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WHITE BREAD

食パンが変わりました。

皆さんご存知のように小麦をはじめとするあらゆる原材料価格が高騰しており、THE BAKERYの売り上げ構成不動のNo.1である食パンも価格含め諸々見直すタイミングとなりました。

なんで?

主力商品であるからこそただ価格だけ変えるのではなく、まったく新しい商品として1から作り直す事にしました。
目指すべく最上級の日用品と言うところはブレずに、より美味しく価値あるものになったと感じてもらえるよう素材選びからやり直しです。
細かな微調整は度々してきましたが、お店も10年目となり僕らを取り巻く環境や嗜好も少しずつ変わってきた中で、今思う最高の食パンを改めて考えてみようとリニューアルに踏み切りました。

なにが変わった?


大きく変わった点は使用している小麦粉をメインの北米産をやめて国産小麦100%(群馬・北海道・三重)にしました。
粉を100%変えるというのはパン作りではかなり大きな変化です。


とは言え、今までの食パンを気に入り週に何度も通ってくださっている方がたくさんいらっしゃるので、その延長線上から大きくはみ出さないよう気をつけました。(国産小麦への切り替えは以前から考えていましたが、ここが難しいポイントでした)
美味しさが置き去りになった自己顕示欲の塊を売りつけられる事を誰も望んでいないのは理解しているつもり。

僕がTHE BAKERYの食パン作りで大切にしているポイントがいくつかあって
・きめ細かな触感・舌触り
・口溶けの良さ
・しっとり感
・ミミの香ばしさ
・嫌なにおい(過渡な発酵臭、アルコール臭など)がしない
・飽きずに毎日でも食べられる
などで、お客様からも評価を頂いている部分だと思っています。


理想の食パン

1980年生まれの僕ら世代は戦後GHQによって戦略的に広め(させ)られた輸入小麦を使ったパン食文化で育って来ました。
給食も今に比べてパンが多かったし、父親も朝は必ずトースト。
ちょうどパン食が一通り定着して、生きる為の食糧→高度経済成長期を支える大量生産→より美味しいパンを作ろうと街のパン屋さんが独自の進化をしていく黎明期の頃でしょうか。

そうそう、1979年には映画「クレイマークレイマー」が上映されフレンチトーストがブームになったそうです。(あの映画を観てフレンチトーストを作らない人なんている?)

フレンチトーストは長く漬け込んだしみしみタイプよりパンの食感が残ったタイプが好きです。

今でも鮮明に覚えているのは小学生の頃、母親が近所にできたパン屋さんで買ってきた焼きたてのまだ温かい食パン。

まず、なんで切ってないんだ?と。

聞けば焼きたては柔らか過ぎて切れないんだとか。
それまでスーパーの食パン(コンビニはまだなかった)しか知らなかったので、切ってない塊の食パンとも初めましてだったし「パンは焼かないとバサバサで食べられないもの」と言う認識でした。
とにかく騙されたと思ってそのまま食べてみろと強く勧めるので半信半疑でひと口かじって、、、こんなにうまいものがこの世にあったのか!と衝撃を受けましたね。

そんな訳で自分の理想とする食パンにはタンパク質含有量が多く伸びの良い良質なグルテン形成に向く1CWなどの生産に適した北米の小麦が必要でした。
国産小麦で作られた食パンの過渡なもち感やネチャつき、あるいはそれらを避けた結果としてのバサつき、口溶けの悪さなどが苦手で食パンには一部ブレンドする程度だったのですが、このタイミングで色々な粉を試しながら価格と品質と製法(手間)の良いバランスでの落とし所が見つかりリニューアルする決断ができました。
これは僕がというより小麦農家さんの努力や製粉会社さんの能力によるところが大きいです。

価格・品質はもちろんですが手間をかけ過ぎずに美味しいものを作るのも大切にしている事でね。
かける気になればいくらでも手間暇かけられるのがパン作り。
だからいつも自分に問いかけます。
そのひと手間は誰の為?
それをやると誰か幸せになるの?
そのひと手間にお金払わせる価値はある?
それやって喜ぶのパンマニアだけじゃね?

、、、、、
おっと、余計なことまで言ってしまいそうだ。

とにかく、こうして正解の無い問いを続けることがより良い未来に繋がっていくのだと思います。

結局どうなった?

以前のきめ細かな触感・舌触り、口溶けの良さはそのまま、もっちり感・しっとり感が(やや)強くなり使われる主材料はより身近な日本の小麦になりました。
価格は上がった。
価値は上がったのか?下がったのか?
ぜひお試しください!




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