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沖縄戦の記憶と逆プロポーズ…今週の『ちむどんどん』

復帰前の沖縄で、4人兄妹の次女として生まれ育ち、復帰とともに、東京で働き始めるヒロイン・比嘉暢子(稲垣来泉さん→黒島結菜さん)が、やがて沖縄料理の店を開くことになる朝ドラ『ちむどんどん』の第15週「ウークイの夜」。

暢子と賢秀(竜星涼さん)が数年ぶりに沖縄に帰省した月曜日。母・優子(仲間由紀恵さん)の再婚話を確かめるため、善一(山路和弘さん)に直接問い質す四兄妹。比嘉家にとっては恩人と言ってもいい善一さんなのに…。

一方、恋愛編ですっかり評判が下がった和彦(宮沢氷魚さん)が落ち込んでいると、上司の田良島(山中崇さん)に見透かされ、的確なイジリ(笑)。それでいて、和彦が希望していた取材のお膳立てをしてくれるあたり、最高の上司ですね。

和彦が、沖縄戦の戦没者の遺骨や遺品を収集し、家族の元に返す活動をしている嘉手刈(津嘉山正種さん)を取材した火曜日。収集現場には、なぜか優子がいて、子供たちには内緒の様子。

最初は門前払いだった和彦ですが、過去に関係があった田良島の部下であることや、収集活動に資金援助してくれる房子(原田美枝子さん)の紹介であること、そして和彦の沖縄への想いを聞き、話をしてくれることに。

3週に渡って繰り広げられた恋愛編が嘘のようなシリアスムード。舞台俳優の津嘉山さんは沖縄県出身。重厚な演技と声が実にいい。『踊る大捜査線』の警察庁長官役でも知られますが、近年では『同期のサクラ』で、桜の祖父役を演じていたのも記憶に残ります。

優子が戦争体験を話し始めた水曜日。沖縄大空襲から収容所生活、賢三(大森南朋さん)との出会いと再会。房子(原田美枝子さん)と賢三の関係も明らかに。回想シーンでは優希美青さんが優子を演じました。優希さんは『あまちゃん』『マッサン』に続いて朝ドラ3度目。

また、三郎(片岡鶴太郎さん)と賢三の関係、三郎のシベリア抑留、田良島(山中崇さん)の兄の沖縄での戦死なども語られ。見応えがあると同時に、戸惑いも。今までのドタバタ劇は、この本題をより印象的にするための、壮大なフリだったとか!?

優子と賢三が結婚に至る馴れ初めが語られた木曜日。もっと早く話していればという視聴者の心の声に応えるように、戦争のトラウマを話した優子。賢三を死なせたてしまったことを子供たちに謝る優子に、謝る必要はないと優子の元に駆け寄る子供たち。

昨夜の優子の話が効いたのか、賢秀が働きたくなったと改心!?した金曜日。良子も歌子も、いい方向に動き始め。そんな中、浜辺で和彦と出会った暢子。嘉手刈の経験した沖縄戦のエピソードを引用して、「手を放したくない」と和彦。暢子による逆プロポーズからのキス。

ドラマ中盤でのプロポーズといえば、同じ沖縄が舞台の朝ドラ『ちゅらさん』に同じ。ただ、あちらは初週から「結婚の約束」や「和也君の木」という伏線を周到に準備しての回収回だっただけに、おばぁ(平良とみさん)をはじめ、多くの視聴者が祝福したという違いはありますが…。

『ちゅらさん』も沖縄戦の歴史や米軍基地の現状に触れていないという批判はありました(間接的に命の大切さは伝えていたのですが)。そういう意味では、優子が「戦争(基地問題)は終わっていない」というように、『ちむどんどん』が取り上げた意味は大きかったと思いますが、そこをプロポーズに直結させちゃうかな…せめて、もう一週待てなかったのかなあ。

来週は鈴木保奈美さんが、和彦の母親役で登場するようで、またしばらくはドタバタ劇が続きそうですね。


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