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4ヶ月で22名→42名。拡大期のスタートアップで着手した人事制度・施策アレコレ

「スタートアップに人事制度はどこまで必要なんだろう?」これ、みんな悩んでいるんじゃないでしょうか。私もその一人です。

評価や目標設定など、会社なんだからちゃんと制度設計しないといけないのかなぁ、とは思いつつ、なんとなく「奥が深そう」で手を出しづらいし、そもそもそんなものなくても今はメンバーのモチベーションも高いし必要ないのでは、など、私も悩んでいました。

とはいえ、ペイミーは積極採用の結果、メンバー数が一気に拡大するのは目に見えている状態。今からやっておくべきことはないか、と考え、悩み、走らせ始めた制度や施策がいくつかあるので紹介します。(ちなみにまだ第一回目の運用中なので、結果どうだったかまでは書けません。制度は作ることよりも運用することの方が100倍大事だと思うので、それはこれからのチャレンジです。)

※タイトルの22名→42名は、2019年9月→2019年2月の、アルバイト含む従業員数の変化です。4ヶ月で約2倍になりました👏

↓ちなみに積極採用の様子はこちらに書きました。

「やりきれるワケないからやらないほうがいい」。
先輩スタートアップの取締役からの最初のアドバイス

副業でペイミーに関わり出した2019年1月。右も左もわからない私がまず話を聞きに行ったのは、スタートアップで取締役を勤めている大学時代の友人でした。彼はメンバー数名から100名近くになるまでの急拡大期を経験しています。そんな彼に言われたことは今でも鮮明に覚えています。

「みんなに公平な制度なんて、よっぽど会社が成熟してないと無理。やりきれないルールだけ作っても不満しか出ないし、だったらいっそやらない方がいい」

え、じゃあどうしたらいいの?と戸惑いましたが、よくよく話を聞くと、彼の会社はルールをガチガチに整備することよりも、メンバー一人ひとりの納得感を重視し、360度フィードバックや1on1、活躍に見合った最適アサインなど、実運用をめちゃくちゃ誠実にやっていました。

制度やルールを整えることを目的にしてはいけない。メンバーが自分の役割に腹落ちし、生き生きと働き、パフォーマンスが最大化されることがゴールなんだ。迷った時は、常にこの考えに立ち戻るようにしています。

「まずはサイクルを回す!」の精神で、人事評価制度を導入

それまでのペイミーに評価制度はありませんでした。少人数のチームゆえ、一人ひとりの頑張りや成果が直接代表の目に届く範囲だったため、制度化する必要がなかったわけです。

でも、これからは拡大するにあたってそうもいかなくなります。

メンバーの頑張りや成果が報われる仕組みがないのに、メンバーにあれやこれや期待するのは無責任。日々感謝を伝えたり成長をサポートするのはもちろんですが、給与面でも仕組みは作りたいとずっと考えておりました。

※これは超余談ですが、ペイミーは、Slackのスタンプとかでカジュアルに感謝の気持ちを表すカルチャーは初期からずっとあって、それはとても素晴らしいなと思っています。

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でも、評価制度を導入するとなると考えることは山積みです。「誰が評価するのか」「何をもって評価するのか」「評価の妥当性は」「評価の物差しや給与レンジは」などなど...。最初は私も構えてしまって、全て一気に、隙なく設計して運用開始せねばならぬと考えてしまっていました。が、社内外色々な人に話を聞くなかでその考えは変わります。

・一分の隙もない制度設計なんてどだい無理である
・状況がドラスティックに変わりうるスタートアップに大事なのは柔軟性
・まずは小さく始め、運用しながら厚みを増していくことが大事

たとえ私が妄想を駆使して隙なく設計したつもりでも、想定外のケースは絶対に出てきます。その時に人事が「全部考えてやっているぞ!」というスタンスをとれば、「人事は全然わかってない」「評価なんか信じられない」と、現場からは不満が爆発します。

最初にやりたかったことは「メンバーの頑張りや成果が報われる仕組み」を作ること。当初の目的に立ち返り、下記の2つをまずはゴールとしました。

・目標設定→評価のサイクルを回すこと
・何を評価すべきかの思想を統一すること

メンバーに周知する際も、この2点にフォーカスするよ!全部はやりきれないよ!だって難しいんだもん!というスタンスを率直に話しました。

↓私が使った実際の資料。

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↓ペイミーでは、会社に対して負う責任や影響範囲の大きさを評価の軸とする、シンプルなミッショングレード制を導入しました。(図が雑ですみません...)

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その上で、横断的に求めるスキルの言語化や、部署ごとの影響範囲の言語化どを各部長と進めました。これもガチガチに固めるのではなく、あくまで目線合わせのために行いました。

目標設定のためのOKR導入

評価制度とセットで必要なのは目標設定です。会社への貢献を可視化するためにも、なんのために頑張るのか、なにを成果と置くのか、を決める必要があるためです。逆に、「なんとなく頑張ってくれているから」で評価してしまうことを避けるためでもあります。

ペイミーでは、OKRというフレームワークを導入することにしました。この記事ではOKRがなんなのか、の説明は省きますが、社内では下記のスライドで説明しました。(目標はストレッチに立てること、を追加説明しています)。

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なぜOKRなのか(全社視点)

