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明朝体

明朝体ポエム。
今から10年ほど前、私がちょうど小学校高学年から中学生だった頃に流行った画像である。

ちょうどこんな感じの。これは自分の過去作で「それっぽい」ものを明朝体加工したものだけど、本当は(というよりは「当時流行っていたものは」という言い方のほうが適切かもしれないが)もっと、空がどうの、君からのメールがどうのみたいなので、それはもう、私が生息していたインターネットのあちらこちらにこんな画像があった。


そしてそれを家でいい感じの大きさにプリントアウトして、100円ショップで買ったマグネットシートを裏に貼って、「缶ペン」と呼ばれるスチール製の筆箱の内側に貼ってたの。そうなの。みんな各々が好きなアーティストの「歌詞画像」とかを缶ペンに貼ってた。いま思えば「著作権〜!!!」という感じではあるけれど、中学生のリテラシーなんてそんなもんなのである。本当にすみませんでした。

そして近頃の私の疑問。

今の中学生はこんなことをしないのだろうか。

「君と書いて恋と読んで 僕と書いて愛と読もう」とか筆入れに貼ってないの!!?!

「僕の声が続く限り隣でずっと愛を唄うよ」とか明朝体にしたくならないの?!?!

「そういえば、今の中学生ってどんな音楽を聴くの? キャラメルペッパーズ? ソナーポケット?  GReeeeN?????」

などと思い、中学生の妹に訊ねたら、よく分からない返しをされた、というか、何と返されたのかいまいちよく覚えていないけれど、「歌い手さんがー」とか「声優さんがー」とか「髭男!」「sumika!」とか言っていたような気がする。−妹よ、姉が都合よく記憶を捏造していたらごめん。

なんだ、今の私とほとんど変わらないじゃん。流行りのバンド、中学生でも聴くのか。へえ。

でもそれはそうだよな、だって「流行り」だし。「人気」だし。私が中高生の頃に熱心に聴いていていて、それはそれは好きで仕方ないと思っていたバンドやアーティストのファンが「総入れ替わり」なんてしないよな。私はもう追いかけるのをやめてしまったけれど、別に「中学生だから」「高校生だから」好き、とかそういう話じゃないもんな。

あの頃だってそうだ。
「おとな」だってRADWIMPSは聴いていた。
「おとな」だってGreeeeNは聴いていた。

自分が少し「おとな」側になって、今の子たちは我々(少なくとも私)があの頃に置き去りにした「流行」を享受しているものだと思っていたけど、それは100%ではない。

RADWIMPSを聴かない中学生だっているし、GReeeeNを聴かない中学生もいる。
中学生だってMy Hair is Badは聴くんだろうし、学校では「動物さんたち大集合だわいわい」とか言ってるんだろうな。
私には到底理解できないような「流行」のなかで、明朝体ポエム作りに勤しむ中学生だっていてもおかしくない(明朝体ポエムがまだ流行ってたらごめん)。

同じような「流行」のなかで、受け取り方や楽しみ方が少し違う、もしくはそう思い込んでいただけなのかもしれない。今も。

身も蓋も、ヤマもオチもない話ではあるけれど、数年前の自分を取り巻いていた「流行」について少し感傷的になったので書き殴った次第です。

中高生のころ、大好きだったバンドのほとんどは、今はもう、何だか恥ずかしくって聴けなくなってしまったけれど、あの頃、確かに、おとなだってRADWIMPSを聴いていた。

数年後の自分は「あの頃はTwitterでこんな構文が流行ったけれど、今の若者はそういうの使うんだろうか」とか思ってそうだし、「あの頃、確かにおじさんやおばさんだってTwitterの世界にはいた」とか言ってそうだし、なんかこわいな。懐古厨乙。

ここまで書いて、何が何だかパルプンテになってしまったので、無責任ながら今回はここでお暇します。


「おとなだってRADWIMPSを聴いていた」と言いたかっただけの文章。

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