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旧友たちの選択と家裁「突貫」設立…今週の『虎に翼』

日本初の女性弁護士で、後に裁判官となった女性・猪爪寅子(伊藤沙莉さん)とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子供や追い詰められた女性たちを救っていくリーガルエンターテイメント、朝ドラ『虎に翼』の第11週「女子と小人は養い難し?」。

「女子と小人は養い難し」とは「女性と徳のない人間とは、近づけると図に乗るし、遠ざければ怨むので、扱いにくいものである」の意味(goo辞書から引用)。

花岡悟(岩田剛典さん)の餓死が、寅子だけでなく社会に衝撃を与えていた月曜日。戦地から無事帰還した轟太一(戸塚純貴さん)は、そのことを新聞で知り、悲痛の極み。

酒に溺れていた轟が再会した山田よね(土居志央梨さん)。強がる轟に、「惚れてたんだろ、花岡に」と。友情と恋愛といった人の感情は、明確な線引きがあるわけではなく。そこにBLのレッテルを貼るのはわかりやすくも、何かを掬い逃す。その意味で正答の轟「よくわからない」。

資格を持つ轟に、弁護士事務所を一緒にやろうと誘い、手を差し出すよね。それに応えて握手し、「誘い方が回りくどいぞ」と轟。照れ隠しで「黙れ!さっさと帰るぞ、私は忙しいんだ」とよね節復活。明大時代の当初は、水と油だった二人がバディという胸熱展開。

GHQの通達を受け、寅子が家庭裁判所設立準備室に異動になった火曜日。室長の多岐川幸四郎(滝藤賢一さん)は、昼間から職場で酒を飲むなど、クセ強キャラ。花岡を「バカタレ」呼ばわりし、激怒の寅子とさっそくぶつかり。

少年審判所と家事審判所を、わずか2カ月で家庭裁判所として合併させようとする話し合いは大紛糾。室長補佐の汐見圭(平埜生成さん)が板挟みになっている中、多岐川はいびき。

話し合いが進まず、このままでは失職の危機の寅子が、多岐川に直談判した水曜日。「この大バカタレが!」と多岐川に叱責された寅子は、久藤(沢村一樹さん)の元に連れて行かれ、アメリカのファミリーコートの理念を教えられ、多岐川の意外な一面を知ることに。

実は密かに多岐川が、少年審判所と家事審判所のトップと話し合いを持っていると聞かされた寅子は、その場所についていくとただの「飲み二ケーション」。下戸の汐見が誤って酒を飲んで酔い潰れ、家に送り届けると、そこには女子部時代の旧友・崔香淑(チェ・ヒャンスク/ハ・ヨンス)がいて。

寅子と再会した香淑に、笑顔がなかった木曜日。翌日、夫の汐見が事情を説明。戦前の朝鮮で出会った二人は恋に落ちるも、お互い親から勘当され、日本へ帰国。結婚し、名前も香子と変えて、日本人として生きる決意をし、今は多岐川の家に居候していたのでした。

何か自分にできることはないかという寅子を、多岐川が一蹴。「君が家を出てから家に帰るまでの時間は、家庭裁判所設立のために使いたまえ」と。汐見と香子の夫婦仲は良さそうですから、向こうから何か言ってくるまでは放っておくのがいいでしょう。

家庭裁判所設立までのタイムリミットが刻一刻と迫る中、花岡の妻の奈津子(古畑奈和さん)が寅子を訪ねてきて。奈津子に謝罪し、花岡の苦悩に自分が気づいていれば、などと香子の件に続き、ちょっとおこがましい寅子。これワザと書いてますよね、脚本。

奈津子は逆に、かつて寅子が花岡に持たせてくれたチョコレートのお礼を述べて帰っていきました。密かに奈津子の絵を買い取って経済援助しているらしい桂場(松山ケンイチさん)は、寅子に「正論は見栄や詭弁が混じっていてはダメだ。純度が高ければ高いほど威力を発揮する」と助言。

寅子が一計を案じ、弟・直明(三山凌輝さん)を話し合いの場に担ぎ出した金曜日。直明の純朴でキラキラとした、純度の高い正論に大人たちは惹きつけられ。元々、きっかけを待っていた両者でしたので、ここからトントン拍子に家庭裁判所設立へ。

大晦日。猪爪家や学生ボランティアも加勢しての事務所設立準備。最後に、奈津子の絵を飾った多岐川は、花岡の死を戒めにしたいと。多岐川が子供たちの未来にかける理由も汐見から明かされ、それは寅子にも重なるものでした。

ドタバタした週でしたが、次週はいよいよ裁判官になれそうですね。


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