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個人ゲーム開発記:「#春と修羅」番外編 〜シナリオどうする問題〜

個人でゲームを制作しています。現在は、先日無料体験版を公開した2Dアドベンチャーゲーム「春と修羅」の製品版をこそこそ作っています。

基本的にマップをうろちょろして物語を進めるゲームで、テキスト量は体験版で10,000文字弱(日本語)といったところです。製品版にすれば多分この3倍くらいになるんじゃないでしょうか。で続きをこそこそ書いているわけなんですが、特に大まかなプロットに関して(いつものことなんですが)これでいいのかなあという不安が拭えていません。

私は物語を書くのが好きですが、学校とかでちゃんと学んだわけではないので、ここへきて基礎力のなさが露呈してきたのでしょう。

個人制作ではありますがゲームのシナリオは今まで短編を4〜5本ほど書いて世に送り出してきました。しかし、現在書いているシナリオの帰着点がよくわからなくなってきてしまったので自分の考えをまとめるためにnoteに残しておきます、と見せかけてゲームを宣伝します。

ゲームのシナリオにあるとよさそうなみっつのポイント

最近考えたんですが、ゲームのシナリオを書くときは、

1.自分が書きたいこと

2.みんなが期待すること

3.実際に実装や演出で表現するのが可能な範囲のこと

このみっつの整合性を盛ってどうバランス取るか。みたいなことが大事というのが持論です。3とか、いかにもゲームっぽいですね。文字だけで完結するゲームじゃない場合、演出とか効果音、あとビジュアルがどのくらいあるかによって、どのくらい書き込むか左右されます。

しょうもない例しか思いつきませんが、

「銃を構えるお兄さんの絵がある」+テキスト「死ぬのはお前だ!」

これで通じるのに対して、

絵なし+テキスト「お兄さんは銃を構えてこういった。『死ぬのはお前だ!』と」

みたいななんかそんなことですね。銃声のSEがあるかないかでも変わるかも知れません。別に絵もテキストも両方あっていいかも知れませんが、せっかくイケメンのお兄さんの絵を描いてもらってるのに「イケメンのお兄さんが」って書かない方がいい場合もあると思うんです。

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ジャンル不明だと期待されることも不明になりがち

さて、ふたつめの「みんなが期待すること」については、例えば「悲劇の恋愛もの」なら、いちゃいちゃするけど結局死ぬみたいなことを読み手は期待すると思うんですね。で、その死がどうやって導かれるか、例えば病気なのか核戦争なのかは書き手の腕の見せ所だと思うんです。こここそが「1.自分が書きたいこと」の出番です。多分。私はこの「1」に関しては、描きたいことだらけなので問題を感じておりません。しかし「2」で迷子になっています。「これは◯◯(ジャンル)です」という前提が必要なんだ、とは思うんですが……私は自分で「春と修羅」が何なのか分かっていません。

過去にゲームの物語を書いていて、ターゲットとかジャンルは何か決めずに書き出すことはなかったんですが、今回は「なんかんわからんが好きなものを書こう」と始めてしまったために……というか、最初はDQB2のシドーが描きたくて(??)始めた……がもちろん、DQB2にはならんので、完全に迷子になっています。

そもそもジャンル決めずに書き出して物語って成立するんでしょうか。

上記のように、翻訳者さんが「ミステリー」だと紹介してくださって、

「私が書いていたのはミステリーだった……のか?」

……ってなってます。

自分の得意なフィールドに持ち込む

客観的にみてミステリーならやっぱり「(何らかの形で)謎が解ける」みたいなことが、読み手の期待することかなあと他力本願で見当をつけます。調べてみると、ミステリーであってサスペンスではないっぽいというのもヒントになります。

そうそう、あと(思い出した)「寓話的ロー・ファンタジー」っていう題目は最初から自分でつけていまして、これは割と当てはまると思うので、ローファンタジーの特色とかは後半出していけば良いのかも知れません。

私が「ケロブラスター」のシナリオを書いて、いただいた感想のうち印象に残っているのが「ファンタジーに現代要素を紛れ込ませるのが巧い。例えばサジタリウスみたいな」で、実際子供のころガン見してたのが「宇宙船サジタリウス」と「名探偵ホームズ」だった…ので自分でも理解できる、理解できるということは面白さが分かるということでもあるので、楽しんで書けそうです。

名前付きのカードを手に入れたら絶対に切るべき

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※ここからややネタバレになります

「春と修羅」の体験版を同僚に遊んでもらったとき、同僚がとある名前のないキャラを指して「殺人鬼」と言ったのです。別に殺しまくってる描写があったわけではない(と私は思っている)のですが、そのような人物であるとして印象に残ったのでしょう。

ただの「山田さん」より「山田課長」のように肩書きがつけばどんな人か見えてくるものですが、それをユーザーがつけてくれるとは、たとえ「殺人鬼」などという物騒で不名誉な呼び名だとしても光栄なことです。個人的には「イケメン」とかよりも嬉しい。

この「殺人鬼」、ラスボスみたいな扱いがいいのかなあと考え中盤では大人しくしてもらう予定だったんですが、終盤へ動線を引くにあたり勿体ぶらずちょこちょこ出した方がいいのでは? いやむしろ使わない手はない、と考えを改めました。その方が物語の謎が増し、なんというかある種の色気も出そうです。

ユーザーに強烈な印象を残す何か、それは例えば人物でも、建物でも武器でもいいんですが、多分その物語を作る上で欠かせない何かであるはずなので、躊躇なく書き込んでいくべきかも知れません。

その時の自分にできる限りのことを書く(無理をしない)

以前作りかけて頓挫しているゲームがあり、そのシナリオは今になってみれば自分の身の丈に合っていなかったなあ、と思い出されます。私は現代を舞台にして戦争や政治を書くことに妙な憧れがあり、それは多分厨二的な「なんか難しそうでかっこいい」みたいな感情で、ネットで調べられる範囲で資料を集め書いていました。しかし、シナリオ単体ならともかくゲームを作りながら自分がさして造詣も深くないことを調べるのは現実的ではなかったし、調べたところで書けるかはまた別問題でした。

「春と修羅」では、自分に分かる範囲のことを書いています。どう書けばキャラが魅力的になるか、言い回しが不自然にならないか、お話に矛盾がないか気を付けることなどに注力できます。挑戦的ではありませんが、下手に風呂敷を広げて畳めなくなるよりも「完成させて世に送り出すこと」を目標にしています。

あと個人開発だしシナリオって適当でいいんでしょw と思われているなこれは…というゲームを稀に目にするので、自分のゲームはそうならないようにしたいです。

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