑧ #ppslgr

『やっと出てきたかA・K。次はどうする?あの女魔法使いでも呼び出してみるか?』
「いや。レディの手を煩わせるまでもない。新橋を火の海にしたくないしな。この俺が決着をつけてやるぜマラーラー!」
『ほう、イマジナリーフレンドに頼るばかりで自身の戦力がほぼゼロのお前が、このアイキル・ドーの達人に挑むというのか?面白い!』

「Dude、無茶を……」俯きに倒れているダーヴィが心配そうに見てきた。ブルタルモ

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辛い麺メントIN TOKYO⑦ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑦ #ppslgr

「フプッ、あ、ありがとうございます……」

 ミルクを飲んでだいぶ咳が治まった名札に店長と書いてあった男に俺は腕を貸して立たせた。

「ここは危ないです。早くバックドアから出たほうがいい」
「ンッフ、そうします……貴方は?」
「俺は大丈夫です。急いで」

 店長を俺は破られたショーガラスマラーラーとブルタルダーヴィの戦いが勢いを増し、まるで赤と黒、二つの竜巻が絡み合っているようだ。「俺は……」

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VALUABLE THAN GOLD #ppslgr

VALUABLE THAN GOLD #ppslgr

 緊急事態の正式発令により、普段はアウトロー気質で反体制の言動をしがちなパルプスリンガー達だが、こういう時は意外と道徳意識が高く、皆が家にこもるようになり、普段賑わっているバー・メキシコから人っ子一人もいなかった。

 いや、正確にいうと一人がいた。店中央のテーブル席に腰を掛けている。

 色褪せってねずみ色になったペストの中で黄ばんだ襟なしシャツ、下は同じくねずみ色になった黒いワークパンツ。疵だ

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辛い麺メントIN TOKYO⑥ #ppslgr

辛い麺メントIN TOKYO⑥ #ppslgr

 左肩の真紅護法獣、カイイェン。右肩の橙色護法獣、ハバネロ。二体の機械仕掛け狐はまるで本物の動物みたいに軽やかで、優雅な動きで着地した。

(これは!?)

 王子は驚愕に目を見開いた。やらかした。奥の手を隠していたとは。

「アォォォーン!」「ギャウルルルッ!」

 カイイェンは口から真紅の辣油ヤリが飛び出た!ハバネロは前足のスイスアーミーナイフ機構が展開して中からTABOSCOダガーが現れた!

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辛い麺メント IN TOKYO④ #ppslgr

辛い麺メント IN TOKYO④ #ppslgr

 新橋駅、駅構内の蕎麦屋。

『ヌルい麺ばかり食べやがって』

 マラーラーは客席置いてある七味唐辛子の瓶を両手に取り、親指でギャップを弾き飛ばした。

『もっと辛くしろ、お前なら食える』「えっ、ちょっ」『辛い麺を食え』「何するんですか!?」

 無造作に客たちの麺碗にまる一本ぶっかけ!茶色のだしが赤に染まっていく。空になった瓶を放り捨て、次の唐辛子瓶に伸ばす手が突如横から差してきた長箸に止められ

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