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ドラマ日記『あのときキスしておけば』(最終回)&『半径5メートル』(8話)

女性週刊誌の若手編集者・風未香(芳根京子さん)と、型破りなベテラン記者・宝子(永作博美さん)のバディが、身近な話題から世の中を見つめていく『半径5メートル』の第8話。正規非正規という、この国の歪んだ社会の現実が描かれました

ある日、風未香は喫茶店で、中学時代の塾の恩師・阿南(須藤理彩さん)がバイトをしているところに出くわす。実は阿南は就職氷河期世代で、当時もアルバイトの身だったと知る。風未香は、SNSで積極的に発信する氷河期世代のインフルエンサー、須川(渡辺真起子さん)を取材する。

新卒時の躓きで、非正規のまま年齢を重ね、声もあげることもできない阿南と、「自分たちを踏み台にしている全国民に土下座させたい」と声を上げる須川を対比的に配しつつ、その痛みが分からない正社員の風未香の“鈍感さ”を描くことで、この国の歪んだ社会の現実を見事に表現していました。

宝子が風未香の足をワザと踏んで言った「足を踏まれて『痛い!』と叫んだのに、『うるさい!黙ってて』と言われて、あなたは黙っていられる?」は至言。足を踏んだことすら気がついていない正社員のなんと多いことか。とはいえ、問題の本質は資本主義という構造そのものにあるんでしょうが。

本作のメイン脚本家は『僕の生きる道』『知ってるワイフ』の橋部敦子さんですが、今回は『これは経費で落ちません』で3話と5話を担当した藤平久子さんが執筆。これからも注目したいと思います。

ポンコツ独身32歳の桃地(松坂桃李さん)が、親しくなった漫画家の巴(麻生久美子さん)の急死後、巴を名乗るおっさっん・オジ巴(井浦新さん)に出会う、衝撃の“入れ替わり”ラブコメディ『あのときキスしておけば』最終回。

高見沢から『SEIKAの空』が最終回まで一気にアップされていると電話が入る。気づけば最後にキスをしたあの日から、オジ巴は現れず、ずっと田中マサオのままだという事実に気づく桃地。嫌な予感がよぎった桃地は巴の自宅へ向かうが、そこに巴の姿はなく、部屋はきれいに片付けられていて…?

桃地の望みをかなえるため、オジ巴や高見沢(三浦翔平さん)らが、巴が戻ったという設定で一芝居打っての結婚式。桃地も気がついていたと告白した直後に、巴が再び降臨という奇跡。笑いあり涙ありの感動の最終回。

麻生さんファンとしては、天界のよみがえり抽選会に当たったらしい巴が、その後の桃地たちを見て回るシーンもたっぷりで堪能。余韻を残しつつ、その後を想像させるいいラストでした。やっぱり、脚本家・大石静さんはすごいなあ。


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