ドラマ日記『最高の教師』(第8話)
卒業式の日に4階から突き落とされた教師・九条里奈(松岡茉優さん)が、「死にたくない!」と願った瞬間、始業式の日の教室に戻り、真相を突き止めるために、生徒と本気で向き合っていく“新時代”の学園ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』の第8話。
鵜久森(芦田愛菜さん)の身に起きた事件。その真実と向き合う覚悟を決めた生徒たちは、事件当日に起きていた異変から一人の生徒へ眼差しを向ける。それは、かつてこのクラスを牛耳っていた相楽(加藤清史郎さん)だった…。
前回、教頭の我修院(荒川良々さん)が記者会見の場で「憶測でものを言うのは止めて欲しい」と発言したことが前振りとなった今回。鵜久森が亡くなった日の映像に、鳳来高校の生徒ではない浜岡(青木柚さん)が映っていたことで、浜岡とつながりのある相楽が首謀者と決めつけられそうになり。
「あいつは俺のせいで死んだ」という意味深な言葉を残して教室を立ち去った相楽でしたが、九条は相楽宅を訪問し、「(鵜久森のように)弱さを見せる覚悟はありますか? これがあなたが変わる最後のチャンスです」と告げ。
翌日、登校した相楽はこれまでの出来事と、心境の変化を告白。クラス全員に謝罪。理解を示す大多数とは別に、我関せずといった風情の3人の女子、西野美月(茅島みずきさん)、野辺桐子(田牧そらさん)、金澤優芽(田鍋梨々花さん)。誰かが鵜久森の死に関与しているのでしょう。
その後、相楽は九条と共に鵜久森宅を訪れ、母・美雪(吉田羊さん)に謝罪。さらに、鵜久森の遺骨と位牌の前で「ごめんなさい」と何度も何度も繰り返し、号泣。加藤さんの圧巻の演技でしたが、ちょっとキャラ変し過ぎ(笑)。性善説にもほどがある。
余談①:各局が記者会見を生中継する中、「我が道」だったテレビ東京ですが、その後の対応もさすが。日経系列ですから、そのあたりはより敏感なのでしょう。とはいえ、相変わらずくだらない&名作ドラマを生み出して欲しいですけどね(ドラマ量産の現状のやり方は否定)。
余談②:TVerで『愛という名のもとに』(1992年)の配信が始まりました。脚本家・野島伸司さんの代表作の一つで、日本のドラマ史に残る名作。今見るとコンプライアンス的にあれですが、まずは冒頭10分、浜田省吾さんの「悲しみは雪のように」のオープニングまでをどうぞ。
「チョロ」役の中野英雄さんは、仲野太賀さんのお父さんで、冒頭10分にすでに後のフラグが。名優・山本耕史さんはまだ高校生役で、鈴木保奈美さん演じる教師をレイプしようとし、その母役が高畑淳子さんという…。ブレイク前の深津絵里さんも怪しい役で出演しています。
唐沢寿明さんの父・国会議員役で竜雷太さんが出ているのですが、差別の本質を突く名言「人間とは常に他人より優位に立ちたい。資本主義も学歴社会も、劣等感や優越感で支えられている。人間は見上げる空と、踏みつける地面と両方を望むんだ」。
ですが、そんな社会のリアルとは別に、最後までポエム的だったのが救いでした。「どれだけ歩いたら、人として認めてもらえるのだろう。いくつの海を越えたら、鳩は砂地で安らげるのか。友よ、その答えは風に吹かれている」。最終回視聴率32.6%、今では考えられない数字です。