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ゲーム開発序盤はSNSで情報発信しないほうがいい理由

個人でゲームを制作しています。snsでフォローしている人がゲームを完成させたというおめでたいニュースがある一方、そういえばあの人が作ってたあのゲームはどうなったのだろう……と気になって調べたら、頓挫していたりフェードアウトしていたり、なんならアカウントやサイトごと消えていることもあります。計画通り制作を進められない私にとって、他人事ではありません。

メンバーと連絡が取れなくなった、仕事や私生活が急に忙しくなった、など原因は色々あると思いますが、いずれの場合も私がその経緯を知るのはSNSからです。そして「SNSで進捗や制作発表をしていたからこそ困っている」と思われるケースを時々目にします。

SNSの発信が頓挫のきっかけになるケース

いわゆる「エターナる」=「ゲームが永遠に完成しない結果」を今までにたくさん見てきました。その中で得た教訓として、

「SNSで予定を発信しない方がいいんじゃないか?」

……というものがあります。

snsでの個人開発ゲーム告知などにおいてよく見かける流れが、

1「ゲームを○月公開します!」→お祝いムードで拡散しやすい

2「遅れます」→お祝いしにくいので拡散しにくい

3「改めて○月公開!」→信用度が下がっているため拡散されにくい

……これが繰り返されるパターンです。そのうち「反応が薄くなった」あるいは真面目な方だと「期待に応えられない」とやめてしまうきっかけになりかねません。

個人ゲーム制作は不確定要素が多くなりがちと知る

知り合いが開発しているゲームの公式snsでは、キャラ絵などを積極的に発信していました。ファンの方がキャラの自作グッズを作ってsnsにアップしたのを見たこともあります。しかし時は流れ、キャラのデザインも変わってしまったうえ、5年以上経ってもゲームは完成していません。よくあることだし誰も悪くないのですが、あのキャラグッズはどうなったのだろうと時々思い出します。

私が以前関わっていたゲームで、販促のためにグッズを出したことがあります。しかし、後日なんとタイトルそのものが変わってしまい、在庫の使い道がなくなってしまいました。無事ゲームは発売したので笑い話、あるいはレアグッズといえばそうかも知れませんが、まさかタイトルが変わるなんて思ってなかったし、その可能性を考慮せず軽率にグッズを出した(確か私が提案した)のはちょっと後悔しています。

大手のナンバリング超大作などと違い、気軽に仕様を変更できるのは個人開発のメリットかも知れませんが、snsなどで公言したりグッズにして公にすると気軽に変更しにくくなる可能性もあります。私は割とこれが辛いので、確定要素や予定の発信を控えめにしています。

特に期日のある予定はふわっと発表するのがよさそう

ゲーム開発にはいろんな要素があるので、なかなか思い通りにいかないことが多いです。「完成したがバグが新たに出て、いつ直せるか目処が立たない」「完成してアプリの申請をしてもなかなか通らない」など、自分のちからではどうにもならないことが付いて回りがちです。

たくさんのゲームを開発し頒布してきた方だと、そのあたりご承知のようで、

いつ頃発売かには一切触れず「いい感じにあれしていきたい」などとふんわりした表現をされるところに、踏み越えてきた修羅場の数が伺えます。

予定って、はっきり発表したほうがいいような気もしますが、あまりにもたくさんの個人開発ゲームが頓挫しているのを見てきた身としては、上記のようにふわっとしている方が逆に誠実に思えてきます。

フォローしている個人ゲーム開発者にはプログラム職出身の方も多く、私のような者から見ていると「ゲームが完成しないかも知れない恐怖」をよくご存知のようで、計画や発言にも慎重さが感じられます。

後々、自分の発信が自分を苦しめないように

盛り上げるためにキャラ絵やテーマソングを先に出したり、自分にはっぱをかけるため「○月発売」と言ってしまいたくなる気持ちも分かります。しかし、私個人の経験と色々見てきた結果としては正直「思い通りにいかないこともある」ではなく「まず思い通りには行かない」前提でいた方が、自分が投稿したsnsの発言に後々苦しめられたり、待っている人の期待を裏切ったりすることもなくなります。いや別に苦しめられても裏切っても完成しなくても個人が好きでやってるからいいんですけど、個人のやることだからこそ、誰かに強制されてやるものではないからこそ最後(完成しなくても自分なりに設定した「最後」)まで自分を守り、自分のペースで楽しく作るために発言/発信するのがオススメです。

・期日、期限などを言わない、明確に公言しない……「今年中に発売」ではなく発売予定には触れない とか

少し話が逸れますが以前「発売日が前倒しになった」ゲームを見たことがあり、印象に残ったし仕事ができる感がありました

・「しようとしていること」ではなく「今の事実」を発信する……「来週中に○○します」より「今日はここまでできた」 とか

・言質や証拠となるものの発信は避ける……「ラフ画」は出すが「完成したイメージ」はギリギリまで出さない とか

あるいはいっそ発言/発信しないのも割とオススメです。特に開発初心者の場合は「何が起こるか分からない」ことだらけなので、酸いや甘いがある程度わかってきてから発信を始めるのがいいかも知れません。

発信は個人の自由ではあるけれど

ごく最近、割と大きく期待されていると思われる個人開発ゲームの頒布が再度先延ばしになる旨のツイートを見ました。楽しみにしている、いつまでも待てる、というユーザーのツイートも散見します。私にすれば、自分の作ろうとしているものと近いジャンルだから競合になるかも知れないんですけど、なんとかゲームが完成してほしいと思います。でなければ、またひとつ「個人開発ゲームは完成しないのがあたりまえ」という事例が増えてしまうからです。

開発側にとっては苦笑いするあるある話でも、ユーザーにとってはそうではないかも知れません。個人ゲームが「業界」と呼べるものではないにせよ、全体の信頼を失う一片になりたくはないので、発言や発信には注意を払っています。


2021年9月17日補足:フォロワー数の多い方にツイートされたので念の為、「(序盤で不確定要素を)発信しないほうがいい理由」であって「発信するな」ではありません。実際私も無難な範囲で発信しています。個人開発は自力で発信せんとやっていけない部分もありますね!!

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