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俳優ノート『尾美としのりさん』

気になる俳優さんの出演作についての覚え書き「俳優ノート」。今回は、2021年春ドラマ『半径5メートル』に出演する、名バイプレイヤーの尾美としのりさん。

子役出身の尾美さん。1982年、大林宣彦監督『転校生』の主演に抜擢。以降、『時をかける少女』(1983年)『さびしんぼう』(1985年)の旧尾道三部作を含む、大林作品19作品に出演し、“顔”といっていい存在に。

ドラマの当たり役の一つが、テレビ時代劇『鬼平犯科帳』シリーズ(1989~2016年)。尾美さんは、人はいいのだけれど、同心としてはちょっと脇の甘い、うさぎこと木村忠吾役を好演。シリアスな描写も多い同作の中で、ほっとする存在でした。傑作。

江戸時代後期に“鬼の平蔵”の名で恐れられた火付盗賊改方長官、長谷川平蔵とその密偵達の活躍を描いた痛快な捕り物帖。また、人間の業の縮図でもあるドラマ。

『マンハッタンラブストーリー』(2003年)や『タイガー&ドラゴン』(2005年)など、宮藤官九郎さん脚本の作品への起用も多い尾美さん。朝ドラ『あまちゃん』ではヒロイン(能年玲奈さん)の父親役を好演。その年の『紅白歌合戦』番外編にも、タクシー運転手として登場しました。

母・春子(小泉今日子さん)に連れられ、東京から初めて北三陸にやってきたヒロイン・天野アキ(能年玲奈さん)は、祖母・夏(宮本信子さん)と出会う。祖母に憧れて海女を目指すアキは、やがて地元アイドルに。ヒロインの笑顔が元気を届ける人情喜劇。

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温厚ないい人イメージもありますが、そこを底を逆手にとって、悪役も巧みに演じる尾美さん。『アリスの棘』(2014年)では悪徳弁護士役でしたが、おすすめはドラマ版『64(ロクヨン)』(2015年)。尾美さんは、誘拐被害者の女子高生の父親役なのですが…あっと驚く最終回。傑作。

昭和64年に起きた未解決誘拐事件、通称・ロクヨン。その時効成立を前にD県警の広報官・三上(ピエール瀧さん)は、警察庁長官による視察を取り仕切るよう命じられ、遺族慰問の実現に向けて奔走するが…。


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