スタートアップでは、戦略や戦術、優先度が目まぐるしく変わります。仕方がないにせよ、それって理想的な状態なのか、私はずっと疑問でした。山登りでも、いちいちルート変更していたら頂上にたどり着くのは遅くなりますし、下手したら道に迷ってどうにもいかなくなるかもしれません。戦略がすぐに変わるのは、それが戦略じゃなかった(考え抜かれたベストな道筋ではなかった)ことに他なりません。

もちろん、ベストな戦略を考えるためのファクトも肌感もないのに、机に向かってウンウン唸ってずっと戦略を考えているのは一番避けるべきです。ただ、「当時のベストがなぜ変わったのか」を経営陣含めて振り返り、戦略の精度を上げるためにも、全社のOKRから個人のOKRまで一度一本の線で考える必要があると思いました。OKRの設定サイクルは3ヶ月、比較的短期スパンでPDCAを回せるのも今のペイミーに合っていると考えました。

なぜOKRなのか(メンバー視点)

各チームやメンバーにとってなぜOKRなのか、は下記のスライドを使い、「せっかくみんな頑張ってるんだから成果にまっすぐ結びつけたい!」「みんなでチャレンジしてみんなで助け合いたい!」というメッセージを伝えました。

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エンゲージメントを測る従業員サーベイの導入

私が副業でペイミーに関わり始めて最初にとても感心したのが、「メンバーの代表への信頼の寄せ方がすごい!」「会社のビジョンへの共感がすごい!」です。この二点が盤石だったので、皆、誇りとやりがいを持って密度濃く働いていました。私が副業から社員になったのも、この密度の濃さに惹かれたからです。

この密度の濃さを、メンバーが増えても維持したい、なんならもっと加速させたい!そう思って導入したのが、従業員サーベイでした。(安価に始められ使いやすそうだったのでwevoxさんを使っています。)

従業員サーベイとは
・社員のエンゲージメントをアンケート調査によって算出し、可視化するもの
・「エンゲージメントが高い状態」とは、メンバーが組織のミッションを自分ごと化し、主体的に業務に取り組めている状態のこと

ペイミーでは月に一度アンケート調査をし、全社の結果を全体定例で、各チームの結果をチームごとの定例で振り返り、課題感のある項目については1ヶ月でできる改善アクションをとるよう推奨しています。

↓直近の結果。ビジョンへの共感が高いのがペイミーの特徴です。

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今は比較的どの項目も高いのですが、組織が健康な状態から数値化して観察することで、問題の火種が生まれた時(数値が下がったとき)でも、状況の変化を素早くキャッチし、対策を取れるようにすることが目的です。

新メンバーの入社後フローの整備

整備というにはおこがましいぐらい些細なフローではあるのですが、それまで事務的なこと以外は各現場任せだった入社者対応を、人事側でも施策として整理しました。

入社日
・各部署についてそれぞれのリーダーから説明
・社長を囲んでのランチ会
・セキュリティガイダンス
・(これは創業期からのカルチャー)Slackでの自己紹介
入社後3ヶ月
・毎月の人事(阿久澤)との30分の1on1
それ以外
・組織の状況を部のリーダーと話す、隔週の「組織開発定例」の実施

まだまだ未整備なところも多いですが、クイックにできるところからまずやってみるスタイル!

(先週から始めたばかり)毎週の社員LT会

LT:Lightning Talks(ライトニングトーク)。要はクイックなプレゼン

現場から「やってみたい!」と声が上がり、先週から始めてみました。
メンバーが増えることで、施策も増加・細分化され、それぞれの部署の動きが見えにくくなっていくのは必至です。各部署の施策や知見を共有することでスムーズな連携や横展開ができるように、という目的で始めました。

それ以外にも、メンバー一人ひとりが全社に発信する機会を設けることで、会社全体の一体感や、メンバー相互の親近感も生まれるといいなぁと思っています。

なので、話したい人が手を挙げ、手を挙げたら原則やってもらう、という、メンバーの主体性に任せた運営にしました。(スプレッドシートで希望を募るかたちにしています)

↓メンバーに発信した際のルール

▼LT会の方針
・全員がプレゼンすることが最優先!
・コンテンツのクオリティよりも、発信すること自体が大事!
・何を伝えていいかわからない人は、「自分がどんな人なのか」を伝えるでもよし!

先週木曜日にやるよ!って伝えて、もう向こう4回分の発表者が決まっています。こんなにネタの宝庫だったらもっと早くやっていてもよかった...!😭

最後に。運用を見据えて意識していたこと

最初にも書きましたが、「制度は作ることよりも運用することの方が100倍大事」であると思っています。なのでまだとっかかりを作ったに過ぎませんが、運用フェーズを見据えて設計段階で私が意識していたことをお伝えします。

・リスクがないならまずはコストをかけずにスモールにやってみる
・「こうします!」とメンバーに押し付けるのではなく、「まずはやってみる。みんなで良いものにできるよう一緒に考えてほしい!」と率直に伝える
・同時に、なぜこうしようと思ったのか、の思考の過程もできるだけ伝える
・とはいえ運用後のリスクを減らすために、自分とは思考の癖が異なる人に設計段階で意見をもらう(私の場合は管理部長の関さんというナイスガイ)

試行錯誤の末のミニマムスタートですが、一つの事例として少しでも参考になる部分があれば幸いです。

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